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第五章 怪物
第10話 赤い瞳のジェヴィーノ ※グロ注意
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治療を終えたリーダーが声をかける。麻酔の様な薬で痛みを抑えているのだろうか。彼は痛みに堪えながら歩いて来た。
「お前等、連れて来い」
「はっ!」
ひと気のない場所に大きな小屋があった。そこに入ってそうそうに防音の魔具を起動させる。縄を使って壁に張り付けると、鞭を打ち始めた。
「あぅっ! ぐぁ! や、め……ぁあ”っ! あがっぁ……ッ」
彼女は叫び声を出すが、それは誰にも届かなかった。
「反省したか?」
「したぁ! 反省したからぁ! さっきのは謝るからもうやめてっ……今度はちゃんとするから……」
「もう遅いんだよぉ! そうだ……俺のモノはもう……戻って来ないんだ……ッ」
「う、嘘でしょ……冗談はやめてよっ!」
彼はそれを無視して、ノコギリを取り出した。
「ちょっと。本当に冗談はやめて……謝るよ! ……ごめんなさいっ。もうしませんっ! ごめんなさい!」
「良い声で泣けよッ」
そう言いながら彼は左肘付近にそれを当てる。そして、おぞましい叫び声がこだまする。何度も押して引いて、腕を切り始めた。
リーゼは涙、よだれ、鼻水で顔を汚しながら、その痛みに耐えきれずに叫び続けていた。汗が止まらない。ようやくそれを切り落とすと、彼女はしばらく苦しむながら激しく呼吸をしていた。痛みのピークが過ぎて何とか声が出せるようになる。
「ぃだぃ……いだいょ……も、もう満足したでしょう……許してぇ……じんじゃう……」
「はぁ? 俺の怒りはこんなもんじゃねぇ! 四肢を全部に決まってるだろうがっ」
「ぞんなっ。やめて! やめてよぉ! わ、私は商品何でしょう。これ以上やったらほんとに……っ! おねがいだからっ」
「ああ? お前は化け物だろうが。どうせ数か月後に生えて来る。ボスには怒られるが、お前を連れて来れば殺される事は無いんだよぉっ!」
「嫌っ! お、お願いだから。助けてッ……そんなの死んじゃうぅ……嫌だよぉぉおお!」
「へへへへ、クフフフフっ。良いぜぇ。もっと叫んで俺の心に届けば止めてやるぅ」
「やめてください! 許してくださいっ! おねがい! それ以外なら何でもっ! だからやめっ……ぁっ」
彼は右腕にノコギリを当てると、彼女はガチガチと歯をかみ合わせていた。そして、先ほどの痛みと恐怖を思い出して、股間から液体を出した。
「ごめんなさい……ごめんなさいっ……」
彼等は満足そうな表情で続きを開始する。再び叫び声が響き渡った。何度も叫び、四肢全てが切り落とされたリーゼは地面に転がされていた。余りの苦痛に血だらけで意識を失っていた。
しばらくして、彼女が目覚ます。それを待っていた男達が立ち上がる。
彼女は短くなった腕を使って、必死に距離を取るが踏みつぶされる。
「ぅぐぅ……!」
彼女は捕まった事に震えていた。さらに男が木製の棒を彼女の顔の真横。地面に力強く打ち付けると音が出た。ひっ、っと怯えた声が漏れる。
「今からこれを、お前に下の穴に突っ込みぜ。どっちがいいか選べ」
「な、何を言っているのっ? どっちってどういうっ?」
「前か後ろの事だよっ。とぼけてんじゃねーぞ! 早くしないと全部になるぜ」
「ひぃっ! む、無理……い、いや……ごめんなさいっ……ごめんなさい! ごめんなさいッ!」
「分かった。両方がお望みか?」
「ッ……後ろっ! 後ろの穴っ!」
「ああ? 何だってぇ? 言い方が気に食わないなぁ」
「う、後ろの穴が良いですっ。どうか私のお尻の穴に入れて下さいっ」
「そこまで必死におねだりされたのならぁ仕方ないなぁ」
「お願いします。ゆっくり……優しくしてください……もう痛いのは嫌……ほんとに……しんじゃうぅ……」
「任せろよッ」
彼は勢いよくそれを入れた。同時に出血をする。リーゼはひたすら叫んでいた。のたうち回って痛みに耐えていた。リーダーは快楽のあまりよだれを垂らしながら言う。
