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第九章 光陰矢の如し
第57話 各々の思惑
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魔将軍ダロムは死んだ。
天へ還った。
呪いの地とされた魔城と
かつての首都エギョマ廃墟。
剣を構えて立ち尽くすハサン達の傍らに
アヤカシの群れが息巻いている。
波動スラッシュ!
倶利伽羅剣から、迸る一迅の剣波は三鈷剣の比では無く、アヤカシの群れを両断し
片っ端らに浄化していく。
面倒だ。よし!
このまま、屠る!
ハサンは不動明王の化身が既に解けており、満身創痍ではありながら
「トホカミエミタメ」を唱える。
トホカミエミタメは元来祓いの祝詞。
そして進化した倶利伽羅剣は、やがて大きな浄化の光を方方に発振する。
光を浴びたアヤカシは一様に浄化されていく。
皆一様に解放された安堵な安らかな表情を浮かべながら。
トホカミエミタメ
トホカミエミタメ
俺は祈る。全てを感じながら。
やがてハサンを中心に一条の光が天へと登る。
すると黒雲は晴れて光が射していく。
この光も倶利伽羅剣と祝詞が呼んだ浄化の光。
首都エギョマ跡地から夥しい瘴気が消えた。
「終わったね」
セシアやジンタン、メリーに向けて
そしてエギョマの人々に向けて
俺は呟く。
スーッとその瞬間力が抜けて卒倒していく。
あ、力が抜ける……。
「は、ハサーン!」
遠くでセシアが呼んだような気がした。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
・・・・・・・!!
「ダロムが死んだ」
報告を受ける前に感じた。
魔王スマターはショックを隠せない。
玉座に座りながら眉間にシワを寄せて、
ミケランジェロの『考える人』
の彫刻のように考え込む。
彼は新参の魔将軍だった。
しかし、魔将軍ザンのような脳筋でも、
魔将軍アスタロットのような感じでもなく
スマートな佇まいで、なんとなく好きだったのに……。
まじか。
あのダロムが。
ダークエルフきっての秀才と言われた天才がまさかの敗北。
聖騎士の倶利伽羅剣と不動明王の化身の術に敗れ去った。
報告に上がったダロムの側近
パティーンにスマターは静かに伝える。
「ダロムが死んだ今、お前が魔将軍だ。
今後は魔将軍パティーンと名乗るが良い」
御意とパティーンは影のように消える。
「今回の聖騎士は今までとは違うか」
独り言のように呟くスマターであった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
トッポイ国の滅亡と共に新興した国、
シッポリ国。
シッポリ国の王バルク・ブッケンは聖騎士到来に乗じ、このエギョマ跡地にハサン達が到着の前に派兵していた。
ところが、魔城に近づくに連れて瘴気が濃くなっていくため、先ず兵の殆どが吐き気と頭痛、所々の症状により動けなくなる。
そこにアヤカシの大群が襲いかかってきたので兵は散り散りになって物の数分で憂れき目となった。
逃げ遅れた兵は悲惨としか言いようもなく、アヤカシにより食い散らかされるのであった。
「くっ!忌々しい!」
元来バルク国王は聖騎士に好意的では無い。
何故なら、魔王がいつまでも跋扈《ばっこ》しているのは聖騎士の怠慢と考えているからだ。
くわえたパイプをフカしながら、王城から夕暮れの城都を見下ろすバルク国王。
「そうだ!いい考えがある」
バルク国王はニヤリと笑みを浮かべる。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
一方、もう一人の聖騎士ハデルは
エレンの里で娘サリーから、
衝撃的な言葉を聞く。
な、何!
なんと!
邪神の正体は人間だというのだ。
次回へ続く
天へ還った。
呪いの地とされた魔城と
かつての首都エギョマ廃墟。
剣を構えて立ち尽くすハサン達の傍らに
アヤカシの群れが息巻いている。
波動スラッシュ!
倶利伽羅剣から、迸る一迅の剣波は三鈷剣の比では無く、アヤカシの群れを両断し
片っ端らに浄化していく。
面倒だ。よし!
このまま、屠る!
ハサンは不動明王の化身が既に解けており、満身創痍ではありながら
「トホカミエミタメ」を唱える。
トホカミエミタメは元来祓いの祝詞。
そして進化した倶利伽羅剣は、やがて大きな浄化の光を方方に発振する。
光を浴びたアヤカシは一様に浄化されていく。
皆一様に解放された安堵な安らかな表情を浮かべながら。
トホカミエミタメ
トホカミエミタメ
俺は祈る。全てを感じながら。
やがてハサンを中心に一条の光が天へと登る。
すると黒雲は晴れて光が射していく。
この光も倶利伽羅剣と祝詞が呼んだ浄化の光。
首都エギョマ跡地から夥しい瘴気が消えた。
「終わったね」
セシアやジンタン、メリーに向けて
そしてエギョマの人々に向けて
俺は呟く。
スーッとその瞬間力が抜けて卒倒していく。
あ、力が抜ける……。
「は、ハサーン!」
遠くでセシアが呼んだような気がした。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
・・・・・・・!!
「ダロムが死んだ」
報告を受ける前に感じた。
魔王スマターはショックを隠せない。
玉座に座りながら眉間にシワを寄せて、
ミケランジェロの『考える人』
の彫刻のように考え込む。
彼は新参の魔将軍だった。
しかし、魔将軍ザンのような脳筋でも、
魔将軍アスタロットのような感じでもなく
スマートな佇まいで、なんとなく好きだったのに……。
まじか。
あのダロムが。
ダークエルフきっての秀才と言われた天才がまさかの敗北。
聖騎士の倶利伽羅剣と不動明王の化身の術に敗れ去った。
報告に上がったダロムの側近
パティーンにスマターは静かに伝える。
「ダロムが死んだ今、お前が魔将軍だ。
今後は魔将軍パティーンと名乗るが良い」
御意とパティーンは影のように消える。
「今回の聖騎士は今までとは違うか」
独り言のように呟くスマターであった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
トッポイ国の滅亡と共に新興した国、
シッポリ国。
シッポリ国の王バルク・ブッケンは聖騎士到来に乗じ、このエギョマ跡地にハサン達が到着の前に派兵していた。
ところが、魔城に近づくに連れて瘴気が濃くなっていくため、先ず兵の殆どが吐き気と頭痛、所々の症状により動けなくなる。
そこにアヤカシの大群が襲いかかってきたので兵は散り散りになって物の数分で憂れき目となった。
逃げ遅れた兵は悲惨としか言いようもなく、アヤカシにより食い散らかされるのであった。
「くっ!忌々しい!」
元来バルク国王は聖騎士に好意的では無い。
何故なら、魔王がいつまでも跋扈《ばっこ》しているのは聖騎士の怠慢と考えているからだ。
くわえたパイプをフカしながら、王城から夕暮れの城都を見下ろすバルク国王。
「そうだ!いい考えがある」
バルク国王はニヤリと笑みを浮かべる。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
一方、もう一人の聖騎士ハデルは
エレンの里で娘サリーから、
衝撃的な言葉を聞く。
な、何!
なんと!
邪神の正体は人間だというのだ。
次回へ続く
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