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第八章 魔城の決戦
第53話 魔城の攻防①
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ハデルは邪神の秘密を探るべく、
エレンという人物が住む里へと辿り着く。
「わが名は聖騎士ハデルである。
エレンという名の者はいるか!」
人っ子一人昼間だと言うのに
誰も外を出歩いていない
閉鎖的な活気の無い里。
一人の女性が現れる。
すらっとした金髪の美しい容姿、
こんな里には似つかわしくないな、
この人がエレンか?
ハデルはそう思った。
その女性は答える。
「私はエレンではありません。
エレンは私の母です。
私はその娘サリーです。」
おお。娘か。でかい娘さんいるんだな。
年の頃は20頃かな?
しかし綺麗な子だな。
いやいや、お母さんに用事があんだよね。
聞いてみよう。
「サリー殿。お母様はどちらに?」
ハデルより先にメリーが尋ねる。
サリーの話によれば、母エレンは里に下り
数年後に病気で亡くなったようだった。
そしてサリーは、エレンより
衝撃的な事実を告げられる。
『邪神の正体』についてであった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ハサン達一行は古城へと向かう。
あそこには、何かがある。
直感が教えてくれる。
そして、聖騎士同士の繋がりによりハデル達が邪神の正体に近づいているのも感知した。
ハデルが邪神の秘密を暴いてくれる。
向こうにはサマンサもいる。
「さあ、行こう。何が起きても。
恐れる物は何も無い。
私が通るこの道こそ道である!」
ハサン達は進む。
前を見ながら一歩ずつ。
暫く道なりに、やがて道はなだらかな勾配になり、ハサン達は丘の上にある古城へ辿り着く。
物々しい、それでいて禍々しい建物が
聳《そび》える。
エギョマ王城、かつてそう呼ばれた名城は
魔王の配下の居城へと姿を変えていた。
城の門に対となる女神像は醜悪なアヤカシの像となり、ハサン達を見下ろす。
「さあ、行こう。」
ハサンは重い門の扉を開く。
ギ、ギギィー……。
扉は開く。重く、冷たく。
そこには夥(おびただ)しいアヤカシの軍勢が
ハサン達を待ち構えていた。
「矢張り罠でしたか」
ジンタンは抜刀して構える。
魔王軍の中に人影が見える。
腕組みをして毅然と立ちはだかり、
一際大きな瘴気を纏う男。
魔将軍ダロムである。
「待っていたぞハサン。
尋常に勝負!」
魔将軍ダロムは魔剣エリザベートを構える。
その横には魔将軍ダロムの配下、
猛将パティーンも控えている。
魔将軍ダロムは号令をかける。
「者共!総攻撃!聖騎士共を血祭りにするのだ!突撃ィィッ!!!」
100のアヤカシの魔軍がハサン達に
一気に襲いかかる。
セシアとメイは魔法で氷結や雷の呪文を駆使して、その隙にジンタンの波状攻撃をかける。
「雷鳴の術!」
雷光に包まれた一瞬アヤカシの動き
が止まる。
「氷結の術!」
ピキピキッ……。氷結魔法により凍らされたアヤカシ、これも又動きが止まる。
「タンレン流剣殺法!骸《むくろ》!」
ジンタンは普段使う太刀ではなく、
小刀を使い超高速でアヤカシ達を切っていく。
その姿はまるで分身のように鮮やかで華麗であった。
しかし、やがて多勢に無勢か。
勢いが少しずつ落ちていく。
「か、数が多い。」
メイとセシアの魔法力も少しずつ削られる。
ジンタンも息が荒い。
骸は俊敏さが求められる為、
それだけ体力を浪費してしまうのだ。
やばい。負けるかも。
ジンタンは正直気持ちが折れかけていた。
ハサン様は?!振り返ると
ハサンは立ち尽くしている。
まさか、臆したのですか。ハサン様。
若干涙目でジンタンはハサンを見つめる。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
ハサンは目を閉じて、震える。
ここだ。これだ!
昔スーパーヒーローになりたかった。
俺は異世界でヒーローになっている。
任せろ!全ては俺の手の中に!
「お前達!下がれ!後は任せよ!」
ハサンは目を開ける。
その姿は光に満ち満ちていた。
『ノウマクサーマンダー、バーサラダンセンダー、マーカロシャーナー、ソワタヤ、ウンタラターカンマン!!出神《しゅつじん》
金剛夜叉明王大降臨!!』
一瞬で印を組み、
ハサンは金剛夜叉明王へと化身する。
大いなる光が立ち込める。
この光だけで、浄化してしまう物もいる。
それ位強力な天恍が射す。
『ハァァァ……!!金剛夜叉大合激《こんごうやしゃだいごうげき》ィィィッ!!』
三鈷剣がバカみたいに何倍にも大きくなり、その一振りが巨大な炎の竜巻を生む。
ゴゴゴゴッ……ドガーーーーン!
巨大な竜巻は一気にアヤカシ達を包み、
やがて昇華し雲散霧消する。
『ありがとう』
『ありがとう』
アヤカシに殺された魂はアヤカシとなる。
今、ハサンはアヤカシの魂を救ったのだ。
「次はお前の番だ!
恨みは無いが天に登って貰う!」
三鈷剣を魔将軍ダロムへ向ける。
さあ、魔将軍との戦いの火蓋は
切って落とされた!
