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第六章 受付嬢ナディアの災難
第2話 しっかりとした装備
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【馬車での移動】
数台の馬車がとある危険地帯の道を列になって移動していた。
その中にはルースとその仲間、別の馬車にワイアットとその仲間が乗っていた。真ん中の馬車には積み荷があり、商人が乗っていた。
前方の馬車にはルース達が乗っている。皆は常に気を張っている。少しのミスで死ぬであろうことを察していた。
ルースは魔物の気配に気が付くと速やかに馬車を止めた。下りて腰に付けている神々しい片手剣を抜いた。一方、ワイアットの方は双剣を抜く。
ルースは苦笑いをしていた。
「濃い魔素が成せる生態系……か」
ワイアットがやれやれと言った様子で言う。
「俺達はここでは目立つようだな」
「お、お願いします!」
そう言って商人は縮こまって震えていた。
巨大で数本の針を持つ鼠のような魔物、禍々しい宿木に寄生された猪、えぐい歯を持った小さな魚の群れが、自らが放つ水魔法に乗って襲い掛かって来る。
ルース組に居る大柄の男が前に出る。彼はフルプレートメイルに戦斧を持っていた。男は戦斧を地面に刺す。すると石の壁が目の前に出現した。かなり高価な戦斧のようだ。
「さっすがぁ!」
後ろにいた女魔導師が彼を誉めながらも魔法を構築していく。魔法媒体は腰にぶら下げた魔導書のようだ。破れやすいが、多くの補助の恩恵が期待できる。
しかし、魔物はそれを待ってはくれない。魔物達はすぐに壁を突破して来る。けれども女魔導師も負けてはいない。五、六メートルはある巨大な炎の剣で魔物を一掃しようと薙ぎ払う。戦斧の人は手慣れたようでしゃがんで避けた。
「ごめんっ」
彼女は思わず謝った。戦斧の人にでは無い。何時もの依頼の場所ならこれでほぼほぼ壊滅出来ただろう。しかし、今回は余りにも手ごたえが無かったのだ。
「いいからっ。集中しなさいっ」
「わ、分かってる!」
そう言ったのは軽装の女戦士。露出度の高い恰好に斧槍を持っている。彼女は隙を見てしっかりと接近しており、それを素早く振り回し、バランスを崩した魔物達を一掃していく。
「うぉぉおおおぉぉおお!」
戦斧の男も何時の間にか参戦していた。彼が戦斧を真上から真下に勢いよく振り下ろすと、魔物はそれを避ける。男の攻撃速度が余りにも遅すぎた。
しかし、その後に少し遅れて、土が無作為に少しだけ盛り上がる。その少しで魔物は足を取られる。そこに猛スピードで接近してきた素手の男が、魔物をその拳で迅速に破壊する。連携攻撃だ。
「おらっ! 援護なら任せろ!?」
最後にずっと後ろにいて動かない女性がいた。彼女はサボっているわけでは無い。指揮棒の様な短い杖で踊るように何かを描くと、体からは常に光を発する。それを仲間に放っていた。どうやら治療、身体能力の強化などをしているらしい。
「戦いは下手ですが……その代わりに全ての人を癒しましょう」
ルースは全体を観察していた。強い魔物が見えるか、味方が危機的状況になりそうになると、速攻で助けに行く。何時でも動ける様に待機している。
【後方】
後方ではワイアットがいて、同じく魔物を倒していた。
男の魔導師が小さな風の塊を飛ばす。それに気が付いた魔物が彼に襲い掛かる。すると彼は両手に持ったトンファーに似た武器を回して撃退する。
「はっはっは! 魔導師は接近戦が出来ないと思ったかっ。馬鹿めぇ!」
さらに女性の弓使いがひたすらに矢を放っていた。不思議な事にその矢はあらゆる方向に曲がっていた。魔弓だ。原理はいまいち不明だが、とにかく質量のある物体を自由に操る事が出来た。
「めいっちゅー♡ 私からは逃げられないわよぉ♪」
そして、ワイアットは双剣だが。それとは別に短剣二刀流の男もいた。素早く接近し、次々と魔物に襲い掛かる。
「ふんっふんっふんっふんっふんっ! 俺の速度について来れまいっ」
大きな両手剣を持つ男と、魔槍を持つ女がそれに負けじと突っ込む。どうやらワイアット組は個々の戦闘が得意なようだ。彼等は皆、笑みを浮かべていた。
「遅せぇ!」
原因はワイアットだ。
自分達もかなり魔物を倒しているが、やはり彼は圧倒的だった。彼等が自由に戦っていられるのは、ワイアットが強い魔物を瞬殺しているからに過ぎない。