「どうだぁ天国には行けそうかっ? 最高に気持ち良いだろぉぉおおっ?」
すると先ほどまで酷い声を出していた彼女が突然静かになって目を閉じた。
「リーダー……もしかして死んだんじゃ」
「どうせ意識を失っただけだ。へへへ、よほど気持ち良かったんだろなぁ!!」
そこでリーゼが突然怒りに満ちた声を発した。
「この時を待ってた……」
「クヘヘヘ、どうだ? 癖になりそうか?」
「ええ……とってもぉ」
その瞬間、リーゼは目を開けた。彼女の瞳は真っ赤に変化していた。リーダーは目を見開いて叫んだ。
「しまっ。夜かッ」
リーダーは彼女の意識を奪おうと魔具に手をかけるが、遅かった。地面から不自然に、茨が勢いよく生えて来たのだ。それが彼等を縛り付ける。
四肢が無く、棒を入れられた状態でありながら形勢は逆転していた。皆が等しく掴まっている中、一人の首を絞められる。
「茨の魔法だとっ」
「リーダー! 助けてっ」
苦しみもがく。首が閉まり血が滴る。さらに口から泡が出て来る。その後、茨は凄まじい力で、そのまま彼の首をもぎ落とした。地面に転がる。それを見て彼等は阿鼻叫喚となる。
「さっきまでとはまるで違うっ……これがジェヴィーノッ」
「人族……貴様等の事は全部理解した……もう……可哀そうとは思わない。滅ぼすわ。全て……ッ」
「へっ……化け物が調子に乗るんじゃねぇ……ッ」
「心外だわ……人族のその狂気……私達では辿り着けそうにないわ……永遠にね……」
彼女が徐々に力を入れていくと彼等は苦しみ出した。
「ぐがぁっ……あぐぅ」
「最後に聞かせて……私達の仲間は何処?」
「ぐ……あが……ハ、ハハハ」
「さあッ言いなさいッ」
「へっ……くたばれ化け物がッ」
「黙りなさい外道……化け物とは貴様等の事だッ」
その瞬間、彼女はそこに居る全ての人族を殺した。しかし、彼女も生存もギリギリであった。
「……どうにかして、隠れないと……でもその前に、不味いけど、仕方ない……」
手足を必死に動かして地面を這う。一番近くの血だまりに口を付けて啜り始めた。そこで、彼女は顔をしかめた。扉が開く音が聞こえたのだ。
彼女の脳裏には即それが浮かんだ。他の仲間に連絡されていたのだと。死んだふりをしてやり過ごそうとする。ばれそうならすぐに反撃して殺す。それしか彼女には無かった。そして、ドアが開いた。
ドアから入って来た男達がこの光景を一瞥すると会話を始めた。
「この匂い、この感じ……まだ血が新しい。近いな」
「ああ……」
リーゼの心臓の鼓動が加速する。その者達は、この惨劇を見ても動揺する事もなく冷静だった。
彼等は下手に行動せず常に警戒して、まるで隙が無い。それどころか、すぐに答えに近づいて来たのだ。そして。
「おい、そこの女。大人しくしてろ」
彼女は決心した。魔素の消費は極力抑えたいが、そんな事を気にしてる場合ではないと。こいつらはやばい。リーゼは茨魔法で彼等をとらえようと魔力を込める。
「マッド、下だ」
「分かってるって」
彼等は凄まじい数のそれを軽くかわした。そして、茨は全て、一瞬で切り刻まれた。続けて発動させようとするが地面に氷を張られ上手く発動しなかった。彼等は散歩をするかの如く、ゆっくりと歩いて近づいて来た。
「ぁっ、あっ……」
一瞬で理解出来る圧倒的な力を前に、彼女は涙目になりながらも、必死に地面を這いながら逃げる。その速度で逃げきれ無いと悟るが、そうしなければ心が耐えられなかった。
彼等に捕まれば、先ほどとは比べ物にならない地獄が待っている。彼女はそう信じていた。
「来るなッ! それ以上! 来るなぁぁああ!?」
リーゼは振り返って切断された腕から茨を発生させるが、それすらも横にひょいとかわした後に、それを切り刻んだ。
「あのな、お嬢ちゃん……攻撃はしないから大人しくしてくれ」
「いやだぁっ! こ、来ないでぇぇええ!」
彼女はそれを続けようとするが、今度は腕を凍らされた。それを見て彼女は観念した。そして、泣きながら仰向けになって股を開いて見せた。無意識の行動だった。同時に氷は溶けたので、駄目もとで許しを請う。