続きは次回へ
エレンという人物が住む里へと辿り着く。
「わが名は聖騎士ハデルである。
エレンという名の者はいるか!」
人っ子一人昼間だと言うのに
誰も外を出歩いていない
閉鎖的な活気の無い里。
一人の女性が現れる。
すらっとした金髪の美しい容姿、
こんな里には似つかわしくないな、
この人がエレンか?
ハデルはそう思った。
その女性は答える。
「私はエレンではありません。
エレンは私の母です。
私はその娘サリーです。」
おお。娘か。でかい娘さんいるんだな。
年の頃は20頃かな?
しかし綺麗な子だな。
いやいや、お母さんに用事があんだよね。
聞いてみよう。
「サリー殿。お母様はどちらに?」
ハデルより先にメリーが尋ねる。
サリーの話によれば、母エレンは里に下り
数年後に病気で亡くなったようだった。
そしてサリーは、エレンより
衝撃的な事実を告げられる。
『邪神の正体』についてであった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ハサン達一行は古城へと向かう。
あそこには、何かがある。
直感が教えてくれる。
そして、聖騎士同士の繋がりによりハデル達が邪神の正体に近づいているのも感知した。
ハデルが邪神の秘密を暴いてくれる。
向こうにはサマンサもいる。
「さあ、行こう。何が起きても。
恐れる物は何も無い。
私が通るこの道こそ道である!」
ハサン達は進む。
前を見ながら一歩ずつ。
暫く道なりに、やがて道はなだらかな勾配になり、ハサン達は丘の上にある古城へ辿り着く。
物々しい、それでいて禍々しい建物が
聳《そび》える。
エギョマ王城、かつてそう呼ばれた名城は
魔王の配下の居城へと姿を変えていた。
城の門に対となる女神像は醜悪なアヤカシの像となり、ハサン達を見下ろす。
「さあ、行こう。」
ハサンは重い門の扉を開く。
ギ、ギギィー……。
扉は開く。重く、冷たく。
そこには夥(おびただ)しいアヤカシの軍勢が
ハサン達を待ち構えていた。
「矢張り罠でしたか」
ジンタンは抜刀して構える。
魔王軍の中に人影が見える。
腕組みをして毅然と立ちはだかり、
一際大きな瘴気を纏う男。
魔将軍ダロムである。
「待っていたぞハサン。
尋常に勝負!」
魔将軍ダロムは魔剣エリザベートを構える。
その横には魔将軍ダロムの配下、
猛将パティーンも控えている。
魔将軍ダロムは号令をかける。
「者共!総攻撃!聖騎士共を血祭りにするのだ!突撃ィィッ!!!」
100のアヤカシの魔軍がハサン達に
一気に襲いかかる。
セシアとメイは魔法で氷結や雷の呪文を駆使して、その隙にジンタンの波状攻撃をかける。
「雷鳴の術!」
雷光に包まれた一瞬アヤカシの動き
が止まる。
「氷結の術!」
ピキピキッ……。氷結魔法により凍らされたアヤカシ、これも又動きが止まる。
「タンレン流剣殺法!骸《むくろ》!」
ジンタンは普段使う太刀ではなく、
小刀を使い超高速でアヤカシ達を切っていく。
その姿はまるで分身のように鮮やかで華麗であった。
しかし、やがて多勢に無勢か。
勢いが少しずつ落ちていく。
「か、数が多い。」
メイとセシアの魔法力も少しずつ削られる。
ジンタンも息が荒い。
骸は俊敏さが求められる為、
それだけ体力を浪費してしまうのだ。
やばい。負けるかも。
ジンタンは正直気持ちが折れかけていた。
ハサン様は?!振り返ると
ハサンは立ち尽くしている。
まさか、臆したのですか。ハサン様。
若干涙目でジンタンはハサンを見つめる。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
ハサンは目を閉じて、震える。
ここだ。これだ!
昔スーパーヒーローになりたかった。
俺は異世界でヒーローになっている。
任せろ!全ては俺の手の中に!
「お前達!下がれ!後は任せよ!」
ハサンは目を開ける。
その姿は光に満ち満ちていた。
『ノウマクサーマンダー、バーサラダンセンダー、マーカロシャーナー、ソワタヤ、ウンタラターカンマン!!出神《しゅつじん》
金剛夜叉明王大降臨!!』
一瞬で印を組み、
ハサンは金剛夜叉明王へと化身する。
大いなる光が立ち込める。
この光だけで、浄化してしまう物もいる。
それ位強力な天恍が射す。
『ハァァァ……!!金剛夜叉大合激《こんごうやしゃだいごうげき》ィィィッ!!』
三鈷剣がバカみたいに何倍にも大きくなり、その一振りが巨大な炎の竜巻を生む。
ゴゴゴゴッ……ドガーーーーン!
巨大な竜巻は一気にアヤカシ達を包み、
やがて昇華し雲散霧消する。
『ありがとう』
『ありがとう』
アヤカシに殺された魂はアヤカシとなる。
今、ハサンはアヤカシの魂を救ったのだ。
「次はお前の番だ!
恨みは無いが天に登って貰う!」
三鈷剣を魔将軍ダロムへ向ける。
さあ、魔将軍との戦いの火蓋は
切って落とされた!
続きは次回へ
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