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第三章 ギルドの厄介ごと
第8話 消えた妹
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竜討伐から約一週間が経過した。ルーベンがギルドで飲み物を飲んでいるとヘシカが男に怒りの表情でまくし立てていた。
「し、知りませんよ! 僕だって聞きたいくらいだ!」
男はそう叫んで逃げて行った。プリシラは男性に人気だが女性には人気が無い。逆にヘシカは女性には人気だが、男性には人気が無かった。
ヘシカが逃げた男に待て、と声をかけるが、無視をされたので更に険しい表情になった。歯を噛みしめてルーベンの方に向かって来た。
彼が面倒そうだと席を立ったが、彼女は右手に火の球を作り出した。それを見て彼は席に座った。すると彼女もそれを消して見せた。そして、第一声に言う。
「おい、プリシラは何処だっ」
「知らねーよ。ヘシカ以上に知ってる奴はいねーだろ」
「……本当だろうな?」
「知らね。喧嘩でもしたか?」
「違う……ッ。そんなんじゃねぇ」
「コールには聞いたのか? 家に上がり込んでるかもよ」
それを予想してなかったのか彼女は気まずそうに言う。
「……お、お前が聞け」
「何でだよ」
「何でもだッ」
再び魔法で脅して来たのでルーベンは仕方なく了承する。
「分かった分かったっ。だからそれをやめろ」
ヘシカが大人しく火を消すとルーベンは座っていた。
「おい、何してんだ? 早く行け」
「いや、あいつ依頼中だろ」
「そうか……わりぃ」
「焦ってるな。で、何時から居ないんだ?」
「五日前からだ。家に帰って来てない」
「……」
ルーベンは昨日の夜にルディに会っているが、そんな話は聞いていない。そもそも家にプリシラは入れないだろう。
「ギルドや憲兵には言ったか?」
「言ってねぇ」
「言えよ」
「プリシラは強い……だからっ」
「それなら何で今心配してるんだよ……ったく」
「……ッ。こんな事は初めてなんだよ……何時もずっと一緒だったからな……っ」
「じゃあ遅めの反抗期でも来たんだろ。きっと家出か男だ」
「ああ? 絶対にありえねーよ……プリシラはなぁ幼い頃からっ……ちっ。何言ってんだろうな私は。お前に語っても意味が無いな……」
「確かに意味は無いな。コールが帰って来るまで時間がある」
「だから?」
「俺は遊びに行く。せめてギルドには報告しとけ」
「はぁ? 今から遊ぶだとっ。ふざけるなよ! それに、そんなみっとも無い真似出来るかよっ」
「妹の行方とプライド……どっちが大切なんだよ」
「それは……っ」
彼女は少し冷静になったのか大人しくギルドに連絡したようだ。しかし、それから三日経ったがプリシラは行方不明のままだった。
その日の昼頃、ルディがルーベンを裏路地、誰にも見られない場所に呼び出した。その時、遥か遠くで爆発が起きた。ここまで音が聞こえて来たのだ。
「ヘシカだな……」
「また暴れているのか……いい加減捕まるぞ」
「とりあえずは今は無視だな」
「そうだな。で、何か分かったか、ルーベン?」
「相変わらず目撃証言が少ない。情報を集めてあいつの行きそうな所は行った。後は関係ない場所でも怪しい所を総当たりをして、一個づつ消去していくしかないかもな。そっちはどうだ?」
「見つかってない……都市の何処にもプリシラが魔法を発動した形跡がない。それにあいつの魔素も追えない」
「駄目か……あいつが隠蔽するとは思えない。形跡さえ無いとは……最悪死んでいるな」
「……ああ。油断したのだろう。それは仕方がない……だが、一応希望はある」
「希望?」
「ワイデンの場所が分かった」
「なるほど……」
「だが……」
「それは俺に任せろ」
「そのつもりだ」
彼等はとある家に向かって行った。ルーベンが言う。
「ここだ」
ミラージェス姉妹の家だ。魔法錠がかかっていたが、ルディが容易に開錠した。ルディは外で見張りをし、ルーベンが家の中をゴソゴソとあさっていた。玄関の外から声をかける。
