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入試試験
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ノラたちは森の中を進んでいた。怯えながら進む二人と、堂々と進むノラ。
「ノラ様が居て本当に良かったです……」
「何て言っても評価白ですからね!」
「……貴方たちはそれで良いの?」
「え?」
その時、ノラは危険を察知する。後方の二人に指示を出す。
「下がりなさい!」
「え? あ……えっ?」
それでも反応が出来なかった二人。怒った表情をしながら槍を下から上に振り上げると、地面から土が盛り上がり一気に数メートルほど上昇する。地の魔法だ。
既に振り下ろされていた巨大な腕と地の魔法が衝突する。巨大な土の塊の魔物の攻撃を見事に防いだ。背後の二人は驚きの余り叫んだ。
「ま、魔導兵器っ……ゴーレムぅ!!」
ノラは後ろの荷物を抱えて倒すのは厄介だと判断する。
「それならッ……」
木から木へと素早く飛び移り、背後に回り込むと高く舞い上がる。狙うは安全装置の爆発。強の魔法で身体強化を加え、さらに槍に雷を宿した。そして、安全装置を貫くために全力で突進をする。
「はぁああ!!」
ガキンと大きな音と同時に槍が弾かれた。
「っ!!」
少し離れた位置に着地をした。
「ッ……堅すぎるっ……それなら時間はかかるけど……」
彼女は槍に水を纏わせると、足を狙い始める。高速で移動し、何度も同じ箇所を攻撃する。そして、ゴーレムはバランスを失い、轟音と共に倒れるのであった。
監視役の教員は装置を介してその光景を見ていた。
「普通は協力して倒せるくらいの魔物をあてがってるんだけどな。凄いなノラ嬢は……あの歳でここまでとは……噂通りの天才、か……」
「なんで通常の試験を受けたんですかねぇ」
「分からんよそんなこと。どうせ金持ちの気まぐれだ」
尻もちを尽いている三人組が居た。
「くくく、くるな!」
魔物はゆっくりと近づいて来る。三人は叫び声をあげて気絶した。すると魔物は彼等を優しく担ぐとスタート地点に歩き出す。
ここは木が密集していない見晴らしの良い場所。地面が直線上に抉れていた。それも何カ所も。激しく戦った跡。
「す、素敵……」
「さあ、行こうか。皆……」
「お、おう……」
別の場所、筋肉隆々の男が魔物を羽交い絞めにしていた。
「早くしろ! 俺ごとやるんだ!」
「で、でも! このままだとお前もっ」
「頼む! 俺の力が残っている内にッ!」
「う、うわぁぁああ!!」
彼等は魔法で集中砲火を浴びせた。魔物は倒れたが、筋肉の男は立ったまま。見事耐えきったのだ。ボロボロの彼は言う。
「ふぅー。これで五回目。いや五体目か。俺たち初対面にしては良い連携だな!」
「そ、そうかな?」
「ぁの~。もうちょっと別の方法はー……」
「んー。じゃあお前が羽交い絞め、俺がタックルか?」
「俺は羽交い絞めする筋肉もないし、あんたのタックルを受けたら俺たちは死ぬ……」
「ってことは……何時も通りか!」
「うん……もうそれでいいや」
「ノラ様が居て本当に良かったです……」
「何て言っても評価白ですからね!」
「……貴方たちはそれで良いの?」
「え?」
その時、ノラは危険を察知する。後方の二人に指示を出す。
「下がりなさい!」
「え? あ……えっ?」
それでも反応が出来なかった二人。怒った表情をしながら槍を下から上に振り上げると、地面から土が盛り上がり一気に数メートルほど上昇する。地の魔法だ。
既に振り下ろされていた巨大な腕と地の魔法が衝突する。巨大な土の塊の魔物の攻撃を見事に防いだ。背後の二人は驚きの余り叫んだ。
「ま、魔導兵器っ……ゴーレムぅ!!」
ノラは後ろの荷物を抱えて倒すのは厄介だと判断する。
「それならッ……」
木から木へと素早く飛び移り、背後に回り込むと高く舞い上がる。狙うは安全装置の爆発。強の魔法で身体強化を加え、さらに槍に雷を宿した。そして、安全装置を貫くために全力で突進をする。
「はぁああ!!」
ガキンと大きな音と同時に槍が弾かれた。
「っ!!」
少し離れた位置に着地をした。
「ッ……堅すぎるっ……それなら時間はかかるけど……」
彼女は槍に水を纏わせると、足を狙い始める。高速で移動し、何度も同じ箇所を攻撃する。そして、ゴーレムはバランスを失い、轟音と共に倒れるのであった。
監視役の教員は装置を介してその光景を見ていた。
「普通は協力して倒せるくらいの魔物をあてがってるんだけどな。凄いなノラ嬢は……あの歳でここまでとは……噂通りの天才、か……」
「なんで通常の試験を受けたんですかねぇ」
「分からんよそんなこと。どうせ金持ちの気まぐれだ」
尻もちを尽いている三人組が居た。
「くくく、くるな!」
魔物はゆっくりと近づいて来る。三人は叫び声をあげて気絶した。すると魔物は彼等を優しく担ぐとスタート地点に歩き出す。
ここは木が密集していない見晴らしの良い場所。地面が直線上に抉れていた。それも何カ所も。激しく戦った跡。
「す、素敵……」
「さあ、行こうか。皆……」
「お、おう……」
別の場所、筋肉隆々の男が魔物を羽交い絞めにしていた。
「早くしろ! 俺ごとやるんだ!」
「で、でも! このままだとお前もっ」
「頼む! 俺の力が残っている内にッ!」
「う、うわぁぁああ!!」
彼等は魔法で集中砲火を浴びせた。魔物は倒れたが、筋肉の男は立ったまま。見事耐えきったのだ。ボロボロの彼は言う。
「ふぅー。これで五回目。いや五体目か。俺たち初対面にしては良い連携だな!」
「そ、そうかな?」
「ぁの~。もうちょっと別の方法はー……」
「んー。じゃあお前が羽交い絞め、俺がタックルか?」
「俺は羽交い絞めする筋肉もないし、あんたのタックルを受けたら俺たちは死ぬ……」
「ってことは……何時も通りか!」
「うん……もうそれでいいや」
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