たとえ世界を敵に回したとしてもOREの病いは治らない

刀根光太郎

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55.雑談2

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【魔王領】


 玉座に腰を下ろす不遜な態度の男。大魔王はまずまずの成果に喜んだ。そして、部下たちに褒美を与えた。魔王の遺品を多く集まったからだ。

八大罪はちたいざい】ガリアロス、【猛毒の王】ディリティオル、【破壊の】デストル、【死水しすいの王】ラダヴィア、【嵐の】ムドヴィラ、【暗黒の】ビスディルズ、【業火の王】ルドザーグ、【荒地あれちの】エグラフォス、そして、最初に手に入れた【原初の戦慄】ジェラスト。

 それはかつて世界を恐怖に陥れた九滅の魔王。


 流石に全てを集めることは出来なかったが……。集まったのは武器と防具が一式、指輪が二つ、それにローブなどだ。指輪以外は部下に渡した。

 魔王軍は準備を整えつつあった。




【グリム一行】

 リーパーが王宮から無事に戻って来た。王都付近に集まる。その際に唖然としていた。

 クローディがミリウに突進しては、飛ばされを繰り返してた。地面に転がった時に「あーはいはいはい」、「なるほどね」、「もう全部分かった」、みたいな事を言って、突進して即飛ばされる。訓練? なのだろうか?

 とにかく情報を皆に共有する。

「対策を?」

「ああ、最後にそう言ってたぞ」

「死体を……ネクロマンサーに近いスキル。遺体を飾っていたのか。それとも想像に近い産物なのか……」

「どっちにしろ。覚悟しておいた方が良いな」


「ブレスに触れただけで、耐性ない生物は溶けたっておじいちゃんが言ってた」

「今は別の魔法を作ってる。後でもっと聞かせてくれ」


「国王が脅迫されてるだけなら、少しは有利な状況を作れそうだが。それすらも芝居だった場合は最悪だな」

 ロストが普通に訊く。

「そもそも大魔王に勝てるのか?」

「その死体が本物なら勝てると思うよ」

 クローディが答えてくれた。


「じゃあ、挑ってことは本物の可能性の方が高いか。本人が狙われない限りはいけそうだな」


 後は竜族の装甲を貫ける何かがいる。その辺の竜では無く、竜族の頂点に決定打を与えなくては勝てない。魔力の向上をしながら、威力重視の魔法を生成しなくてば。

(ククク、時間がまるで足りんな……)


「……」


 肩にドシンと重みを感じた。脚が乗っている。サリナだ。グリムは無言でお風呂を作ると、お礼に数回、肩を叩いてくれた。彼女が立ち上がった時に聞く。

「なぁ、サリナ。魔力ってどうやって上げてる?」

「えー、グリムと同じだよー。思いっきり力入れて、魔法を使ってるー」

「え? 魔法を使ってる? サリナも?」

「んー。でもーじっくりじわーりと使って魔素も増やさないとー。眠ると回復が早いんだー」


(!!?)


 衝撃の事実が発覚する。サリナは常に魔力強化をしていたらしい。リッスもショックを受けていた。つまり背中に乗りながら常に何か魔法を撃って。魔素がなくなりそうになったら寝るを繰り返していた。

「ええ! 自分だけズルイですよ!」

「リッスの背中とても乗り心地がいいー。それに速くてかっこいいー」

「え? そ、そうですか! ま、まあ。日頃から騎乗者の事を考えてますからねっ。それに毎日鍛えてますし!」

 リッスはしたり顔になってそう言った。

「板を乗せたらもっといいかもー」

「板!?」

「一流は形に拘らないー」

「な、なるほどー」

(どんどんサリナ好みにされてるな……)


「三対の翼に板の羽、か……いけるのか……」

 ミリウが何かボソっと呟いた。

「板は羽にはならないんじゃないか? 揚力を生み出せる翼にした方が良いかもな」

「ほう……筋肉に関係しているのか?」

(……加速に。いや……流石に無理があるか。やめておこう。きっと今回の最適解は素直に言うこと)

「分からない……その分野に詳しくなくてな」

「…………そうか……残念だ……」

(飛びたいのだろうか?)


「何にせよ。力を蓄えなければな。さあ、肉が焼けたぞ。今日は魚もある」


 アノがそう言いながら、肉を渡たす。とてもいい焼き加減だった。


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