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第四章 ハンター
4-22 クエスト続行
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監視対象にはなっていたので、ブルシュパーティに新メンバーが入るとギルドも注視はしていたが、今回のようにメンバー登録をせずに、現地で集合されるとギルドも目が届かない。
それに前提として、ハンターは基本的に自己責任である。目に余る行為はギルドが規制するし、罰則も与えるが、それは飽くまで申請された場合と、ギルドやハンターの信用や存在意義に多大な損失を与えたときだ。
「最近では捜索クエストをわざわざかけて、堅実なパーティをアピールしている」
もっともそれさえも、新人ハンターを信用させる手札に使われている節がある。熟練のハンターなら、自分の預けた資産、他メンバーが預けた資産、その配分、自分にも相応の割り振りがされているか、きちんと確認しているはずだ。それをしなかった方が悪い、と言われてしまえばそれでおしまいなのだ。
「途中から朦朧としていたというが、後ろからついてきたペイジとやらに不意打ちでも食らったんだろう。この未開発ルートには魔獣も出るし、あとは始末してくれると思ったんだろうな」
「そんな……」
無意識に後頭部をさすっていたのは、おそらく殴られでもして痛かったんだろう。即死しなかったのはよっぽどゲイルが石頭だったのか、相手がへなちょこだったのか、ともかく運が良かっただけかもしれない。
「じゃあ、そのブルシュという人物はどこへ?」
「もちろん正規のメンバーで先に進んだんだろうよ。もし俺たちが来なかったら、入り口が塞がったままだったってことも知らずに、まったく呑気な奴らよ」
セインの問いに、ゼフは苦笑しつつ手を振った。
この広場の先がゲイルの言った二股らしく、壁に赤いインクで目印らしきものがあるので、彼らはこの先のマップを作るべく進んでいったのだろう。
「……私はどうしたら」
本来なら捜索クエストの依頼書に名前がない以上、ゲイルは保護対象ではない。それを察したのか、彼はへなへなと座り込んでしまった。
「まあ……確かに、クエストでは保護対象ではないが、ギルバートから頼まれている仕事の対象ではあるな」
こほん、と小さく咳ばらいをしてゼフが呟いた。
「ただし! このまま捜索は続行するから、自力でついて来いよ」
そう付け加えたゼフに、それでもゲイルは喜んで頷いた。こんなところで一人取り残されるよりは、何倍もましだったに違いない。そんなわけで、メンバーが一人追加されて、捜索は続行されることになった。
相手が誰であろうと、クエストはクエストなのだ。
「ん? あれ、ハクはどこへ」
セインも出発のために荷物を持ったが、そこで式たちがいないことに気が付いた。なんだか首回りがスース―すると思ったら、いつのまにかハクはその辺りをあちこち走り回っていたのだ。
それが面白いのかコウキもそれについていってるので、炎の光がちらちらと薄暗い中に動き回っている。
「あんなところに……ほら、みんな行くよー!」
口をもぐもぐやっているので、また石でも口にしたかもしれないが、とりあえず出すつもりはないようだ。コウキはセインの肩に戻ったが、ハクはそのまま地面を歩いて、時折立ち止まっては、また付いてくるを繰り返している。
『どうやらハクには、その辺の落ちている石と、有用な鉱石の区別がつくらしいの。先ほどはすぐに出しておったが、そのまま蓄えておくこともできるようじゃな』
「……へえ、そうなんだ」
そう言い切るツクにも、貴重な鉱石の区別はつくらしい。確かにこの辺にはまだ開拓チームが入ってないから、お宝が転がっている可能性がある。
もっとも、一体どこに保管しているのかとか、不思議なことは山ほどあったが、とりあえずは先に進むゼフたちの後を追うことが先決だったので、今は気にしないことにした。
それに前提として、ハンターは基本的に自己責任である。目に余る行為はギルドが規制するし、罰則も与えるが、それは飽くまで申請された場合と、ギルドやハンターの信用や存在意義に多大な損失を与えたときだ。
「最近では捜索クエストをわざわざかけて、堅実なパーティをアピールしている」
もっともそれさえも、新人ハンターを信用させる手札に使われている節がある。熟練のハンターなら、自分の預けた資産、他メンバーが預けた資産、その配分、自分にも相応の割り振りがされているか、きちんと確認しているはずだ。それをしなかった方が悪い、と言われてしまえばそれでおしまいなのだ。
「途中から朦朧としていたというが、後ろからついてきたペイジとやらに不意打ちでも食らったんだろう。この未開発ルートには魔獣も出るし、あとは始末してくれると思ったんだろうな」
「そんな……」
無意識に後頭部をさすっていたのは、おそらく殴られでもして痛かったんだろう。即死しなかったのはよっぽどゲイルが石頭だったのか、相手がへなちょこだったのか、ともかく運が良かっただけかもしれない。
「じゃあ、そのブルシュという人物はどこへ?」
「もちろん正規のメンバーで先に進んだんだろうよ。もし俺たちが来なかったら、入り口が塞がったままだったってことも知らずに、まったく呑気な奴らよ」
セインの問いに、ゼフは苦笑しつつ手を振った。
この広場の先がゲイルの言った二股らしく、壁に赤いインクで目印らしきものがあるので、彼らはこの先のマップを作るべく進んでいったのだろう。
「……私はどうしたら」
本来なら捜索クエストの依頼書に名前がない以上、ゲイルは保護対象ではない。それを察したのか、彼はへなへなと座り込んでしまった。
「まあ……確かに、クエストでは保護対象ではないが、ギルバートから頼まれている仕事の対象ではあるな」
こほん、と小さく咳ばらいをしてゼフが呟いた。
「ただし! このまま捜索は続行するから、自力でついて来いよ」
そう付け加えたゼフに、それでもゲイルは喜んで頷いた。こんなところで一人取り残されるよりは、何倍もましだったに違いない。そんなわけで、メンバーが一人追加されて、捜索は続行されることになった。
相手が誰であろうと、クエストはクエストなのだ。
「ん? あれ、ハクはどこへ」
セインも出発のために荷物を持ったが、そこで式たちがいないことに気が付いた。なんだか首回りがスース―すると思ったら、いつのまにかハクはその辺りをあちこち走り回っていたのだ。
それが面白いのかコウキもそれについていってるので、炎の光がちらちらと薄暗い中に動き回っている。
「あんなところに……ほら、みんな行くよー!」
口をもぐもぐやっているので、また石でも口にしたかもしれないが、とりあえず出すつもりはないようだ。コウキはセインの肩に戻ったが、ハクはそのまま地面を歩いて、時折立ち止まっては、また付いてくるを繰り返している。
『どうやらハクには、その辺の落ちている石と、有用な鉱石の区別がつくらしいの。先ほどはすぐに出しておったが、そのまま蓄えておくこともできるようじゃな』
「……へえ、そうなんだ」
そう言い切るツクにも、貴重な鉱石の区別はつくらしい。確かにこの辺にはまだ開拓チームが入ってないから、お宝が転がっている可能性がある。
もっとも、一体どこに保管しているのかとか、不思議なことは山ほどあったが、とりあえずは先に進むゼフたちの後を追うことが先決だったので、今は気にしないことにした。
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