ワイズマンと賢者のいし

刀根光太郎

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入試試験

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 教員が数人やってくると白紙の紙を配り出す。開始の合図があると同時に白紙の紙に問題が浮き上がる。そして、皆一斉に解き始める。


 700年前の考え方では木、火、土、金、水を元に部分的に統合し、火、水、地が主流だった。しかし、今は24種類……そして一種類の禁忌に別れている。

 最小の機能に別けることで効果的にしたのが、現代の考え方。火力重視や絡め手では無く、あらゆる速度を求めた魔法。そして、魔法媒体を使う事で誰でもある程度の魔導師になれる体系。実に興味深い。

(ふむ。問題はそこまで難しくない。数問だけ意地の悪い問題があるが……)

 教室の端にはカンニングをさせないよう、チェックしている。絶対に不正が行えないように魔道具により、細かい魔力監視もしている模様。

 20分ほど経った。リルは苦戦しているらしく、かなりの頻度で手が止まる。

(……んー。心配だな。すまんリル。少し手荒な真似をする。まずは魔力の隠蔽……さらに遠視、記録、展開)

 様々な魔法を複数同時展開を発動する。基本は込めた魔力が大きいほど魔法性能があがっていく。僅かに貰った少女の魔力でやりくりするのは大変だ。

 しかしそれを難なくこなすと、頭に教室内の全員の問題用紙に書かれた内容が入って来る。

(この問題傾向はルクスの考えに似ていることを踏まえて。問題数と難易度から配点を算出……)

 平均は74点くらいか。後は良い感じの点になるよう答えを書き込めば。その時、ノラ・カリオストロが手を挙げた。

「7番の方。どうしましたか?」

「確信はありませんが、何か違和感を感じました……もしかして不正をしている者がいるのでは、と」

(ほー)

 教員は常に監視していたが、そんな様子はなかった。念のためさらに魔法に集中する。さらに魔道具の様子を見て、不正があるのかを確認する。彼等は顔を見合わせて首を横に振った。

「不正は行われていない。何かの勘違いだろう」

「しかしっ」


「ふふ、気を張り過ぎです。まあもう少し肩の力を抜きなさい。逆に我々に気がつかれぬ様に不正を行える者がいるとしたら名乗り出て欲しいものです。育てればきっと凄い魔導師になるでしょう」

「ッ……」

 彼女はそれ以上何も言わずに試験に戻った。

(悪いな。好奇心で迷惑をかけた……しかも余計なお世話だったようだ)

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