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第五章 天魔降伏編
第27話 火計のハサン
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マイヨールの街にある領主ウェーダーの館で、
捕縛されるハサン一行。
その中にはウェーダーもあった。
木枯らしが、吹き荒み、
昨夜から雪になっていた。
一応公爵であるウェーダーと、
世界を救う聖騎士一行である為、
専用の馬車で護送される面々。
正直、まじかっと思った。
最悪城で戦闘だなと。
召喚士と聖騎士は
魂の繋がりによる契約のために、
テレパシーで会話が出来る。
お互いにチャンネル(周波数)
を短波に合わせる、
そんな感覚で二人は語り合う。
※心の声ハサン
「どうする?城に連行されて、
王が見えたら殺っちゃうか?」
※心の声セシア
「いやー。ちょっと相手の出方を待とう。
少し気になるんだよね」
なんかセシア成長したなー。
会った頃は「アタイに聞かれても~」
って感じだったのに。
メイとジンタンは、
そんな二人の心の会話には気付かない。
二人とも目を閉じているものだから、
こんな時によく寝れるなーと感心するメイ。
ジンタンは、この二人は何か考えている、
意識合わせをしているのだと気付く。
時折ハサン又はセシアのどちらかが、
意図して『頷いている』からである。
一日かけて馬車はセンダー国の
首都センダーに到着した。
マヨールの街より広く、高い城壁に囲まれ、
水の都とも呼ばれる屈指の城壁都市センダー。
城下の横には海が広がり、
古来より貿易で潤ってきた歴史がある。
「潮の香りなんて、久方ぶりだな」
なんて呑気なことを
言いながら連行される一同。
町の広場に着くハサン達。
いつ城に行くんだ?
どうやって牢から騒がれずに出るか?
王の正体を確認するにはどうするか?
なんて色々考えていると
連行する兵士長は、驚くべき事を
皆に言いのけるのであった。
「ウェーダー卿は尋問のために
牢に入ってもらうことになります。
お前ら、偽聖騎士は逆徒として今宵処刑する。
執行場所は本広場で『火炙り』以上!」
何?火炙り?
偽聖騎士?
センダー城下をろくに見る前に、
着いて早々に処刑?
でも大丈夫。
いざとなれば力を使ってどうにかなる。
不安そうに震えながら、
こちらを見るメリー。
ウェーダーは城へと連行されていき、
広場にはだんだんと人集りが出来てきた。
『聖騎士の名を騙る偽者が
国家転覆を目論んだ為、
国家反逆罪として処刑する』
と大きな張り紙が立てられる。
そそくさと刑の準備が進む。
裁判や弁明無しかよ、
いよいよ国王は聖騎士を屠ろうとしているな。
いよいよ黒幕のお出ましなのか?
ハサンは考える。
向こうの状況はどうであれ、
これで敵が判明した。
※心の声ハサン
「縛り棒に繋がれて火が放たれる前に
俺は化身の術を使う。
セシアは、召喚獣で撹乱してくれ。
この場を収めたら、
ウェーダー救出と王を討つぞ!」
※心の声セシア
「分かったわ。でも、流石に
少しは演技しないと怪しまれるわね。よーし」
確かにセシアとハサンは、
特に何も意見を言わず黙々と
相手方の指示に従っているように見えた。
これから処刑されようとしているには、
動揺が見えないのだ。
「やめて!火炙りは、
王様に私達の無実を弁明させて!」
セシアは声の限り叫ぶ。
うまい!役者だな。私も続こう。
「そうだ!私は偽物ではない。
正当な聖騎士だ。
このような仕打ちは許されんぞ。
王に会わせよ!」
どうだ?我ながら名演技。
メイは泣きながら命乞いする。
「助けて!助けて!」
確かにメイには酷だよな。
今まで、人とほぼ接点がなくて
魔獣ヒババンゴの娘として生きてきたのに
聖騎士パーティで世間をようやく知り始めたと思いきや、速攻で火炙りの刑になるとは。
後でちゃんとフォローしとかないとな。
ジンタンは叫ぶ。
「ハサン様!セシア様!
アンチマジックフィールド、
結界です!」
やば!!まじで?
俺達は完全に棒に縛られていた。
「貴様らの弁明は聞かぬ!
今宵偽聖騎士ハサンと召喚士セシア、
その従者らを火刑に処す!
火を放て!!」
まずい。アンチマジックフィールドだと、
セシアの召喚獣も、俺の化身の術も、
メイの炎の魔法も全て効かない。
どうする?
