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第十章 幻夢

第66話 郷土料理の名前は?

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何故サシマ国に向かうのか?
理由は分からない。

何故か、俺はサシマ国に
行かなければならない気がした。

サシマ国は、センダー国、シッポリ国、
カントン国と隣接している国であるが、
半分島になっている。

この島のどこかに、
魔王スマターはいるんじゃないか?  

どこかでそんな気がしていた。

何故か、魔将軍ダロムと対峙し
浄化した後にダロムの思念だろうか。
 
『海岸で行うバーベキュー』のイメージと匂いがしたのだ。

楽しかった思い出なのだろうか?

サシマ国は昔から美しい島々がある国として知られている。

ワインの産地としても有名で、
芳醇なワイン畑=ぶどう園があるのだ。


ジンタンを斥候として、派遣するのは少し痛いなと思った。

彼は優秀なので、雑魚のアヤカシなんかは直ぐに狩ってくれる。

メイとセシアも呪文や召喚術で応戦してくれるが、何せ早いのだ。
どうしても召喚術や呪文は時間がかかる。

詠唱って奴だね。
あの時間が、一瞬無防備になるので
こちらもタイミングが、
護衛に回るので後手になる。

まあいいか。
くよくよ考えてもしょうがない。

風呂から上がったハサン達は
晩ごはんを食べる。
 
今日は郷土料理。
米を団子にして入れた味噌鍋。
味噌鍋にドテチンを入れる。

ドテチンの肉がホロロと溶けて良い出汁を出す。灰汁を掬ってネギやしいたけ、ゴボウや青菜を入れて食べる。

う、うまーい!
お酒ととっても良く合う!

どぶろくのような地酒。

ここはお米が取れるので、
お米を出してくれた。

くぅー!旨い!

「女将さん!この鍋は何て言うの?」
セシアが宿の女将さんに聞く。

「これはね、ここいらで食べる郷土料理で
『ドテチンポクウ鍋』って言うのよ」

ブーッ!
卑猥な名前!

ちょっとお下劣な名前!

思わず吹き出す俺。

ま、いーか!旨いから。

「女将さん!おかわり!」

ご飯を三杯もおかわりしちゃった。
さあ!明日は出立だ! 

楽しい仲間と大団円。
あー。旅は楽しいな!

美味しい夜は更けていく。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

チュンチュン♪
小鳥のさえずりと、
朝の陽光で目が覚める。

あー!とってもぐっすり眠れた。

気を使ってくれたのか。

聖騎士御一行という事で
宿の一番いいお部屋を用意してくれたみたいで、ふっかふかのベッドで
皆久々にぐっすり眠れたみたいだ。

旅は野営や野宿が基本なので、
地べたにそのまま眠る。

まだ草が生えていたらいい方で、
土が固いと目覚めが悪いし、
アヤカシに襲われないか見張りが必要であるので火の番は欠かせない。

こうしてお風呂に入ったり、
ベッドに入れる事の方が「稀」なのだ。

朝食を食べよう。
朝風呂を、済ませて

今日はバンレン(洋梨のような果物)や、イチゴやサクランボやミカンにヨーグルトをかけたお皿に、トーストしたパンと山羊のミルク、ハムエッグにベーコンと、マシカのソテー。

豪華な朝食。

山羊の絞りたてのミルクが美味しい。
この街は酪農も、盛んのようで近代の街の雰囲気と、牧歌的な風景が混合している。

あー。旨い。
特にヨーグルトにかけられたブルーベリーソースが美味しい。  

ぼやっとした頭を程よい酸味がシャキッとさせてくれるのだ。

一通り食べると、泡の立っている茶色の飲み物が出てきた。

「これは?」
女将さんに聞いてみる。

セシアは答えてくれる。
「これはマチーよ。甘いのよ。
アタイ大好き!」

マチーは一口飲んで分かった。
チャイだ!

美味しいご飯だった。
パレートの街を出るハサン一向。

斥候に出るジンタンに別れを告げる前に
ドワーフの里に行き、
ミツヤからジンタン用の剣を貰わないとね。
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