47歳のおじさんが異世界に召喚されたら不動明王に化身して感謝力で無双しまくっちゃう件!

のんたろう

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第八章 魔城の決戦

第55話 神剣!倶利伽羅剣!

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朝、偽ゲーベルドンの姿はなかった。

生贄を渡す役割の本物のゲーベルドンが死に、その事をさっそく、仲間である紫の海賊に伝えにでも行ったのか。

看守らの姿に、特別いつもとは違った行動は見られない。僕を見る目も、いつも通りだ。

僕は、いつも通り、カインハッタ牢獄内の回廊を歩き、異変がないかどうかを、見回った。

囚人部屋001の二重人格者であるアタフ、リョウバを小窓から覗き、前と変わらずおかしな言葉を使うアタフがいる。

こういう状態になれば、もう以前の様に何かの情報を訊き出す事はできないだろう、そう思った。

そして、僕は何も気にせず、再び歩き出したんだ。

次に囚人部屋の小窓を覗いたのが、0053だった。

貴族階級で罪名不明で、常に瞑想していた中年男。でも、その瞑想しないるはずの男の目が開き、こちらを見ている。

僕は、彼の目に違和感を感じ、声をかけてみた。

そうしたら、もうじきに、私はこの場所を去る事になるだろう、そう言ったんだ。脱走宣言、そんなものが許されると思っているのか、と。

悪しき魔石をよく破壊したな、そう言っていた。

この男の目は、罪人の様な目ではなく、とても澄んだ目をしている。


彼は、僕に一言告げたら、再び瞑想に入り、口を開く事はなかった。

何を考えているのか、よくはわからなかったけど、目を離すべきではないだろう。何故、魔物化したゲーベルドンの心臓部の宝石破壊を知っているのかも、気になる。



でも、この男の言葉を訊いた後、僕は急いでアタフの元へ向かったんだ。



額に何か描かれ、消した様な跡があったアタフ。それ以降、意味のわからない事ばかり言う様になった。



アタフがまた何かを語る。



もう一度、語り出す言葉をよく訊く。




お母様から昔、各地方に出向いた時に、持ち帰り、僕に与えた本。





その1冊に、忌まわしい島として記されていた、ケツァル島の特殊言語だ。





ただ一度だけ、お母様が本に記されていた文章を一部、読んでくれた事があって、そこから幼少時、僕なりに解読した事があった。



だけど、遥か遠くの記憶だ、はっきりとその言葉の意味が思い出せなかったんだ。



次に、僕が思い出したのは、囚人部屋に記されていたあの象形文字だった。



ベリオストロフ・グリーンディの部屋。




あれも、ケツァル島の特殊言語だ。





間違いなく、このカインハッタ牢獄内にケツァル島の者がいる。






誰に何かを伝えようとしている。






誰にだ。






各囚人部屋から出て、他の囚人と交流する機会はない。だとしたら、看守か、囚人アタフの仲間か。




アタフは盗賊団ガリンシャにいた、その仲間か家族か。でも、ここに来て、アタフは誰一人面会に来た者はいないはずだ。





囚人部屋で唯一、出入りができる囚人は、ベリオストロフ・グリーンディ。






彼にアタフのケツァル島の特殊言語を伝えるには、あまりにも回りくどい。







看守に伝えようとしているのか。







まさか、









僕が、ベリオストロフ・グリーンディのいない時に、彼の囚人部屋に入って、壁の象形文字を見入っていたその姿を見た者が、










僕を試そうとしているのか。







ジスマリアの25日
     カインハッタ牢獄内にて
_________________________

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