上 下
31 / 119
第五章 天魔降伏編

第29話 邪神アドヴァン

しおりを挟む
国家反逆罪の罪で、
マイヨールの街、
ウェーダー邸から連行されるハサン一行。

ウェーダーによると、
弟であるカンデンブルグ国王は
邪神が乗り移っていると言う。

センダー国に到着して、早々に
広場にて処刑を言い渡される。

処刑方法は火刑である。
16世紀に魔女狩りで有名になった
あの生きたまま焼かれる火刑。

手足を縛られ、柱に括り付けられた
ハサン達はジンタンの縄抜けと、
アンチマジックフィールドの術者を廃した事で、
急死に一生を得る。

黒幕はカンデンブルグ国王と詠んだ
ハサン達は、
衛門を突き破り、城に突入した。

しかし、待っていたのは
センダー国王の宰相マンデリン。

「王に仇なす不届き者、偽聖騎士ハサンよ。
国家反逆罪により貴様を郎党ともども成敗致す!
者共かかれ!」

テンプレートのような号令で、
マンデリンは兵士を焚き付ける。

セシアはすかさず、
召喚獣レオナルド熊を召喚し、兵へ襲わせる。

城門にいきなり、
熊のアヤカシが出てきたので、
兵士達は慌ておののき、隊列が崩れた。

その隙に、メイが炎嵐ファイヤーストーム
の魔法の印を組み詠唱する。

「ファイヤーストーーム!」

辺りは業火の炎に包まれ、
兵士は為すすべもの無く
火達磨ひだるまと化して、燃えていく。

火に焼かれる者は、下手に転がるものだから、
辺りの人や物に引火していくのであった。

そしてジンタンは慌てふためく兵士を
風のように始末していくのであった。

「ぐぬぬぬ」
悔しがるマンデリン。

その時、メイではない人物から
詠唱が聞こえる。

誰だ?この声はあいつか。
シローヌ。
ハサンはロシーヌに目をやる。

ロシーヌは雨天結構の呪文で大雨を降らす。
やがて炎は沈下していく。

しばしの沈黙。
事態は小康状態になるかという、
その時口を開いたのはセシアだった。

「ハサン。こいつは人間じゃないよ。
ゲロ以下の臭いがプンプンするぜ!
アタイには分かるんだ」

と言ってのけると、
どこから持ってきたのかロウソクの蜀台を
マンデリンへ向けて蹴り飛ばした。

ハナナガ族のセシアは生来鼻が利く。

そして魔術の心得があるセシアは、
アヤカシとアヤカシ以外の臭いが区別出来るのだ。

そうか。カンデンブルグ国王の配下も
人間ではないのは当然予測できたことだが、
カンデンブルグを裏から操っていたのは、
この宰相マンデリンではないのか?

だが確証がない。
何か方法はないか?
あのドラゴンクエステトラでは、
鏡で魔物の正体を見破った。

ここは撤退して、その鏡のようなアイテムを
探さなくてはだめか?

ハサンは思考をくぐらす。

魔獣ヒババンゴこと元聖騎士シオリは叫ぶ。

「あんたが持ってる三鈷剣は飾りじゃないよ。
魔性を見抜く霊剣だ。
あいつに剣を挿頭かざせ。
三鈷剣はお前の願いに応えるよ」

おお!三鈷剣!
よし!

「聖騎士ハサンが命ず!
我の前の仮初めの衣を剥がし、本性を暴け!
トホカミエミタメ、トホカミエミタメ」

三鈷剣は青白い光を帯び、
やがて大きな光となりマンデリンの姿を覆う。

すると、マンデリンの姿は
蝙蝠のような翼と、
タコのような頭と触手、
身体はドラゴンのような
出で立ちに、どんどん姿を変える。

ついには5メートルほども
巨大化していくのである。

「よくぞ見破った。此度のハサンは
少し違うな。シローヌ、貴様は従者をやれ。
我は聖騎士と召喚士の相手をする。

直ぐに死ぬると思うな。
百の肉片に引き裂いてやる。
だが、ハサン。お前は死なない。
召喚士ともども未来永劫苦しませてくれる。さあ、来い。お前に我が倒せるか。
我が名は邪神アドヴァン。
お前の返り血を美酒としようぞ」