もう時間がない!
次回へ続く
捕縛されるハサン一行。
その中にはウェーダーもあった。
木枯らしが、吹き荒み、
昨夜から雪になっていた。
一応公爵であるウェーダーと、
世界を救う聖騎士一行である為、
専用の馬車で護送される面々。
正直、まじかっと思った。
最悪城で戦闘だなと。
召喚士と聖騎士は
魂の繋がりによる契約のために、
テレパシーで会話が出来る。
お互いにチャンネル(周波数)
を短波に合わせる、
そんな感覚で二人は語り合う。
※心の声ハサン
「どうする?城に連行されて、
王が見えたら殺っちゃうか?」
※心の声セシア
「いやー。ちょっと相手の出方を待とう。
少し気になるんだよね」
なんかセシア成長したなー。
会った頃は「アタイに聞かれても~」
って感じだったのに。
メイとジンタンは、
そんな二人の心の会話には気付かない。
二人とも目を閉じているものだから、
こんな時によく寝れるなーと感心するメイ。
ジンタンは、この二人は何か考えている、
意識合わせをしているのだと気付く。
時折ハサン又はセシアのどちらかが、
意図して『頷いている』からである。
一日かけて馬車はセンダー国の
首都センダーに到着した。
マヨールの街より広く、高い城壁に囲まれ、
水の都とも呼ばれる屈指の城壁都市センダー。
城下の横には海が広がり、
古来より貿易で潤ってきた歴史がある。
「潮の香りなんて、久方ぶりだな」
なんて呑気なことを
言いながら連行される一同。
町の広場に着くハサン達。
いつ城に行くんだ?
どうやって牢から騒がれずに出るか?
王の正体を確認するにはどうするか?
なんて色々考えていると
連行する兵士長は、驚くべき事を
皆に言いのけるのであった。
「ウェーダー卿は尋問のために
牢に入ってもらうことになります。
お前ら、偽聖騎士は逆徒として今宵処刑する。
執行場所は本広場で『火炙り』以上!」
何?火炙り?
偽聖騎士?
センダー城下をろくに見る前に、
着いて早々に処刑?
でも大丈夫。
いざとなれば力を使ってどうにかなる。
不安そうに震えながら、
こちらを見るメリー。
ウェーダーは城へと連行されていき、
広場にはだんだんと人集りが出来てきた。
『聖騎士の名を騙る偽者が
国家転覆を目論んだ為、
国家反逆罪として処刑する』
と大きな張り紙が立てられる。
そそくさと刑の準備が進む。
裁判や弁明無しかよ、
いよいよ国王は聖騎士を屠ろうとしているな。
いよいよ黒幕のお出ましなのか?
ハサンは考える。
向こうの状況はどうであれ、
これで敵が判明した。
※心の声ハサン
「縛り棒に繋がれて火が放たれる前に
俺は化身の術を使う。
セシアは、召喚獣で撹乱してくれ。
この場を収めたら、
ウェーダー救出と王を討つぞ!」
※心の声セシア
「分かったわ。でも、流石に
少しは演技しないと怪しまれるわね。よーし」
確かにセシアとハサンは、
特に何も意見を言わず黙々と
相手方の指示に従っているように見えた。
これから処刑されようとしているには、
動揺が見えないのだ。
「やめて!火炙りは、
王様に私達の無実を弁明させて!」
セシアは声の限り叫ぶ。
うまい!役者だな。私も続こう。
「そうだ!私は偽物ではない。
正当な聖騎士だ。
このような仕打ちは許されんぞ。
王に会わせよ!」
どうだ?我ながら名演技。
メイは泣きながら命乞いする。
「助けて!助けて!」
確かにメイには酷だよな。
今まで、人とほぼ接点がなくて
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聖騎士パーティで世間をようやく知り始めたと思いきや、速攻で火炙りの刑になるとは。
後でちゃんとフォローしとかないとな。
ジンタンは叫ぶ。
「ハサン様!セシア様!
アンチマジックフィールド、
結界です!」
やば!!まじで?
俺達は完全に棒に縛られていた。
「貴様らの弁明は聞かぬ!
今宵偽聖騎士ハサンと召喚士セシア、
その従者らを火刑に処す!
火を放て!!」
まずい。アンチマジックフィールドだと、
セシアの召喚獣も、俺の化身の術も、
メイの炎の魔法も全て効かない。
どうする?
もう時間がない!
次回へ続く
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