「まだか?」
「あったあった。これなら大丈夫だろう」
「さっさと行くぞ」
彼等は速やかに目的地に向かうのであった。
「し、知りませんよ! 僕だって聞きたいくらいだ!」
男はそう叫んで逃げて行った。プリシラは男性に人気だが女性には人気が無い。逆にヘシカは女性には人気だが、男性には人気が無かった。
ヘシカが逃げた男に待て、と声をかけるが、無視をされたので更に険しい表情になった。歯を噛みしめてルーベンの方に向かって来た。
彼が面倒そうだと席を立ったが、彼女は右手に火の球を作り出した。それを見て彼は席に座った。すると彼女もそれを消して見せた。そして、第一声に言う。
「おい、プリシラは何処だっ」
「知らねーよ。ヘシカ以上に知ってる奴はいねーだろ」
「……本当だろうな?」
「知らね。喧嘩でもしたか?」
「違う……ッ。そんなんじゃねぇ」
「コールには聞いたのか? 家に上がり込んでるかもよ」
それを予想してなかったのか彼女は気まずそうに言う。
「……お、お前が聞け」
「何でだよ」
「何でもだッ」
再び魔法で脅して来たのでルーベンは仕方なく了承する。
「分かった分かったっ。だからそれをやめろ」
ヘシカが大人しく火を消すとルーベンは座っていた。
「おい、何してんだ? 早く行け」
「いや、あいつ依頼中だろ」
「そうか……わりぃ」
「焦ってるな。で、何時から居ないんだ?」
「五日前からだ。家に帰って来てない」
「……」
ルーベンは昨日の夜にルディに会っているが、そんな話は聞いていない。そもそも家にプリシラは入れないだろう。
「ギルドや憲兵には言ったか?」
「言ってねぇ」
「言えよ」
「プリシラは強い……だからっ」
「それなら何で今心配してるんだよ……ったく」
「……ッ。こんな事は初めてなんだよ……何時もずっと一緒だったからな……っ」
「じゃあ遅めの反抗期でも来たんだろ。きっと家出か男だ」
「ああ? 絶対にありえねーよ……プリシラはなぁ幼い頃からっ……ちっ。何言ってんだろうな私は。お前に語っても意味が無いな……」
「確かに意味は無いな。コールが帰って来るまで時間がある」
「だから?」
「俺は遊びに行く。せめてギルドには報告しとけ」
「はぁ? 今から遊ぶだとっ。ふざけるなよ! それに、そんなみっとも無い真似出来るかよっ」
「妹の行方とプライド……どっちが大切なんだよ」
「それは……っ」
彼女は少し冷静になったのか大人しくギルドに連絡したようだ。しかし、それから三日経ったがプリシラは行方不明のままだった。
その日の昼頃、ルディがルーベンを裏路地、誰にも見られない場所に呼び出した。その時、遥か遠くで爆発が起きた。ここまで音が聞こえて来たのだ。
「ヘシカだな……」
「また暴れているのか……いい加減捕まるぞ」
「とりあえずは今は無視だな」
「そうだな。で、何か分かったか、ルーベン?」
「相変わらず目撃証言が少ない。情報を集めてあいつの行きそうな所は行った。後は関係ない場所でも怪しい所を総当たりをして、一個づつ消去していくしかないかもな。そっちはどうだ?」
「見つかってない……都市の何処にもプリシラが魔法を発動した形跡がない。それにあいつの魔素も追えない」
「駄目か……あいつが隠蔽するとは思えない。形跡さえ無いとは……最悪死んでいるな」
「……ああ。油断したのだろう。それは仕方がない……だが、一応希望はある」
「希望?」
「ワイデンの場所が分かった」
「なるほど……」
「だが……」
「それは俺に任せろ」
「そのつもりだ」
彼等はとある家に向かって行った。ルーベンが言う。
「ここだ」
ミラージェス姉妹の家だ。魔法錠がかかっていたが、ルディが容易に開錠した。ルディは外で見張りをし、ルーベンが家の中をゴソゴソとあさっていた。玄関の外から声をかける。
「まだか?」
「あったあった。これなら大丈夫だろう」
「さっさと行くぞ」
彼等は速やかに目的地に向かうのであった。
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