73 / 119
第九章 光陰矢の如し
第59話 ゴッドハサン
しおりを挟む
邪神アドヴァンは元は、
この世界の住人であった亜人アドヴァン。
そしてアドヴァンの身体を受肉し転生したのが、
阿修羅神であること。
そして阿修羅神の一部が伝わり、
シローヌは聖騎士伝承の力を得たこと。
聖騎士も元は阿修羅神の欠片であると
ハデルはサリーから聞く。
首都跡地を覆う暗雲ある瘴気は晴れ渡っていく。
邪神を打ち祓うという事は、
即ち俺達聖騎士も、浄化されるという事。
即ちそれは、本当の肉体の死を意味していた。
元来、マーラの世界は魂の世界。
魂は不滅。次のステージに昇華するという意味を持つ。
当然、人間界の日本に残した家族とは、
もう会えない事を意味していた。
なんじゃ!そりゃ!
いきなり召喚されて、ハデルです。
魔王を倒せ、邪神を倒せ、
最終的には元の世界に帰れると思いきや、
邪神の欠片として浄化されろ?
ふざけるな!
ハデルは怒りに震える。
召喚士のメリーも、あたふたするだけで何も出来ない。
剣士サマンサ=サマンサ王女は内心気付いていたようだった。
サリーからの言葉を頷いていた。
恐らく、母である王女から既にそれとなく聞いていたのだろう。
「兎に角、ハサンに合流しましょう」
と声をかけてくるメリー。
「お前が召喚したんだろうが!」
怒りに声まで震える。
しまった。そこまで追い込まなくても。
あちゃー、言い過ぎたな。
でも、感情が抑えきれない。
そんなバカな話あるか?
俺の人生を滅茶苦茶にしやがって。
なんでハサンは平気なんだ?
そうだ。ハサンにも家族がいたはず。
やっぱりアイツに会おう。
「ごめん。メリー」
ハデルは、言い過ぎたねとメリーに謝る。
「私こそ、ハデルの気持ちを考えずにごめんなさい」
メリーは泣きじゃくる。
やば。泣かしちゃった。
ちょっと落ち着くのを待とう。
メリーが落ち着いたので
ハサンの気を察知し、転移の魔法でハサンの所へ辿り着く。
「話があるんだ、ハサン。」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
お、ハデルだ。
どうやら、有益な情報が聞けたようだな。
「ハサン、実はな里で情報を集めたんだが……」
俺達はハデルからエレンの里で
娘サリーからの話を聞き入る。
そして、あのシローヌこそ
俺達聖騎士と召喚士を呼び寄せた
邪神阿修羅の一部と聞く。
そしてシローヌから呼ばれた
俺達聖騎士も、邪神阿修羅の一部なんだと。
ハデルは詰め寄る。
「納得出来るか!
俺は家族に会いたい。
お前はどうなんだ!ハサン!」
俺は静かに諭すように皆に伝える。
「これは決まっていたこと。
そして俺は聖騎士として使命を全うすると決めた以上、人間界の事には未練は無い。それよりも、この螺旋を断ち切れるなら、
それも俺の役目だと思う。」
聖騎士が同じ時代に二人召喚されたケースは無い。
もしかしたら、今マーラの世界での大きな節目を俺達は担ってるんじゃないのか?
そう、俺は皆へと意見を伝える。
「何故お前は割り切れるんだ!
そんなシナリオ俺は認めない!」
ハデルは怒りに我を忘れて、駆け出していく。
メリーや、サマンサ、シマジもハデルを追っていく。
「すいません」
メリーは俺達にお辞儀し、ハデルの元へ走っていった。
そうだよな。あれが正に普通の感覚。
我ながら達観してるよなと思う。
ハデルこそ主人公の感覚で、俺の立ち回りは老師とか仙人とか、神様みたいな役割の考えだよね、ふと思う。
でも、これもまたハデルにも俺にも気づきや成長の機会なんだと思う。
あいつの成り行きを見守ろう。
さて、どうするか?
「魔王に会いましょう」
今まで黙っていたセシアが話す。
魔王は既に邪神の尖兵に過ぎず、
今更会ってもしょうがなくね?
しかもどこにいんの?
