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第七章 邪神の秘密を追え

第49話 ウルフィー②

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突如現れた巨体のオオカミ型アヤカシ=ウルフィーの襲来。
 
冬の寒空一晩の仮宿にも訪れた
廃屋は爆発音と共に木っ端微塵に吹き飛ぶ。 

ウルフィーの思念を探るメイは、ウルフィーが操られているのを知る。

『タ、タスケテ……』

ジンタンは一人の術者を打ち倒すが、実はもう一人以上の術者がいる事が判明。

暗闇の中、ウルフィーを操る魔法術者を探し気配を探るジンタン。

カサカサ……‥。
ヒュー……。
サラサラ……。

気配はあるが、術者の姿が確認出来ない。

焦る。焦れば焦るほど、
ハサン達は追い込まれてくる。

通常の攻撃が全く効かないのだ。

「ハサン様!化身の術を!」
ジンタンは叫ぶ。

ハサンに化身するよう促す。

何か策があると察したハサンは印を組む。

『ノウマクサーマンダー、バーサラダーセンダーマーカロシャーナー、ソワタヤ、ウンタラターカンマン!
出でよ!不動明王神!大降臨!』

まばゆい光が、付近を照らす。
それは、正に一時的に昼間の様相にするからの如く、圧倒的な光。

辺りが一面光となったことで、
隠れていた術者を見つけたジンタン。

術者は「ハッ」として隠れようとするが、ジンタンは風のように駆け抜けて首を跳ねる。

シュパッ!

タンレン流剣殺法『流』の居合が術者に決まる。首を失ったフードの男は手をバタバタして、やがて倒れた。

ハサンは不動明王に変化し、ウルフィーに掴みかかる。

強引に持ち上げると、隣の森の方まで強引に放り投げる。

キューンと嘶くも、クルッと回転し着地する。

三鈷剣で身構える不動明王ハサン
構えは『霞』
一突きを狙っている。

ゆっくりと歩み寄るウルフィー。

ごくり。緊張の一瞬。
メイもセシアもジンタンも、
固唾を飲んで見守る。

ウルフィーとハサンの一騎打ち。

術者は倒したはず。
ジンタンは周囲を見渡す。
まだウルフィーの術は解けないのか。

まだ術者はいるのか?
背中に、冷や汗が止まらない。

ウルフィーの紫色の瘴気が大きくなる。
ハサンの白光の波動オーラも共に大きくなる。


『そこまでよ!』


一触即発の瞬間を、止める一人の影。

シローヌである。

かつて邪神に操られ、センダー国王配下の専属の影として暗躍した謎の人物。

シローヌには何度も助けられている。

そして、シローヌは今回もウルフィーとハサンの闘いを仲裁している。
一体何者なのか?

ジンタンは、ハサン、ウルフィー、シローヌの行方を見守る。

「あなたは既に術は解けてるのよ。
もう闘う理由は無いのではなくて?」
ウルフィーに詰め寄るシローヌ。

「スマヌ。アリガトウ。ソウダ。ワタシハ、モウジユウ。」
ウルフィーは一礼をして立ち去ろうとする。

猛獣だけに、モウジユウか
なんて思いながら眺めてると
セシアは慌てて交渉に入る。

「こらこら!こっちは術を解いたんだ!相応の報酬は払ってもらうよ!
あなた、召喚獣の契約をしなさいよ!」

「ソレデハ、ウヌタチノチカラヲ、
サイド、ワレニ、シメスガヨイ。」

瘴気が更に大きく膨れ上がる。

余計なことしてくれたな、
ハサンは思った。

だが、ウルフィーが仲魔になれば、
背を預けられる機会が増える。

これに越した事はない。

よし!やったるか。

「恨みっこ無しだ。思いっきり来い!」
三鈷剣は波動オーラで白炎を帯びて光る。

次回へ続く
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