上 下
17 / 18

床屋①

しおりを挟む
「いいか。雄一。俺達は平行世界に生きてるんだ。仕組みは知らない。しかし平行世界のアヤカシに蹂躙される前の世界に移行している。」
浩志は驚きの事実を話す。

そう。色味を無くし、時間が止まり、アヤカシを倒す。

アヤカシを倒し、時間が戻ると『アヤカシが存在しない世界』に世界は構築され直すとの事だった。

「俺達は孤独な闘いを強いられる事になる。しかし、先の渋谷ドームの犠牲者もいなくなった訳では無い。犠牲者が存在した世界も平行世界には存在する。
ただ俺達は、違う世界を見ているに過ぎない……」

意味が分からない。
平行世界?
パラレルワールドの事?

アヤカシが蹂躙しても、アヤカシを倒せばアヤカシが存在しない世界に構築され直す?

どう言う事?

「そんな世界を構築し直しているのは、誰がしているんだ?!」
俺は浩志に尋ねる。

「知るか。ともかく邪神の復活を阻止すること。大魔司教ガリウスを倒すことが先ずは先決だ!」
どうやら、浩志もそこまで深い情報は持っていなさそうだ。

「東京はお前に任せるぞ。俺は俺の場所でガリウスを探す」
浩志はそう言うと、靄のように姿を消していった。

薄暮に染まる町並み。
ゾロゾロと駅に向かう人々を見つめながら、自身の無力さと孤独さ、虚空な思いを募らせる雄一だった。

   ◆◆◆◆◆◆

今日は久々に嫁さんとラーメン屋で、ラーメンを食べる。

リモートワークの嫁さんの仕事が一段落終わるのを見計らい、近所のラーメン屋で、つけ麺を食べる。

魚介の出汁が利いた美味しいつけ麺。

旨い!これは幾らでも食べれちゃうね!
お勘定して店を出る俺達。

「じゃあ、私家に帰って仕事だから」
と嫁。

「そしたら、髪切ってくるよ」
と俺。

3ヶ月ぶりに行きつけの床屋に向かう。
少し待っていよいよ俺の番だ。
「ツーブロックお願い致します」

「あいよ!もみ上げは自然な感じで?横は刈り上げますね。」
店員からの呼びかけに目を閉じて。、ハイハイと頷く。

その時!店の前に大きな隕石が!!

ドゴーーン!!!!

駅前の駅ビルが轟音と共に爆発する。
黒煙と炎が立ち上る!

巨大な隕石が、駅舎に突き刺さっている。

キャー!!
駅舎から人が大量に押し寄せる。
正にパニックだ。

人程もある巨大な蚊が、何匹も駅から飛んでくる!

グサッ!
ブシュー!!

目をグリグリさせながら血を吸っている。

「この野郎!!」
ガタイのいい若者が巨大な蚊に掴み掛かる。
その蚊のような化け物の腕がムキムキに盛り上がり、その若者に向けて大振りのフックを繰り出す。

グチャ!!

若者の頭は吹っ飛ばされて、力無く倒れた。
そこにもう一匹の蚊の化け物が現れて、首の無い遺骸から血を吸っている。

計5匹の巨大な蚊の化け物は次々に逃げ惑う人々から血を吸い上げる。

アヤカシ!!
ここでか!

ピキーーーン!!!
時間が止まる。

髪切られてる途中なのに!
髭剃りの途中なのに!!

次回へ続く



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話… 親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。 エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

処理中です...