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第六章の続き

第39話 王女サマンサ

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かつて存在した亜人国家
トッポイ国。首都エギョマは、
古代から貿易の要所として栄えていた。

そして、何故邪神アドヴァンは
魔王スマターを介して
トッポイ国を襲撃したのか?

それはアドヴァンが纏う闇の衣を剥ぐ
封印の呪文を代々王女が伝心していた。

邪神アドヴァンは、聖騎士の到来より、
封印の呪文を恐れた。

いつか、我が身を脅かす
輩が現れるに違いないと、
後の先を取り、
首都エギョマを襲ったのである。

時の国王ヤヴァイは、娘と腹心である
剣士ドーマを城から逃した。

その娘こそハデルの従者にて
魔法剣士サマンサである。

剣士ドーマは王女に生き抜くために、
剣を教えた。
代々魔法家系である猫系の亜人サマンサは、
剣の腕の向上に加えて、
炎や氷、風、雷等の魔法力を
エンチャントしたり、
攻撃や防御を増加する魔法を
覚えるようになる。

やがて旅の末に剣士ドーマは病魔に侵され、
命を落とす。

ギルドで冒険者として生きている中、
聖騎士ハデルに出会うのだった。

そして聖騎士同士の念話から、
トッポイ国を襲撃したのは、
魔王スマターではあるが、
背後に邪神アドヴァンと言う
真の敵がいると知るのだった。

サマンサは聖騎士に付いていって
正解だと素直に思った。 
この男に付いていけば、
必ず父を国を滅ぼし蹂躙した魔王や
邪神に繋がると思った。

フフフ。と無意識に笑いがこみ上げる。

無慈悲に奪ったその行為の報いを受けるが良いと
『仇を討てる』喜びに震えていた。

そして、封印の呪文は伝承の如く、
邪神に効いた。

更にハデルの『貴皇帝の鎧』は、
想像以上の破壊力だった。

勝った!やった!
邪神の一身といえど、これを繰り返せば
魔王も邪神も倒せる。

仇を討った!ザマアミロ!
ガッツポーズで歓喜に震える中、
あの女魔将軍が現れた。

アスタロットである。
力を使い果たした私達は
全く抵抗出来なかった。

またしても魔王の一派に出し抜かれるとは。
悔しさで涙が止まらない。

クソー!殺してやる!
最後の火球の魔法もアスタロットには
全く効かない。

サマンサは気を失った。
邪神を封印する古代呪文は
自らの力を一気に開放する。

小さい頃から練習していた。
城から逃亡し、ドーマと旅していた時も
一時も練習を欠かさなかった。

やっと宿願の仇を討てたと思っていたのに。

・・・どのくらい眠っていたのか。

ここは?どこだ?暗い。
洞窟?ハデル様は?

近くには、牢の中でハデルや召喚士メリー、
そして狼族の獣人シマジが倒れている。

どうやら、私が先に目を覚ましたようだ。
ヒールで回復しようと聖騎士から
順番に回復を試みるも、ヒールが発動しない。

『魔法が封印されている』
瞬時に理解した。ここは封印の結界が
全体的に張られている。

しかも超強力な結界である。

「ハデル様。強力な結界に我々は囚われています。
魔法の類は一切使えません」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

ハデルは悔しがる。
俺がもっとしっかりしていれば。

これは聖騎士抹殺を掲げる
女魔将軍アスタロットの巧妙な罠。

きっとハサン達は、ここに向かって来ている。
聖騎士の繋がりで一瞬見えたのだ。

アスタロットの計略で人狼退治を依頼する
里の人々は全てアヤカシであること、
素直に信じているハサン達。

そして、その映像を垣間見る事が出来ても
今自分が何も出来ないのを痛いくらい
実感出来ているから、尚悔しさが込み上げるのだ。

「メリー。何とかハサンに伝えられないか。
ここに来ては駄目だ。
封印を破らなければ。」
ハデルはメリーに尋ねる。

しかし分かっていた。
そんな手段は無いのだと。

ハサン達一行は何も知らず、
封印の洞窟に到着しようとしていた。
 
次回へ続く
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