13歳の狼族の獣人シマジは聖騎士ハサンの従者になりたい!

のんたろう

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毒を乗り越えて

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聖騎士に従軍しようと里を出た
狼獣人族のシマジ。

最初のアヤカシ(魔物)ベロンヌ(スライムのような魔物)を何とか倒すも、
後ろから襲いかかってきたバーチ(蜂のようなアヤカシ)の毒に倒れるシマジ。

獣化して応戦するも志半ばにして
意識を失う。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
目を開けると、
そこには一人の老人の家にいた。

バーチから身を挺して助けてくれたのは、
この老人であった。

毒消しの薬を施して手当をしてくれた。

「気づいたか。まだ寝てなさい」

シマジは又深い眠りに付くのであった。

チュンチュン……。

小鳥の囀りと朝の清々しい陽光で目が覚める。

老人はヒョウ族の亜人。
変わり者と評されていた
プロットと言うお爺さんだった。

プロットは、「どれ送ってやる」と言ってくれた。どうやらシマジが何者なのかを知っているようだ。

ちょっと待って。
ここで帰るわけには行かない。

シマジは、プロットに
里を出る経緯を話した。

「タクトも、思い切った決断しよるな。
なら行くが良い。
しかし、タクトの息子よ。
そなた、そのままでは何れ死ぬぞ。」

確かに。毒の対策もしないで、
呑気に出てきたかもしれない。

でも引けない。

「お爺さん!ありがとう。
でも、やっぱり俺行くよ。
ありがとう、この恩は忘れない。」

出て行こうとした矢先、
プロットは引き止めた。

「どうしても行くか。タクトの息子よ。
では私の元で修業する気は無いか?」

ん?修業?!

プロットの話では、父タクトも
若い頃にプロットの元で修業したらしい。

彼は伝説の暗殺拳
『ポックントン拳』の伝承者であった。

「え!父さんも修業を!」

そんな拳法を、父さんが使えるなんて、
全然そんな様子が見えなかった。

こ、これは渡りに船だ。
お願いしよう。もしかしたら、
この拳法があれば、
魔王スマター打倒の切り札
になるかもしれない。

「お願い致します。プロットさん。」
気付いたらシマジは頭を下げていた。

プロットは言う。
修業は辛いぞ、心得よと。

「私の事は師匠と呼びなさい」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

明くる日、朝の早い内から稽古が始まる。
先ずは家の掃除、洗濯。朝飯の支度。
 
え?家政婦じゃない?

プロットは続ける。
日々の日常にこそ体幹と、気(オド)を練る鍛錬になるのだと。

朝ごはんのパンを焼く仕草や、
目玉焼きを焼く動作、

洗濯物を洗い、畳み、干す一連の動作にも秘訣はあるのだという。

ホントかよ。

そして朝食が終わったら、いよいよ実践。

型を習う。この型を朝食の支度、
洗濯物を干す、風呂を沸かす、
師匠の肩を揉む、部屋の掃除にも
当てはめて動けと言う。

型の後は模擬戦。

いとも簡単に、ボコボコにされるシマジ。
朝から食事の支度、
午後から夕方まで稽古と練習。
終わったら夕飯の支度と、
師匠のマッサージ。
まあキツイ。

「今日はこれまで。
後は傷の治療と日々の鍛錬を忘れるな。
それと、夕飯の支度だ。」

い、痛ぇ!あのジジィ、
まじで手加減知らねえな。

痛みに耐えながら、夕飯を作る。
料理なんかしたことない。

取り敢えず鍋にした。
山草とキノコの鍋だ。

グツグツグツグツ。

初めて作った割には美味しそう。
キノコはケバケバしい色ではなく、
地味で見た目が派手じゃないのを選んだから
大丈夫だろう!

いっただきまーす!

うぐ!
シマジは泡を吹いて倒れた。
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