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第四章 トホカミエミタメ
第23話 ジンタンの過去
しおりを挟む昨日は、ふわっとしてても楽しかったなぁ。
あれは、ある意味『雑談部屋』の新しい正解だったんじゃないかな?
全員が知らない話題なら、ふわっとしたイメージだけで話をしても盛り上がるということ。これで、難しそうな話題が来ても肩ひじ張らずに行けそうだな。
イメージって大事だしなぁ。
イメージってすごく純粋な偏見だから、自分が知っている物のイメージを周りの人から聞いたりすると面白いよね。
ふわっとした感じのまま今日に来ちゃった気がする。
まぁ、こんなふわふわした感じでも、『雑談部屋』なら何とかなるでしょ。
甘々な認識をもって、俺は『雑談部屋』に入っていった。
今日もまた、白い空間に放り出された。
そしてどこからともなくアナウンスが鳴った。
”シチュエーションの設定、人物選択、話題選択が終了しました。
これより雑談を始めます。”
やっぱりアナウンスが止んだ。
やはり、雑談部屋で一番無駄な時間なう。
AIはここを修正しないのだろうか?
やっぱ、修正しないかぁ。
修正してくれないかなぁ。
毎回同じこと思ってるなぁ。
ある意味、これがルーティーンみたいなところあるしなぁ。
そう考えると、意味があるのかなぁ?
意味、あったのかな…
このルーティーンやめようかな?
どうしよう。
でも、これをやめて、調子崩したら辛いから、続けるかぁ。
再びアナウンスが鳴った。
”雑談所要時間は30分、盛り上がり等により自動で延長や短縮を行います。
シチュエーションは、『風力発電所がある海岸』です。
雑談に参加するメンバーは、『田中様』『九条様』『矢野様』『五十嵐様』です。
決まった役職、役割等はございません。ご気軽に参加してください。
それでは雑談を始めさせていただきます。
今回の話題は『クリーンコールデー』です。
それでは楽しい雑談の時間をお過ごしください。”
アナウンスがやんで、光に包まれた。
クリーンコールデーか。
クリーンコールデーかぁ…
厳ついのが来たなぁ。
字面だけなら全く見たことがないし、聞いたこともない。
シチュエーションが”風力発電所がある海岸”だから、多分エネルギー関係の何かか、電気関係の何かだと思う。
久しぶりに、まったく聞いたことがない話題になった。
そういえばそうだった。
まったく聞いたこともないものって、イメージすらできないから、ふわっとした話ってできないんだ。忘れてたぁ。
どうしようかなぁ。
何について話そう。
今日は、さすがにテーマを持って行かないと、確実に放送事故な時間ができてしまう気がする。
でもなぁ、テーマなんて浮かぶ気がしないんだよなぁ。
話題の内容をアナウンスさんに聞くしかないのかなぁ。
雑談が始まってから聞いて、それから頭をフル回転させれば、なんとかなりそうだ。
よし、それで行こう。
というか、それしかない気がする。
まぁ、知らない話題だし、そうなってしまうのもしょうがないよね。
自分の考えもまとまってきたし、いつも通りなら、そろそろ、光が収まるころかと思ったら、光の中でアナウンスが鳴った。
”九条様が、私用で『雑談部屋』から退出しました。
人数が、3人に減少しました。
『雑談部屋』を続行しますか?
投票を行います。
・『雑談部屋』を閉じて、メンバーを解散する。※ペナルティは発生しないものとする。
・3人で『雑談部屋』を続け、3人になったとしても雑談をする。
投票よろしくお願いします。”
俺は、久しぶりのめちゃムズ話題を少しだけでもやりたくなって来たので、後者に投票した。
投票の結果はどうなるんだろう?
再びアナウンスが鳴った。
”処理中
………
処理完了
投票の結果、前者の「『雑談部屋』を閉じて、メンバーを解散する。※ペナルティは発生しないものとする。」が過半数を獲得したため、『雑談部屋』を閉じさせていただきます。
光の中のままで不便かと思いますが、終了のアナウンスが来るまで、今しばらくお待ちください。『雑談部屋』のご利用ありがとうございました。”
どうやら、ふたりは前者を選んだらしい。
確かに、よく分からない、放送事故みたいな展開が容易にできる話題を通常時よりも一人少ない3人でやるのは、無理があったかもしれない。
まぁ、今日の話題なら、『雑談部屋』を閉じることになったけど、まったく文句はない。
あるとすれば、久しぶりに超ハードモードの話題に挑んでみたいとほんの少し思っただけだ。
今までで、一番長く光の中にいる。
さっきのアナウンスから、ゆったりと、しっかりと間を取ってアナウンスが鳴った。
”0分0秒00が経過しました。これから雑談をしようと思っていたと思いますが、教室の方に転送いたします。話し足りないかと思いますが、この話題はこの場限りといたしますようよろしくお願いします。教室で同じ話題をしたとしても特に罰則等はございませんが、ご協力よろしくお願いいたします。それと同じように、教室での話題をこの場に持ち込まないようよろしくお願いいたします。このアナウンスの内容を何度もお聞きになっていると思いますがなにとぞご協力よろしくお願いいたします。
多数決など、しっかりと決め方に納得した方法で、決まったことならば、決まったことに文句を言わず受け入れる人の方が、器が大きく見えます。
何か思うことがあっても、決まったことなのだから仕方がないと受け入れられるようになると、大人に見えます。
そんな度量のある大人になるために、今日の残りの時間も頑張ってください。
それでは教室にお送りいたします。
それでは良い学校生活を”
アナウンスが止んだ。
教室に戻ってきた。
戻ってきちゃったなぁ。
一人落ちちゃったし、あの話題だし、仕方ないかぁ。
ちゃんと雑談したかったなぁ。
だいぶ話し足りない感が強いなぁ。
この気持ちを明日まで大切にとっておいて、明日は、2日分話そう!!!
そうしよう!!
実際そうならなかったとしても、そういう気持ちで頑張れば、今日を頑張れそう。
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