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第六章の続き

第40話 囚われのハデル

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風がよく似合う。
5人の戦鬼と人は噂をする。

そう、聖騎士一行だ。

聖騎士ハサン
召喚士セシア
剣士ジンタン
魔法使いメリー
魔獣ヒババンゴ=前聖騎士シオリ

ヒババンゴなんぞは、
召喚獣の扱いなのに、
ずっと召喚され続けてる。  

最早同行者だ。
 
この世界を守るために、
愛のために闘うのだ。

今回の任務は血も涙もない人狼を
愛の元に浄化する。

聖騎士ハサン、誰がために闘う?

洞窟に着いた。
この洞窟に魔狼が潜んでいるのだとのこと。

ハサンと、セシアは違和感を感じた。
マスタードのような臭いがするのだ。

そう、この独特なマスタードの臭いこそ、
アヤカシがいる気配なのである。

だがおかしい……。

違和感がある。
でも違和感の正体は掴めない。

ともかく依頼を果たそう。 

「セシア、分かるか?
この嫌な感じ。」
でも気になる。
セシアに聞いてみたハサン。

「何かあるわね。アタイの直感は行くなと言ってるわ」
セシアも答える。
セシアもそう、訳の分からない違和感を感じてるのだ。

「とにかく進みましょう。
前に行かなければ道は見えません」
ジンタンは二人を諭す。

洞窟の入り口から奥へ進む。

何メートル進んだろうか。
どんどん身体が重くなる。

おかしい。引き返すか?

キビツを返して入口を向いた時、
直感で「罠だ」と悟った。

何故なら入口へ歩いたはずなのに、
キビツを返した地点へループしているからだ。

セシアは目印に赤い魔法印を岩柱に付ける。
「これで、同じところを回周しているか分かる」

一行は入口へと引き返す。
引き返す。
引き返す。

・・・・・!!

岩柱には、くっきりと赤い魔法印が記されていた。

「私達はハメられたようですね」
ジンタンは溜息を付く。

おまえが、言うかい!
お前が行くしかないって
言うたやんけ!!

ハサンは心で突っ込んでいたが
シナリオ通りだと知っていた。

ジンタンがどう言おうが、
選択したのは「わたし」であり、
こうなるのは自明の理だった。

全肯定の極意を使い、
今あることを受け止める。

では、次はどうなるかを自ら選択しよう。

「皆!聞いてくれ!
これは恐らく罠である。
でも進もう。自ら道を切り拓こう!」

ハサンは一同を奮い立たせるように鼓舞していく。 

意を決して進む一同。

すると視界が開ける。
洞窟の中が広くなった。

すると、大きな石牢があり、
そこには何人かの人影が見えた。

いずれも倒れて生き絶え絶えに見えた。

初めてなのに分かった。
私と同じ聖騎士。

ハデルと、その一行だ。

敵は?!周りを見渡す。
その時!

次回へ続く!
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