十五分という長い戦闘を終え、皆は安心して息を付いた。積み荷には何事も無かったようで、商人もその結果に喜んでいた。しかし、これで終わりではない。引き続き警戒しながら進んで行く。
数台の馬車がとある危険地帯の道を列になって移動していた。
その中にはルースとその仲間、別の馬車にワイアットとその仲間が乗っていた。真ん中の馬車には積み荷があり、商人が乗っていた。
前方の馬車にはルース達が乗っている。皆は常に気を張っている。少しのミスで死ぬであろうことを察していた。
ルースは魔物の気配に気が付くと速やかに馬車を止めた。下りて腰に付けている神々しい片手剣を抜いた。一方、ワイアットの方は双剣を抜く。
ルースは苦笑いをしていた。
「濃い魔素が成せる生態系……か」
ワイアットがやれやれと言った様子で言う。
「俺達はここでは目立つようだな」
「お、お願いします!」
そう言って商人は縮こまって震えていた。
巨大で数本の針を持つ鼠のような魔物、禍々しい宿木に寄生された猪、えぐい歯を持った小さな魚の群れが、自らが放つ水魔法に乗って襲い掛かって来る。
ルース組に居る大柄の男が前に出る。彼はフルプレートメイルに戦斧を持っていた。男は戦斧を地面に刺す。すると石の壁が目の前に出現した。かなり高価な戦斧のようだ。
「さっすがぁ!」
後ろにいた女魔導師が彼を誉めながらも魔法を構築していく。魔法媒体は腰にぶら下げた魔導書のようだ。破れやすいが、多くの補助の恩恵が期待できる。
しかし、魔物はそれを待ってはくれない。魔物達はすぐに壁を突破して来る。けれども女魔導師も負けてはいない。五、六メートルはある巨大な炎の剣で魔物を一掃しようと薙ぎ払う。戦斧の人は手慣れたようでしゃがんで避けた。
「ごめんっ」
彼女は思わず謝った。戦斧の人にでは無い。何時もの依頼の場所ならこれでほぼほぼ壊滅出来ただろう。しかし、今回は余りにも手ごたえが無かったのだ。
「いいからっ。集中しなさいっ」
「わ、分かってる!」
そう言ったのは軽装の女戦士。露出度の高い恰好に斧槍を持っている。彼女は隙を見てしっかりと接近しており、それを素早く振り回し、バランスを崩した魔物達を一掃していく。
「うぉぉおおおぉぉおお!」
戦斧の男も何時の間にか参戦していた。彼が戦斧を真上から真下に勢いよく振り下ろすと、魔物はそれを避ける。男の攻撃速度が余りにも遅すぎた。
しかし、その後に少し遅れて、土が無作為に少しだけ盛り上がる。その少しで魔物は足を取られる。そこに猛スピードで接近してきた素手の男が、魔物をその拳で迅速に破壊する。連携攻撃だ。
「おらっ! 援護なら任せろ!?」
最後にずっと後ろにいて動かない女性がいた。彼女はサボっているわけでは無い。指揮棒の様な短い杖で踊るように何かを描くと、体からは常に光を発する。それを仲間に放っていた。どうやら治療、身体能力の強化などをしているらしい。
「戦いは下手ですが……その代わりに全ての人を癒しましょう」
ルースは全体を観察していた。強い魔物が見えるか、味方が危機的状況になりそうになると、速攻で助けに行く。何時でも動ける様に待機している。
【後方】
後方ではワイアットがいて、同じく魔物を倒していた。
男の魔導師が小さな風の塊を飛ばす。それに気が付いた魔物が彼に襲い掛かる。すると彼は両手に持ったトンファーに似た武器を回して撃退する。
「はっはっは! 魔導師は接近戦が出来ないと思ったかっ。馬鹿めぇ!」
さらに女性の弓使いがひたすらに矢を放っていた。不思議な事にその矢はあらゆる方向に曲がっていた。魔弓だ。原理はいまいち不明だが、とにかく質量のある物体を自由に操る事が出来た。
「めいっちゅー♡ 私からは逃げられないわよぉ♪」
そして、ワイアットは双剣だが。それとは別に短剣二刀流の男もいた。素早く接近し、次々と魔物に襲い掛かる。
「ふんっふんっふんっふんっふんっ! 俺の速度について来れまいっ」
大きな両手剣を持つ男と、魔槍を持つ女がそれに負けじと突っ込む。どうやらワイアット組は個々の戦闘が得意なようだ。彼等は皆、笑みを浮かべていた。
「遅せぇ!」
原因はワイアットだ。
自分達もかなり魔物を倒しているが、やはり彼は圧倒的だった。彼等が自由に戦っていられるのは、ワイアットが強い魔物を瞬殺しているからに過ぎない。
十五分という長い戦闘を終え、皆は安心して息を付いた。積み荷には何事も無かったようで、商人もその結果に喜んでいた。しかし、これで終わりではない。引き続き警戒しながら進んで行く。
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