色々思うところもあったけど、
先ずはセシアの意見を聞いてみた。
「何故魔王スマターに会う必要がある?」
セシアは召喚の術を教えてくれたのが
初代ハサンの妻スロリアからの伝承で、
セシアの一族に受け継がれたのだと言う。
魔王スマター=聖騎士マサフミは
命を3つに分けた。
その内の一つが三鈷剣=倶利伽羅剣であり、
後の2つはカブラギに分けられた。
だから、聖騎士として召喚される人間の姓が
「カブラギ」なんだと。
だから、元の命に還る為にスマターに会う必要があるのだと。
そして魔獣ヒババンゴの元聖騎士シオリ含む
全ての聖騎士が合体すれば、
邪神阿修羅=アドヴァンに勝つことができるのだとセシアは話す。
「その最後の合体魔法が『ゴッドハサン』。
ゴッドハサンを唱えれば
全ての聖騎士は一つになる」
それは、俺が俺で無くなる。
全てに還る技か。
事態は風雲急を告げるのであった。
次回へ続く
この世界の住人であった亜人アドヴァン。
そしてアドヴァンの身体を受肉し転生したのが、
阿修羅神であること。
そして阿修羅神の一部が伝わり、
シローヌは聖騎士伝承の力を得たこと。
聖騎士も元は阿修羅神の欠片であると
ハデルはサリーから聞く。
首都跡地を覆う暗雲ある瘴気は晴れ渡っていく。
邪神を打ち祓うという事は、
即ち俺達聖騎士も、浄化されるという事。
即ちそれは、本当の肉体の死を意味していた。
元来、マーラの世界は魂の世界。
魂は不滅。次のステージに昇華するという意味を持つ。
当然、人間界の日本に残した家族とは、
もう会えない事を意味していた。
なんじゃ!そりゃ!
いきなり召喚されて、ハデルです。
魔王を倒せ、邪神を倒せ、
最終的には元の世界に帰れると思いきや、
邪神の欠片として浄化されろ?
ふざけるな!
ハデルは怒りに震える。
召喚士のメリーも、あたふたするだけで何も出来ない。
剣士サマンサ=サマンサ王女は内心気付いていたようだった。
サリーからの言葉を頷いていた。
恐らく、母である王女から既にそれとなく聞いていたのだろう。
「兎に角、ハサンに合流しましょう」
と声をかけてくるメリー。
「お前が召喚したんだろうが!」
怒りに声まで震える。
しまった。そこまで追い込まなくても。
あちゃー、言い過ぎたな。
でも、感情が抑えきれない。
そんなバカな話あるか?
俺の人生を滅茶苦茶にしやがって。
なんでハサンは平気なんだ?
そうだ。ハサンにも家族がいたはず。
やっぱりアイツに会おう。
「ごめん。メリー」
ハデルは、言い過ぎたねとメリーに謝る。
「私こそ、ハデルの気持ちを考えずにごめんなさい」
メリーは泣きじゃくる。
やば。泣かしちゃった。
ちょっと落ち着くのを待とう。
メリーが落ち着いたので
ハサンの気を察知し、転移の魔法でハサンの所へ辿り着く。
「話があるんだ、ハサン。」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
お、ハデルだ。
どうやら、有益な情報が聞けたようだな。
「ハサン、実はな里で情報を集めたんだが……」
俺達はハデルからエレンの里で
娘サリーからの話を聞き入る。
そして、あのシローヌこそ
俺達聖騎士と召喚士を呼び寄せた
邪神阿修羅の一部と聞く。
そしてシローヌから呼ばれた
俺達聖騎士も、邪神阿修羅の一部なんだと。
ハデルは詰め寄る。
「納得出来るか!
俺は家族に会いたい。
お前はどうなんだ!ハサン!」
俺は静かに諭すように皆に伝える。
「これは決まっていたこと。
そして俺は聖騎士として使命を全うすると決めた以上、人間界の事には未練は無い。それよりも、この螺旋を断ち切れるなら、
それも俺の役目だと思う。」
聖騎士が同じ時代に二人召喚されたケースは無い。
もしかしたら、今マーラの世界での大きな節目を俺達は担ってるんじゃないのか?
そう、俺は皆へと意見を伝える。
「何故お前は割り切れるんだ!
そんなシナリオ俺は認めない!」
ハデルは怒りに我を忘れて、駆け出していく。
メリーや、サマンサ、シマジもハデルを追っていく。
「すいません」
メリーは俺達にお辞儀し、ハデルの元へ走っていった。
そうだよな。あれが正に普通の感覚。
我ながら達観してるよなと思う。
ハデルこそ主人公の感覚で、俺の立ち回りは老師とか仙人とか、神様みたいな役割の考えだよね、ふと思う。
でも、これもまたハデルにも俺にも気づきや成長の機会なんだと思う。
あいつの成り行きを見守ろう。
さて、どうするか?