「ごめんなさいっ……もう嫌っ。何でも言う事を聞くから許してッ……お家に帰してっ……」
「……悪いな、堪えてくれ」
ルーベンは彼女に刺さった棒を一気に抜く。
「ッぁあぐぅがぁ!?」
「お前、あの時の子供だな。大丈夫か?」
「……? 何? 今、なんて?」
真っ赤なクリクリの瞳が彼等をとらえていた。ルディがその辺の男から盗った服を投げると、ルーベンが受け取り地面に置いた。彼は彼女の負傷部分に手をかざす。回復用の魔具を使い治療していると、彼はある事に気が付いた。
「既に治りかけてる?」
「ち、ちがっ。これは……ずっと前からでっ」
彼女は自分の種族を全力で隠そうとする。もしかしたら被害者だと思われているのか、と希望を抱いた。
「そうかよ」
さっき受け取った、汚れの目立つ服を着させようとした時、リーゼが嫌な表情をした。
「ぅっ。臭っ……」
「嫌なのか?」
「あ、いやっ……ごめんなさい! 違いますっ。違いますからっ」
「レイジー。ローブ貸して」
「仕方ない」
ルディがそれを投げるとルーベンがそれを掴み、そのまま彼女を包み込んだ。思わぬ出来事に彼女は思考が停止した。色々な考えがめぐり混乱している。
「え……あ、も、目的は何……?」
「利己的な理由だ。聞いても得がないぞ」
「奴隷商に?」
「いんや。お前の故郷に返す」
「な、何で……意味が分からない……な、何を企んでいるっ?」
「混乱しているみたいだな……まあいいや、面倒だから簡単に言うと、今この街にお前がいると迷惑だ」
「こ、殺すって事……?」
彼女の瞳に陰りが生じる。やはり人族にとっては自分は邪魔な存在。その時、彼女の心境などお構いなく、ルディが外に歩き出した。
「マッド。俺はやつに報告に行くぞ。死人が出た以上は仕方ない……適当に理由は伝えよう」
「じゃあ宿で待ってる」
「あのッ……違いますっ。わ、私そいつらに殺されかけてッ。何もしてないのにっ。だからっ」
「詳しくは宿でな」
最後の抵抗は虚しく終わり、絶望する。もうどうする事も出来ないと嗚咽をもらした。
「ひぃぐ、ひぃぐ……何で……何でこんな事に……ッ」
「……」
「ヒィっ。い、痛くしないでください……も、もちろん絶対に逆らったりしないからッ……」
彼女はなすすべも無く連れていかれるのであった。
「お前等、連れて来い」
「はっ!」
ひと気のない場所に大きな小屋があった。そこに入ってそうそうに防音の魔具を起動させる。縄を使って壁に張り付けると、鞭を打ち始めた。
「あぅっ! ぐぁ! や、め……ぁあ”っ! あがっぁ……ッ」
彼女は叫び声を出すが、それは誰にも届かなかった。
「反省したか?」
「したぁ! 反省したからぁ! さっきのは謝るからもうやめてっ……今度はちゃんとするから……」
「もう遅いんだよぉ! そうだ……俺のモノはもう……戻って来ないんだ……ッ」
「う、嘘でしょ……冗談はやめてよっ!」
彼はそれを無視して、ノコギリを取り出した。
「ちょっと。本当に冗談はやめて……謝るよ! ……ごめんなさいっ。もうしませんっ! ごめんなさい!」
「良い声で泣けよッ」
そう言いながら彼は左肘付近にそれを当てる。そして、おぞましい叫び声がこだまする。何度も押して引いて、腕を切り始めた。
リーゼは涙、よだれ、鼻水で顔を汚しながら、その痛みに耐えきれずに叫び続けていた。汗が止まらない。ようやくそれを切り落とすと、彼女はしばらく苦しむながら激しく呼吸をしていた。痛みのピークが過ぎて何とか声が出せるようになる。
「ぃだぃ……いだいょ……も、もう満足したでしょう……許してぇ……じんじゃう……」
「はぁ? 俺の怒りはこんなもんじゃねぇ! 四肢を全部に決まってるだろうがっ」
「ぞんなっ。やめて! やめてよぉ! わ、私は商品何でしょう。これ以上やったらほんとに……っ! おねがいだからっ」
「ああ? お前は化け物だろうが。どうせ数か月後に生えて来る。ボスには怒られるが、お前を連れて来れば殺される事は無いんだよぉっ!」
「嫌っ! お、お願いだから。助けてッ……そんなの死んじゃうぅ……嫌だよぉぉおお!」
「へへへへ、クフフフフっ。良いぜぇ。もっと叫んで俺の心に届けば止めてやるぅ」
