晴明、異世界に転生する!

るう

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第六章 守り神

6-15 町の警備2

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「気のせいか、町を巡回している警備の人、増えてないか」

 セインは、町の中心の十字路まで来た。
 サキはさっきから落ち着きなく周りを警戒している。なぜなら、町の見回りをしている彼らのほうが、なにかしでかしそうな風体の男たちだったからだ。
 見かけで判断してはならないかもしれないが、制服のような紺の詰襟をだらしなく着崩して、襟に赤いハンカチーフを撒いている者が多い。
 もちろん、きちっと制服を着こなしている者もいる。
 カラーの入った詰襟に、肩章らしき刺繍もあり、細めの飾緒が下げられている。黒いブーツに、白い手袋。見るからに清潔そうで凛々しい姿から見て、それが本来の正しい姿なのだろう。
 実際カナートは、こういう必要経費をケチる人物ではなかった。
 いかにも暑そうに見える制服も、生地や素材には涼しい素材を贅沢に使い、あえて上着が長袖なのは、この地域の強い日差しから肌を守るためだ。
 着崩し組との人数の割合は、半々、たったの二日間で、明らかに正しく制服を着た人員が増えている。
 そんな彼らが、ときおり行き先が同じになり、睨みあいになる場面を何度か見た。初日にはほぼなかったこんな光景を、度々目にするようになったのである。

「……兄上が何かやってるのかな?」

 セインは現在、オアシスにほど近い宿屋に宿泊している。
 カナートが手配してくれ、必要経費だと言って宿泊費まで世話をしてくれた。
 さすがに交易の町だけはあり、宿屋は多いし、飲食店も多い。けれど、やはり安全や快適さには、地域によってもランクによっても差はあるのだ。

「今日はちょっと町はずれまで行ってみるか……」

 昨日はカナートに貰った本を読みつつ、近場を回っただけだから、そろそろ本格的に情報収集を始めようと考えていた。
 出かける際、宿屋の女将に行き先を聞かれて、町はずれまで行くと言ったら、少し心配そうな顔をした。
 どうやら、町の中心から離れれば離れるほど、貧民地区になるという。その界隈には古くから住んでいる年寄りも多いという。
 カナートが赴任してくるまで、ここはかなり税金が高く、また不正も横行しており、必死に働いても、老後を過ごせるだけの財を成すことが出来なかった者も多かったとのことだ。

「中央はかなり潤っているような印象があるんだけどね」

 カナートはいろいろ対策を立てているようだが、なかなか実を結ばないらしい。視察というわけではないけれど、ついででもあるし、いい機会なので、セインはゆっくりと日程を取ってその目で見に行こうと思った。
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