「魔王に会いましょう」
今まで黙っていたセシアが話す。
魔王は既に邪神の尖兵に過ぎず、
今更会ってもしょうがなくね?
しかもどこにいんの?
色々思うところもあったけど、
先ずはセシアの意見を聞いてみた。
「何故魔王スマターに会う必要がある?」
セシアは召喚の術を教えてくれたのが
初代ハサンの妻スロリアからの伝承で、
セシアの一族に受け継がれたのだと言う。
魔王スマター=聖騎士マサフミは
命を3つに分けた。
その内の一つが三鈷剣=倶利伽羅剣であり、
後の2つはカブラギに分けられた。
だから、聖騎士として召喚される人間の姓が
「カブラギ」なんだと。
だから、元の命に還る為にスマターに会う必要があるのだと。
そして魔獣ヒババンゴの元聖騎士シオリ含む
全ての聖騎士が合体すれば、
邪神阿修羅=アドヴァンに勝つことができるのだとセシアは話す。
「その最後の合体魔法が『ゴッドハサン』。
ゴッドハサンを唱えれば
全ての聖騎士は一つになる」
それは、俺が俺で無くなる。
全てに還る技か。
事態は風雲急を告げるのであった。
次回へ続く
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
魔石と神器の物語 ~アイテムショップの美人姉妹は、史上最強の助っ人です!~
エール
ファンタジー
古代遺跡群攻略都市「イフカ」を訪れた新進気鋭の若き冒険者(ハンター)、ライナス。
彼が立ち寄った「魔法堂 白銀の翼」は、一風変わったアイテムを扱う魔道具専門店だった。
経営者は若い美人姉妹。
妹は自ら作成したアイテムを冒険の実践にて試用する、才能溢れる魔道具製作者。
そして姉の正体は、特定冒険者と契約を交わし、召喚獣として戦う闇の狂戦士だった。
最高純度の「超魔石」と「充魔石」を体内に埋め込まれた不死属性の彼女は、呪われし武具を纏い、補充用の魔石を求めて戦場に向かう。いつの日か、「人間」に戻ることを夢見て――。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
強制フラグは、いりません! ~今いる世界が、誰かの二次小説の中だなんて思うかよ! JKと禁断の恋愛するなら、自力でやらせてもらうからっ!~
ハル*
ファンタジー
高校教師の俺。
いつもと同じように過ごしていたはずなのに、ある日を境にちょっとずつ何かが変わっていく。
テスト準備期間のある放課後。行き慣れた部室に向かった俺の目の前に、ぐっすり眠っているマネージャーのあの娘。
そのシチュエーションの最中、頭ん中で変な音と共に、俺の日常を変えていく声が聞こえた。
『強制フラグを、立てますか?』
その言葉自体を知らないわけじゃない。
だがしかし、そのフラグって、何に対してなんだ?
聞いたことがない声。聞こえてくる場所も、ハッキリしない。
混乱する俺に、さっきの声が繰り返された。
しかも、ちょっとだけ違うセリフで。
『強制フラグを立てますよ? いいですね?』
その変化は、目の前の彼女の名前を呼んだ瞬間に訪れた。
「今日って、そんなに疲れるようなことあったか?」
今まで感じたことがない違和感に、さっさと目の前のことを終わらせようとした俺。
結論づけた瞬間、俺の体が勝手に動いた。
『強制フラグを立てました』
その声と、ほぼ同時に。
高校教師の俺が、自分の気持ちに反する行動を勝手に決めつけられながら、
女子高生と禁断の恋愛?
しかも、勝手に決めつけているのが、どこぞの誰かが書いている某アプリの二次小説の作者って……。
いやいや。俺、そんなセリフ言わないし!
甘い言葉だなんて、吐いたことないのに、勝手に言わせないでくれって!
俺のイメージが崩れる一方なんだけど!
……でも、この娘、いい子なんだよな。
っていうか、この娘を嫌うようなやつなんて、いるのか?
「ごめんなさい。……センセイは、先生なのに。好きに…なっちゃ、だめなのに」
このセリフは、彼女の本心か? それともこれも俺と彼女の恋愛フラグが立たせられているせい?
誰かの二次小説の中で振り回される高校教師と女子高生の恋愛物語が、今、はじまる。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる