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第三章 ギルドの厄介ごと
第12話 何時ものプリシラ
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【隠し部屋の内部】
プリシラは虚ろな目をしていた。それを見てルーベンは少しだけ目を細めた。
「反応なしか……」
男はプリシラのパンツを履くと短剣を持ち遅れて扉に入って行く。そして、接近してルーベンを迷いなく刺した。彼は軽く飛ばされて倒れた。仰向けのルーベンから赤い液体が零れ落ちる。
「クククク、はははは……ハーハッハッハ。余計な事に首を突っ込むからこうなるんだよぉ。にしても今の感触……骨に妨げられたか? まだ生きているかもしれない……止めを……」
女性物のパンイチの男は狂いながらもクールな決め顔で言う。血を流すルーベンを見てプリシラに反応があった。
「ぇ? 血……あれ……私……」
それを見て数秒後に悲鳴を上げた。男はそれをなだめるように優しく言った。
「プリシラちゃん、怖い思いさせてごめんね。今、そのゴミを片付けるから……!」
「こ、来ないで変態!」
そこで男は驚愕する。さらに来訪者が来たのだ。コンコンとドアが叩かれる。
「こ、今度はなんだぁ!? クソがぁぁああ!」
外から女性の声が聞こえて来た。
「誰かいないか? 憲兵のツィーディア・トルゥーディだ」
「け、憲兵だとぉ」
「通報があった……聞きたい事があるから開けろ。反応が無いと強行突破になるぞ」
それを聞いて出るしかないと考える。誤解を解かなければならないのだ。急いでズボンをはいて、返り血を浴びていない事や血だまりを踏んでいない事を確認する。仕掛けを起動して部屋を隠した後、ドアを開ける。彼は普通に何食わぬ表情で、かつ落ち着いた声で喋り出した。
【隠し部屋の中】
隠し部屋の中では弱り切ったプリシラだが、我を忘れて発狂していた。するとルーベンが起き上がる。プリシラは短く悲鳴を上げた。
「何で! クロウ……刺されたはずじゃ……」
「偶然懐に入れてた硬貨に当たって助かったみたいだ……」
「血が出てるよ……」
「あ、これ? 凄い力だったからな。少し皮膚が切れた。大袈裟に見えるだけだよ。平気平気」
「……ちょっと色々と意味が分からない……ここは?」
「記憶が曖昧なのか? まあ、正気に戻ってなによりだ」
「正気に……?」
「通常なら、優秀な魔導師様には効かないだろうが。精神的に追い詰めた後に洗脳系の魔法を使ったようだな……」
「は、はぁ? バカなの? 私がそんなのにかかるはずないよぉ……」
「お前がそう思うならそれが真実だ。忘れてくれ。それよりも少し臭うぞ」
「は、はぁ? そんな事あるはずが……」
自分でスンスンと匂いを嗅ぐとそれに無言で同意した。
「……それに気が付いたなら早く息を止めてね? 後、私から離れてくれないかなぁ。 ていうかこっち見るな……殺すよ?」
「お、思ったより元気だな。息はするけど見ないわ」
彼は服を一枚脱ぐと、男が放置していった短剣を使い服に切れ目を入れてプリシラに着せた。
「……何か色々むかつく。それにお姉ちゃんの時と露骨に反応が違うのが凄い腹立つっ」
ルーベンが壁から剥がそうとするが片足を解放するのがやっとだった。
「時間が無いし。俺じゃ無理そうだな。そっちは動けそうか?」
「駄目みたい……ここに縛り付けられてる限り魔素を奪われてる……その魔素をここの結界に使われてて……このままじゃあ逃げられないよ」
「ふーん。憲兵来てるみたいだし、呼んでみるか」
「バカっ……どうせ防音になってるよ」
しかし、それを無視してルーベンは憲兵を呼ぶのであった。
プリシラは虚ろな目をしていた。それを見てルーベンは少しだけ目を細めた。
「反応なしか……」
男はプリシラのパンツを履くと短剣を持ち遅れて扉に入って行く。そして、接近してルーベンを迷いなく刺した。彼は軽く飛ばされて倒れた。仰向けのルーベンから赤い液体が零れ落ちる。
「クククク、はははは……ハーハッハッハ。余計な事に首を突っ込むからこうなるんだよぉ。にしても今の感触……骨に妨げられたか? まだ生きているかもしれない……止めを……」
女性物のパンイチの男は狂いながらもクールな決め顔で言う。血を流すルーベンを見てプリシラに反応があった。
「ぇ? 血……あれ……私……」
それを見て数秒後に悲鳴を上げた。男はそれをなだめるように優しく言った。
「プリシラちゃん、怖い思いさせてごめんね。今、そのゴミを片付けるから……!」
「こ、来ないで変態!」
そこで男は驚愕する。さらに来訪者が来たのだ。コンコンとドアが叩かれる。
「こ、今度はなんだぁ!? クソがぁぁああ!」
外から女性の声が聞こえて来た。
「誰かいないか? 憲兵のツィーディア・トルゥーディだ」
「け、憲兵だとぉ」
「通報があった……聞きたい事があるから開けろ。反応が無いと強行突破になるぞ」
それを聞いて出るしかないと考える。誤解を解かなければならないのだ。急いでズボンをはいて、返り血を浴びていない事や血だまりを踏んでいない事を確認する。仕掛けを起動して部屋を隠した後、ドアを開ける。彼は普通に何食わぬ表情で、かつ落ち着いた声で喋り出した。
【隠し部屋の中】
隠し部屋の中では弱り切ったプリシラだが、我を忘れて発狂していた。するとルーベンが起き上がる。プリシラは短く悲鳴を上げた。
「何で! クロウ……刺されたはずじゃ……」
「偶然懐に入れてた硬貨に当たって助かったみたいだ……」
「血が出てるよ……」
「あ、これ? 凄い力だったからな。少し皮膚が切れた。大袈裟に見えるだけだよ。平気平気」
「……ちょっと色々と意味が分からない……ここは?」
「記憶が曖昧なのか? まあ、正気に戻ってなによりだ」
「正気に……?」
「通常なら、優秀な魔導師様には効かないだろうが。精神的に追い詰めた後に洗脳系の魔法を使ったようだな……」
「は、はぁ? バカなの? 私がそんなのにかかるはずないよぉ……」
「お前がそう思うならそれが真実だ。忘れてくれ。それよりも少し臭うぞ」
「は、はぁ? そんな事あるはずが……」
自分でスンスンと匂いを嗅ぐとそれに無言で同意した。
「……それに気が付いたなら早く息を止めてね? 後、私から離れてくれないかなぁ。 ていうかこっち見るな……殺すよ?」
「お、思ったより元気だな。息はするけど見ないわ」
彼は服を一枚脱ぐと、男が放置していった短剣を使い服に切れ目を入れてプリシラに着せた。
「……何か色々むかつく。それにお姉ちゃんの時と露骨に反応が違うのが凄い腹立つっ」
ルーベンが壁から剥がそうとするが片足を解放するのがやっとだった。
「時間が無いし。俺じゃ無理そうだな。そっちは動けそうか?」
「駄目みたい……ここに縛り付けられてる限り魔素を奪われてる……その魔素をここの結界に使われてて……このままじゃあ逃げられないよ」
「ふーん。憲兵来てるみたいだし、呼んでみるか」
「バカっ……どうせ防音になってるよ」
しかし、それを無視してルーベンは憲兵を呼ぶのであった。
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