1 / 11
旅立ち
しおりを挟む
俺はシマジ。
ヤマゲータ地方のヒガネの里で農民してる。
歳は13歳。
お父さんもお母さんも農民。
お米や小麦、パンレン(梨のような果物)、
野菜なども作ってる。
ヤマゲータ地方は亜人の国シッポリの
一地方。
農作物が豊富に出来る、
土壌と水質が良くて温暖な気候で住みやすい。
でも、ここは悲しい歴史があるんだ。
昔は、トッポイ国って言ったんだけど、
魔王軍に滅ぼされたんだ。
老若男女みんな殺された。
魔王スマター。
そいつがトッポイ国の
首都エギョマを壊滅させた張本人。
実は、元々我が家系はエギョマの将軍の家系だった。
うちの家系は、亜人ではなく獣人で、狼族なんだ。
獣人は亜人よりも体力も高いし、野生味も上がる。
そして獣人は戦闘になると獣化出来るタイプがいる。
我が種族もそうで、
普段は人と変わらない身なりなんだけど、
何かある時は獣化して、その本領を発揮するんだ。
本来人里離れて暮らしていることが多いんだけど、
時の国王にうちの祖父が目をかけて貰ってからは
代々将軍として国の安寧と警備に務めていた。
そんな時だよ、あの夜襲。
魔王軍が攻めてきたんだよ。
宣戦布告も無しにね。
頑強に戦ったけど奮闘虚しく
3日で首都は壊滅。
祖父は戦死。残された小さかった父さんは
ヤマゲータ地方の奥のヒガネの里まで
野に下り農夫として移り住んだんだ。
でも、このまま農作物作って終わり?
俺は農夫なんかで終わらない!
絶対また将軍家を再興する!
そう思ってシッポリ国の首都シケコムへ
士官しようとしたけど父さんに反対された。
お前を巻き込みたくないとか、
まだ早すぎるとか、
そんな言い訳聞きたくないよ!
そんな中、隣国で聖騎士が召喚されたと聞いた。
そうだ。聖騎士様の従者となりたい。
そして魔王スマターに挑むんだ。
この世界マーラでは、
15歳で成人なんだけど俺はもう子供じゃない。
だから、お父さんとお母さんに
しっかりと自分の意見を話すことにした。
聖騎士様への従者として旅に出たいと。
「シマジ。お前は何を言っているか、
分かってるのか。」
「そうよ、シマジ。お母さんは反対よ。」
父さんと母さんは矢張り反対してきた。
でも俺の意志は固い。
何としてでも、旅に出たい!
「父さん俺は本気なんだ!」
ドカッ!!
……っ!!
初めて父さんに殴られた。
正直、ショックだった。
強いけど温厚な父さん。
殴られたので痛かったけど、
これも予想通り。
「父さんは悔しくないのかよ。
このまま農夫で終わっていいのかよ!
俺は嫌だ。一度この世に生まれたからには
自分のやりたいように生きたいように生きる!
