晴明、異世界に転生する!

るう

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第五章 拠点

5-2 改装中

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 セインは、この一か月とちょっとを本館の方で生活している。
 母が居住していた、豪華な部屋だ。ばあやが亡くなる二年前までは、そこに当たり前のように住んでいた。イゼル達に騙され、加えて唆されたベンの手筈で、旧使用人館へと追いやられるまで。
 確かにイゼル達はやりすぎだったが、ある程度の年齢になると、修業のために使用人館で食事をとり、その近くの訓練場で術の訓練をすることは規定路線でもある。
 本館から放り出されるまで、セインはそんなことも知らなかった。
 それまでは専属の家庭教師が付いており、身の回りの世話はすべてばあやがやってくれていた。それにはいろいろな事情があったのだが、きっかけとなるはずの成人の兆しがなく、侯爵家の教育カリキュラムに当てはまらなかったせいもあった。
 兆しがあるまではと、ずるずると予定が伸びてしまい、本来ならすでに本館から出る時期を逸してしまったのだろう。そんなセインに、すでに修業を始めていた、一つ違いのイゼルは妬みを覚え始めた。
 使用人館での粗末な食事、地味で厳しい訓練、加えて貴族でもない兄弟子たちの雑用まで。
 お屋敷のぼっちゃんとして過ごしてきた者には、確かに辛いものがあった。性格もあったのだろうが、イゼルにとってそれはとても屈辱だったのだろう。
 セインは部屋に戻ってくると、大きなソファーに座った。

「それにしても、なにもかもがフカフカ過ぎて、ちょっと落ちつかないな。せっかくだから、改築した部屋は畳にしようか」

 すぐ横のクッションに、抱いていたハクを下ろした。

「良く寝るなあ……白虎じゃなくて猫だろ、お前」

 鉱山都市での仕事は、結局あれが最後になった。一か月は滞在しなくてはランクを上げられないと思ったが、あの災難が幸運に転じて万事うまくいった。
 ヌシはというと、天空を憑依させたセインの援護で、ゼフパーティがとどめをさし、最後にゆらの祭事なみの術式穢れ払いで場を浄化した。
 あれほどパワーアップしたと思ったセインだったが、さすがにへろへろになって帰り道はゼフに抱えられての帰還となった。
 ヌシの討伐から始まり、最奥までの新しいマップ、そこへ至るまでの採掘ポイントと、おおよその採集鉱石予想。さらには、ヌシから取り出された魔核、規定に従い採掘こそしなかったが、拾った有用な鉱石などなど、お宝も盛りだくさんだ。
 とんでもない成果をぶら下げてギルドに戻った彼らは、当然ながらギルドマスターに緊急呼び出しを食らった。
 とはいっても、その時には既に落ちていたお子様体力のセインは、ゼフの仲間によって宿屋へ運ばれたのだった。
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