「やめてください! 許してくださいっ! おねがい! それ以外なら何でもっ! だからやめっ……ぁっ」
彼は右腕にノコギリを当てると、彼女はガチガチと歯をかみ合わせていた。そして、先ほどの痛みと恐怖を思い出して、股間から液体を出した。
「ごめんなさい……ごめんなさいっ……」
彼等は満足そうな表情で続きを開始する。再び叫び声が響き渡った。何度も叫び、四肢全てが切り落とされたリーゼは地面に転がされていた。余りの苦痛に血だらけで意識を失っていた。
しばらくして、彼女が目覚ます。それを待っていた男達が立ち上がる。
彼女は短くなった腕を使って、必死に距離を取るが踏みつぶされる。
「ぅぐぅ……!」
彼女は捕まった事に震えていた。さらに男が木製の棒を彼女の顔の真横。地面に力強く打ち付けると音が出た。ひっ、っと怯えた声が漏れる。
「今からこれを、お前に下の穴に突っ込みぜ。どっちがいいか選べ」
「な、何を言っているのっ? どっちってどういうっ?」
「前か後ろの事だよっ。とぼけてんじゃねーぞ! 早くしないと全部になるぜ」
「ひぃっ! む、無理……い、いや……ごめんなさいっ……ごめんなさい! ごめんなさいッ!」
「分かった。両方がお望みか?」
「ッ……後ろっ! 後ろの穴っ!」
「ああ? 何だってぇ? 言い方が気に食わないなぁ」
「う、後ろの穴が良いですっ。どうか私のお尻の穴に入れて下さいっ」
「そこまで必死におねだりされたのならぁ仕方ないなぁ」
「お願いします。ゆっくり……優しくしてください……もう痛いのは嫌……ほんとに……しんじゃうぅ……」
「任せろよッ」
彼は勢いよくそれを入れた。同時に出血をする。リーゼはひたすら叫んでいた。のたうち回って痛みに耐えていた。リーダーは快楽のあまりよだれを垂らしながら言う。
「どうだぁ天国には行けそうかっ? 最高に気持ち良いだろぉぉおおっ?」
すると先ほどまで酷い声を出していた彼女が突然静かになって目を閉じた。
「リーダー……もしかして死んだんじゃ」
「どうせ意識を失っただけだ。へへへ、よほど気持ち良かったんだろなぁ!!」
そこでリーゼが突然怒りに満ちた声を発した。
「この時を待ってた……」
「クヘヘヘ、どうだ? 癖になりそうか?」
「ええ……とってもぉ」
その瞬間、リーゼは目を開けた。彼女の瞳は真っ赤に変化していた。リーダーは目を見開いて叫んだ。
「しまっ。夜かッ」
リーダーは彼女の意識を奪おうと魔具に手をかけるが、遅かった。地面から不自然に、茨が勢いよく生えて来たのだ。それが彼等を縛り付ける。
四肢が無く、棒を入れられた状態でありながら形勢は逆転していた。皆が等しく掴まっている中、一人の首を絞められる。
「茨の魔法だとっ」
「リーダー! 助けてっ」
苦しみもがく。首が閉まり血が滴る。さらに口から泡が出て来る。その後、茨は凄まじい力で、そのまま彼の首をもぎ落とした。地面に転がる。それを見て彼等は阿鼻叫喚となる。
「さっきまでとはまるで違うっ……これがジェヴィーノッ」
「人族……貴様等の事は全部理解した……もう……可哀そうとは思わない。滅ぼすわ。全て……ッ」
「へっ……化け物が調子に乗るんじゃねぇ……ッ」
「心外だわ……人族のその狂気……私達では辿り着けそうにないわ……永遠にね……」
彼女が徐々に力を入れていくと彼等は苦しみ出した。
「ぐがぁっ……あぐぅ」
「最後に聞かせて……私達の仲間は何処?」
「ぐ……あが……ハ、ハハハ」
「さあッ言いなさいッ」
「へっ……くたばれ化け物がッ」
「黙りなさい外道……化け物とは貴様等の事だッ」
その瞬間、彼女はそこに居る全ての人族を殺した。しかし、彼女も生存もギリギリであった。
「……どうにかして、隠れないと……でもその前に、不味いけど、仕方ない……」
手足を必死に動かして地面を這う。一番近くの血だまりに口を付けて啜り始めた。そこで、彼女は顔をしかめた。扉が開く音が聞こえたのだ。
彼女の脳裏には即それが浮かんだ。他の仲間に連絡されていたのだと。死んだふりをしてやり過ごそうとする。ばれそうならすぐに反撃して殺す。それしか彼女には無かった。そして、ドアが開いた。
ドアから入って来た男達がこの光景を一瞥すると会話を始めた。
「この匂い、この感じ……まだ血が新しい。近いな」
「ああ……」
リーゼの心臓の鼓動が加速する。その者達は、この惨劇を見ても動揺する事もなく冷静だった。
彼等は下手に行動せず常に警戒して、まるで隙が無い。それどころか、すぐに答えに近づいて来たのだ。そして。
「おい、そこの女。大人しくしてろ」
彼女は決心した。魔素の消費は極力抑えたいが、そんな事を気にしてる場合ではないと。こいつらはやばい。リーゼは茨魔法で彼等をとらえようと魔力を込める。
「マッド、下だ」
「分かってるって」
彼等は凄まじい数のそれを軽くかわした。そして、茨は全て、一瞬で切り刻まれた。続けて発動させようとするが地面に氷を張られ上手く発動しなかった。彼等は散歩をするかの如く、ゆっくりと歩いて近づいて来た。
「ぁっ、あっ……」
一瞬で理解出来る圧倒的な力を前に、彼女は涙目になりながらも、必死に地面を這いながら逃げる。その速度で逃げきれ無いと悟るが、そうしなければ心が耐えられなかった。
彼等に捕まれば、先ほどとは比べ物にならない地獄が待っている。彼女はそう信じていた。
「来るなッ! それ以上! 来るなぁぁああ!?」
リーゼは振り返って切断された腕から茨を発生させるが、それすらも横にひょいとかわした後に、それを切り刻んだ。
「あのな、お嬢ちゃん……攻撃はしないから大人しくしてくれ」
「いやだぁっ! こ、来ないでぇぇええ!」
彼女はそれを続けようとするが、今度は腕を凍らされた。それを見て彼女は観念した。そして、泣きながら仰向けになって股を開いて見せた。無意識の行動だった。同時に氷は溶けたので、駄目もとで許しを請う。
「ごめんなさいっ……もう嫌っ。何でも言う事を聞くから許してッ……お家に帰してっ……」
「……悪いな、堪えてくれ」
ルーベンは彼女に刺さった棒を一気に抜く。
「ッぁあぐぅがぁ!?」
「お前、あの時の子供だな。大丈夫か?」
「……? 何? 今、なんて?」
真っ赤なクリクリの瞳が彼等をとらえていた。ルディがその辺の男から盗った服を投げると、ルーベンが受け取り地面に置いた。彼は彼女の負傷部分に手をかざす。回復用の魔具を使い治療していると、彼はある事に気が付いた。
「既に治りかけてる?」
「ち、ちがっ。これは……ずっと前からでっ」
彼女は自分の種族を全力で隠そうとする。もしかしたら被害者だと思われているのか、と希望を抱いた。
「そうかよ」
さっき受け取った、汚れの目立つ服を着させようとした時、リーゼが嫌な表情をした。
「ぅっ。臭っ……」
「嫌なのか?」
「あ、いやっ……ごめんなさい! 違いますっ。違いますからっ」
「レイジー。ローブ貸して」
「仕方ない」
ルディがそれを投げるとルーベンがそれを掴み、そのまま彼女を包み込んだ。思わぬ出来事に彼女は思考が停止した。色々な考えがめぐり混乱している。
「え……あ、も、目的は何……?」
「利己的な理由だ。聞いても得がないぞ」
「奴隷商に?」
「いんや。お前の故郷に返す」
「な、何で……意味が分からない……な、何を企んでいるっ?」
「混乱しているみたいだな……まあいいや、面倒だから簡単に言うと、今この街にお前がいると迷惑だ」
「こ、殺すって事……?」
彼女の瞳に陰りが生じる。やはり人族にとっては自分は邪魔な存在。その時、彼女の心境などお構いなく、ルディが外に歩き出した。
「マッド。俺はやつに報告に行くぞ。死人が出た以上は仕方ない……適当に理由は伝えよう」
「じゃあ宿で待ってる」
「あのッ……違いますっ。わ、私そいつらに殺されかけてッ。何もしてないのにっ。だからっ」
「詳しくは宿でな」
最後の抵抗は虚しく終わり、絶望する。もうどうする事も出来ないと嗚咽をもらした。
「ひぃぐ、ひぃぐ……何で……何でこんな事に……ッ」
「……」
「ヒィっ。い、痛くしないでください……も、もちろん絶対に逆らったりしないからッ……」
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