それで死んでも本望だ。
だから行かせてくれ!いや、俺は行くよ。」
父さんは下を向いていた。
でも、思うところもあったろう。
でも、最後はこう言ってくれた。
「分かった。シマジ。
お前はもう大人だ。
ならお前の意志を父さんは尊重する。
だから、行って来い。
そしていつでも帰ってこい。
ここはお前の家だから。」
シマジは泣いた。
小さい頃から愛情込めて育ててくれた
親への感謝と我儘を聞いてくれたこと、
今までの思い出が色々頭に思い浮かべながら、
それは涙に変わる。
ありがとう、
ありがとうございます。
必死にお小遣いで貯めたショートソードと、
皮の鎧をベッドに置いた。
明日には出発しよう。
長居しちゃうと気持ちが鈍るから。
次回へ続く
ヤマゲータ地方のヒガネの里で農民してる。
歳は13歳。
お父さんもお母さんも農民。
お米や小麦、パンレン(梨のような果物)、
野菜なども作ってる。
ヤマゲータ地方は亜人の国シッポリの
一地方。
農作物が豊富に出来る、
土壌と水質が良くて温暖な気候で住みやすい。
でも、ここは悲しい歴史があるんだ。
昔は、トッポイ国って言ったんだけど、
魔王軍に滅ぼされたんだ。
老若男女みんな殺された。
魔王スマター。
そいつがトッポイ国の
首都エギョマを壊滅させた張本人。
実は、元々我が家系はエギョマの将軍の家系だった。
うちの家系は、亜人ではなく獣人で、狼族なんだ。
獣人は亜人よりも体力も高いし、野生味も上がる。
そして獣人は戦闘になると獣化出来るタイプがいる。
我が種族もそうで、
普段は人と変わらない身なりなんだけど、
何かある時は獣化して、その本領を発揮するんだ。
本来人里離れて暮らしていることが多いんだけど、
時の国王にうちの祖父が目をかけて貰ってからは
代々将軍として国の安寧と警備に務めていた。
そんな時だよ、あの夜襲。
魔王軍が攻めてきたんだよ。
宣戦布告も無しにね。
頑強に戦ったけど奮闘虚しく
3日で首都は壊滅。
祖父は戦死。残された小さかった父さんは
ヤマゲータ地方の奥のヒガネの里まで
野に下り農夫として移り住んだんだ。
でも、このまま農作物作って終わり?
俺は農夫なんかで終わらない!
絶対また将軍家を再興する!
そう思ってシッポリ国の首都シケコムへ
士官しようとしたけど父さんに反対された。
お前を巻き込みたくないとか、
まだ早すぎるとか、
そんな言い訳聞きたくないよ!
そんな中、隣国で聖騎士が召喚されたと聞いた。
そうだ。聖騎士様の従者となりたい。
そして魔王スマターに挑むんだ。
この世界マーラでは、
15歳で成人なんだけど俺はもう子供じゃない。
だから、お父さんとお母さんに
しっかりと自分の意見を話すことにした。
聖騎士様への従者として旅に出たいと。
「シマジ。お前は何を言っているか、
分かってるのか。」
「そうよ、シマジ。お母さんは反対よ。」
父さんと母さんは矢張り反対してきた。
でも俺の意志は固い。
何としてでも、旅に出たい!
「父さん俺は本気なんだ!」
ドカッ!!
……っ!!
初めて父さんに殴られた。
正直、ショックだった。
強いけど温厚な父さん。
殴られたので痛かったけど、
これも予想通り。
「父さんは悔しくないのかよ。
このまま農夫で終わっていいのかよ!
俺は嫌だ。一度この世に生まれたからには
自分のやりたいように生きたいように生きる!
それで死んでも本望だ。
だから行かせてくれ!いや、俺は行くよ。」
父さんは下を向いていた。
でも、思うところもあったろう。
でも、最後はこう言ってくれた。
「分かった。シマジ。
お前はもう大人だ。
ならお前の意志を父さんは尊重する。
だから、行って来い。
そしていつでも帰ってこい。
ここはお前の家だから。」
シマジは泣いた。
小さい頃から愛情込めて育ててくれた
親への感謝と我儘を聞いてくれたこと、
今までの思い出が色々頭に思い浮かべながら、
それは涙に変わる。
ありがとう、
ありがとうございます。
必死にお小遣いで貯めたショートソードと、
皮の鎧をベッドに置いた。
明日には出発しよう。
長居しちゃうと気持ちが鈍るから。
次回へ続く
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。


特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
ハズレ召喚として追放されたボクは、拡大縮小カメラアプリで異世界無双
さこゼロ
ファンタジー
突然、異世界に転生召喚された4人の少年少女たち。儀式を行った者たちに言われるがまま、手に持っていたスマホのアプリを起動させる。
ある者は聖騎士の剣と盾、
ある者は聖女のローブ、
それぞれのスマホからアイテムが出現する。
そんな中、ひとりの少年のスマホには、画面にカメラアプリが起動しただけ。
ハズレ者として追放されたこの少年は、これからどうなるのでしょうか…
if分岐の続編として、
「帰還した勇者を護るため、今度は私が転移します!」を公開しています(^^)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる