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第七章 醜いお姫様
第8話 絶望するお姫様
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【王宮オニロ:他国の王子エドガー・幻怪に煌く月の出る日】
エドガー・フォン・ゴドウィンは王宮のとある部屋、一人でテーブルに座っていた。不気味な笑みを浮かべてお酒を嗜んでいる。そこで防音の魔具を起動させずにティナは姿を現した。
「エドガー様……魔具は起動しておりません。私は化け物でも何でもない……それを証明するために話し合いに来ました……」
彼は顔を一瞬しかめた。しかし、冷静になって言葉を返す。
「っ……ば、ティナ……は、話し合い……ですか」
「はい……私はある事件がきっかけでこの姿になってしまいました」
「ある事件……?」
その表情を見て彼女は複雑な表情になる。やはり、彼は知らなかったのだと。
「この姿はチェルシー嬢の呪いによって変えられてしまいました。ただ、化け物になりきった訳では無く、戻る方法はあります」
「そ、それは……?」
「二人の想い合う心、愛です」
「? ……何を……言っている……騙されないぞ!」
「え……?」
「それでは何故……化け物になったのだ? 何故今も化け物のままなんだ!」
「あっ……それはもう一つ条件があるからです!」
「なんだと……?」
「ま、目合いです……」
「ふ、ふざけているのか! そんな事っ……やはり、チェルシーの言っていた事は本当だったんだ」
「言っていた事……?」
「僕を騙して、生気を吸う気なんだろ! 知っているぞ!」
「違います! 本当にっ」
「チェルシーはまだなのか!?」
「ま、まさか彼女が近くにッ……ご、ごめんなさいエドガー! 必ず証明しますからっ」
彼女は一か八かの強制手段に出た。素早く動いて、動揺するエドガーをしっかりと捕まえる。彼が激しく抵抗するが、複数の腕がそれを許さない。
「やめろっ! 離せ! 誰かぁっ! 助けてくれぇぇええ!」
彼女は箱入りではあるが、エドガーの結婚に合わせて、最低限の性に対する教養は学んでいた。器用に蜘蛛の腕で彼をホールドする。人族の腕の部分で彼の股間を触わり、良い刺激を与える。
「くそ! 止めろ! 止めろぉぉぉおおお!」
そして、勃起したら腕を上手く使って、彼のモノを挿入する。
「ごめんなさい! でもっ。これでもう大丈夫です!」
しかし、何も起こらなかった。
「……ッ。な、何故です!? チェルシーに騙された……?」
「うげぇぇええ! き、気持ち悪い! 離せっ、化け物がッ」
「ッ……」
彼の口から放たれる言葉は何度聞いても慣れる事は無く、ティナの胸を締め付ける。
そこで扉が開くとチェルシーがニタニタしながら現れた。彼女が闇系列の魔法で鎖を出してティナを拘束する。エドガーと彼女の腕が離れると、彼は急いで脱出して距離を取る。
「チェルシー! 何をしていたんだ! 約束がっ」
「申し訳ございません。発動に時間がかかってしまいました。しかし、ご安心を化け蜘蛛はもう捕らえました」
「チェルシー嬢! 嘘を吐いたのですか!?」
「いいえ、本当の事ですわ。ただ、私は言いませんでした?」
「……」
「分かりませんか? いいえ、すでに……お気づきですよね?」
「……ッ。ち、違う……違うっ!!?」
彼女はサディスティックな表情を見せて言った。
「そこには愛情などございません……初めから……化け物を愛する人などいないのですよ」
「違います! エドガーも何か言ってください!」
「黙れ……汚らわしい化け物めがぁ……よくも神聖な僕の体を弄んでくれたなっ」
ティナの目の前がかすむ。彼の声ですらただの音となっていく。彼女の心が限界を迎えようとしていた。
「そ、そんな……嫌……嫌ぁぁぁああ!! 嘘です! 嫌ぁぁぁああ!!」
その光景を見て高ぶったのか、チェルシーがエドガーにそっと近づいて来た。
「エドガー様……」
「おいおい、ここでか?」
「あれは動けませんのでご安心を」
「ふっ。物好きな奴め」
そこでチェルシーが妖艶な表情でエドガーにそっと触れた。すると彼はお尻や胸を触り、キスをする。
「や、やめてください! なんでエドガー!? 私はッ。私達はっ」
「あら、貴方は知りませんでしたか」
「な、何を……」
「三日後に私達は結婚するのです」
「は、はぁ……そんな事がっ。そんなのお父様とお母様が許すはずがッ」
彼女は愉悦に満ちた笑みを向けながら言った。
「嗚呼、これもご存じない」
「……」
「先週……お二人は急逝されました」
「え…………?」
「国王ライオネル・ディ・マーシアは何者かに暗殺され、王妃クレメンティーネ・レヴィガータ・マーシアは何者かに毒殺されてます」
「嘘……だ、れが……なに、が……」
「さぁ? 犯人とその動機が分かれば、誰も苦労はしませんわ。うふふふ♪」
エドガーが勝ち誇った表情で言う。
「ふっ。フェアファクス家と我々が一丸となってこの国を治める事になった」
そこで彼女は糸が切れたかのように膝を折ると、そのまま蜘蛛に変化した。堪えられなかったのである。彼女は死んだように動かなくなる。
そこで、小さくなったそれをチェルシーが愉しそうな表情をして、再び闇の魔法で服ごと縛りあげる。さらに別の闇魔法でティナを包み込んだ。邪悪な笑みを浮かべた二人は悪びれる事無く言った。
「予定通り、明日に全ての元凶の公開処刑を実施しましょう」
「そうだ。全てはこの化け物のせいだッ」
その時、窓が割れ、球体が中に入って来た。
「なんだ!」「なんですか!」
煙が室内に充満する。視界が良好になると、ティナはそこには居なかった。
「逃げられました!」
「くそ! 何者だ!」
チェルシーが廊下に出ると、事情を的確に話し、侵入者を捕まえるように指示を出した。一斉に兵たちが動き出し、王宮の庭や、街中を探索を始める。
エドガー・フォン・ゴドウィンは王宮のとある部屋、一人でテーブルに座っていた。不気味な笑みを浮かべてお酒を嗜んでいる。そこで防音の魔具を起動させずにティナは姿を現した。
「エドガー様……魔具は起動しておりません。私は化け物でも何でもない……それを証明するために話し合いに来ました……」
彼は顔を一瞬しかめた。しかし、冷静になって言葉を返す。
「っ……ば、ティナ……は、話し合い……ですか」
「はい……私はある事件がきっかけでこの姿になってしまいました」
「ある事件……?」
その表情を見て彼女は複雑な表情になる。やはり、彼は知らなかったのだと。
「この姿はチェルシー嬢の呪いによって変えられてしまいました。ただ、化け物になりきった訳では無く、戻る方法はあります」
「そ、それは……?」
「二人の想い合う心、愛です」
「? ……何を……言っている……騙されないぞ!」
「え……?」
「それでは何故……化け物になったのだ? 何故今も化け物のままなんだ!」
「あっ……それはもう一つ条件があるからです!」
「なんだと……?」
「ま、目合いです……」
「ふ、ふざけているのか! そんな事っ……やはり、チェルシーの言っていた事は本当だったんだ」
「言っていた事……?」
「僕を騙して、生気を吸う気なんだろ! 知っているぞ!」
「違います! 本当にっ」
「チェルシーはまだなのか!?」
「ま、まさか彼女が近くにッ……ご、ごめんなさいエドガー! 必ず証明しますからっ」
彼女は一か八かの強制手段に出た。素早く動いて、動揺するエドガーをしっかりと捕まえる。彼が激しく抵抗するが、複数の腕がそれを許さない。
「やめろっ! 離せ! 誰かぁっ! 助けてくれぇぇええ!」
彼女は箱入りではあるが、エドガーの結婚に合わせて、最低限の性に対する教養は学んでいた。器用に蜘蛛の腕で彼をホールドする。人族の腕の部分で彼の股間を触わり、良い刺激を与える。
「くそ! 止めろ! 止めろぉぉぉおおお!」
そして、勃起したら腕を上手く使って、彼のモノを挿入する。
「ごめんなさい! でもっ。これでもう大丈夫です!」
しかし、何も起こらなかった。
「……ッ。な、何故です!? チェルシーに騙された……?」
「うげぇぇええ! き、気持ち悪い! 離せっ、化け物がッ」
「ッ……」
彼の口から放たれる言葉は何度聞いても慣れる事は無く、ティナの胸を締め付ける。
そこで扉が開くとチェルシーがニタニタしながら現れた。彼女が闇系列の魔法で鎖を出してティナを拘束する。エドガーと彼女の腕が離れると、彼は急いで脱出して距離を取る。
「チェルシー! 何をしていたんだ! 約束がっ」
「申し訳ございません。発動に時間がかかってしまいました。しかし、ご安心を化け蜘蛛はもう捕らえました」
「チェルシー嬢! 嘘を吐いたのですか!?」
「いいえ、本当の事ですわ。ただ、私は言いませんでした?」
「……」
「分かりませんか? いいえ、すでに……お気づきですよね?」
「……ッ。ち、違う……違うっ!!?」
彼女はサディスティックな表情を見せて言った。
「そこには愛情などございません……初めから……化け物を愛する人などいないのですよ」
「違います! エドガーも何か言ってください!」
「黙れ……汚らわしい化け物めがぁ……よくも神聖な僕の体を弄んでくれたなっ」
ティナの目の前がかすむ。彼の声ですらただの音となっていく。彼女の心が限界を迎えようとしていた。
「そ、そんな……嫌……嫌ぁぁぁああ!! 嘘です! 嫌ぁぁぁああ!!」
その光景を見て高ぶったのか、チェルシーがエドガーにそっと近づいて来た。
「エドガー様……」
「おいおい、ここでか?」
「あれは動けませんのでご安心を」
「ふっ。物好きな奴め」
そこでチェルシーが妖艶な表情でエドガーにそっと触れた。すると彼はお尻や胸を触り、キスをする。
「や、やめてください! なんでエドガー!? 私はッ。私達はっ」
「あら、貴方は知りませんでしたか」
「な、何を……」
「三日後に私達は結婚するのです」
「は、はぁ……そんな事がっ。そんなのお父様とお母様が許すはずがッ」
彼女は愉悦に満ちた笑みを向けながら言った。
「嗚呼、これもご存じない」
「……」
「先週……お二人は急逝されました」
「え…………?」
「国王ライオネル・ディ・マーシアは何者かに暗殺され、王妃クレメンティーネ・レヴィガータ・マーシアは何者かに毒殺されてます」
「嘘……だ、れが……なに、が……」
「さぁ? 犯人とその動機が分かれば、誰も苦労はしませんわ。うふふふ♪」
エドガーが勝ち誇った表情で言う。
「ふっ。フェアファクス家と我々が一丸となってこの国を治める事になった」
そこで彼女は糸が切れたかのように膝を折ると、そのまま蜘蛛に変化した。堪えられなかったのである。彼女は死んだように動かなくなる。
そこで、小さくなったそれをチェルシーが愉しそうな表情をして、再び闇の魔法で服ごと縛りあげる。さらに別の闇魔法でティナを包み込んだ。邪悪な笑みを浮かべた二人は悪びれる事無く言った。
「予定通り、明日に全ての元凶の公開処刑を実施しましょう」
「そうだ。全てはこの化け物のせいだッ」
その時、窓が割れ、球体が中に入って来た。
「なんだ!」「なんですか!」
煙が室内に充満する。視界が良好になると、ティナはそこには居なかった。
「逃げられました!」
「くそ! 何者だ!」
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