マーラを揺るがす天魔決戦は
ここ王都では
始まろうとしていた。

次回へ続く
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ハサンDeハサン〜聖騎士伝説序章〜

のんたろう
ファンタジー
ある日急に異世界マーラに召喚された男は 聖騎士ハサンと名乗り、 魔王スマターを、倒せと命じられる。  「47歳のおじさんが異世界に召喚されたとて、そんなに都合の良いことは起きないよ」=しなおじ の外伝になる物語です。

最強の滅竜士(ドラゴンバスター)と呼ばれた俺、チビドラゴンを拾って生活が一変する

八神 凪
ファンタジー
滅竜士(ドラゴンバスター)の通り名を持つ冒険者ラッヘ、二十八歳。 彼の住んでいた町はその昔ドラゴンの攻撃により焦土と化し、両親や友人、知り合いを多く失った。 それから逃げ去ったドラゴンを倒すため、復讐の日々が始まる。 死を何度も覚えるような修行の末、ドラゴンをたった一人で倒せるほど鍛えることができた。 そして十年の月日が流れ、約三十頭のドラゴンを討滅した彼は『滅竜士(ドラゴンバスター)』として有名になっていた。 だが、とある日に受けたドラゴン討伐から、彼の生活は変わっていく。 ドラゴンに関する秘密と共に――

ゲームのモブに転生したと思ったら、チートスキルガン積みのバグキャラに!? 最強の勇者? 最凶の魔王? こっちは最驚の裸族だ、道を開けろ

阿弥陀乃トンマージ
ファンタジー
 どこにでもいる平凡なサラリーマン「俺」は、長年勤めていたブラック企業をある日突然辞めた。  心は晴れやかだ。なんといってもその日は、昔から遊んでいる本格的ファンタジーRPGシリーズの新作、『レジェンドオブインフィニティ』の発売日であるからだ。  「俺」はゲームをプレイしようとするが、急に頭がふらついてゲーミングチェアから転げ落ちてしまう。目覚めた「俺」は驚く。自室の床ではなく、ゲームの世界の砂浜に倒れ込んでいたからである、全裸で。  「俺」のゲームの世界での快進撃が始まる……のだろうか⁉

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

NTRエロゲの世界に転移した俺、ヒロインの好感度は限界突破。レベルアップ出来ない俺はスキルを取得して無双する。~お前らNTRを狙いすぎだろ~

ぐうのすけ
ファンタジー
高校生で18才の【黒野 速人】はクラス転移で異世界に召喚される。 城に召喚され、ステータス確認で他の者はレア固有スキルを持つ中、速人の固有スキルは呪い扱いされ城を追い出された。 速人は気づく。 この世界、俺がやっていたエロゲ、プリンセストラップダンジョン学園・NTRと同じ世界だ! この世界の攻略法を俺は知っている! そして自分のステータスを見て気づく。 そうか、俺の固有スキルは大器晩成型の強スキルだ! こうして速人は徐々に頭角を現し、ハーレムと大きな地位を築いていく。 一方速人を追放したクラスメートの勇者源氏朝陽はゲームの仕様を知らず、徐々に成長が止まり、落ちぶれていく。 そしてクラス1の美人【姫野 姫】にも逃げられ更に追い込まれる。 順調に強くなっていく中速人は気づく。 俺達が転移した事でゲームの歴史が変わっていく。 更にゲームオーバーを回避するためにヒロインを助けた事でヒロインの好感度が限界突破していく。 強くなり、ヒロインを救いつつ成り上がっていくお話。 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』 カクヨムとアルファポリス同時掲載。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

強さがすべての魔法学園の最下位クズ貴族に転生した俺、死にたくないからゲーム知識でランキング1位を目指したら、なぜか最強ハーレムの主となった!

こはるんるん
ファンタジー
気づいたら大好きなゲームで俺の大嫌いだったキャラ、ヴァイスに転生してしまっていた。 ヴァイスは伯爵家の跡取り息子だったが、太りやすくなる外れスキル【超重量】を授かったせいで腐り果て、全ヒロインから嫌われるセクハラ野郎と化した。 最終的には魔族に闇堕ちして、勇者に成敗されるのだ。 だが、俺は知っていた。 魔族と化したヴァイスが、作中最強クラスのキャラだったことを。 外れスキル【超重量】の真の力を。 俺は思う。 【超重量】を使って勇者の王女救出イベントを奪えば、殺されなくて済むんじゃないか? 俺は悪行をやめてゲーム知識を駆使して、強さがすべての魔法学園で1位を目指す。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

処理中です...