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不安定
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【33日目の朝】
拠点もかなり発展して来た。レンガモドキで作った窯が、用途によって数種類出来ている。今はまだ使わないだろうが、獣の皮で作った服や靴も試作品が出来ていた。
次の目標は農作や金属を手に入れる事らしい。それに新たな住居。竪穴住居ではなく、平地式の住居にも取り掛かっている。
要の方は、回復の兆しを見せてはいるが、十日ほど寝たきりだったため、まだ体調が万全では無い。そのためもうしばらく休みをもらった。それは、安静にする期間ではなく、体作りのための休みだ。
俺は支度した後に採取に行く。田中さんが来ていたのに驚いた。目的地に到着し、粘土を採取しながら話しかける。
「田中さん、昨日の事とかで採取とかキツくない? 無理せず休んでも大丈夫だから」
「佐久間君にも同じ事言われたけど、大丈夫」
(俺は自分周辺の事で精一杯だったのに。流石は佐久間だな)
拠点には秋元がいるから、彼と離れる事が出来る、採取に参加したのかもしれない。どちらにしても佐久間がケアしたなら深掘りする必要はなさそうだ。
「それなら良かった。天羽も大神も昨日の事は気にするなよ。皆疑ってないからな。それに、秋元も色々とストレスを抱えてると思うから……」
「言おうとしてる事は分かるけど、私はあいつ嫌いよ」
天羽はまだまだ怒っているようだ。
「まあ、そうなるよな」
「私はそんなに気にしてないから……大丈夫。それよりも宮本君、元気になって良かったね」
「ありがとう。今はリハビリしてる。直ぐに何時も通りになるよっ」
思ったよりも皆の精神面は大丈夫そうなので安心した。せっせと働いた後、採取を終えて拠点へと帰る。
川で夕飯のための水を汲みに来ると大橋がいた。水を飲もうとしているように見えたので止めに行く。
「大橋さん。水を直接飲むのは良くないよ」
「あの! これは!」
「え?」
大橋が水を含んだまま喋ったので、聞き取れなかった。それに、それどころではない。彼女が水を吐き出すと、それは少し赤かったからだ。
「怪我したのか?」
「ち、違う。これはちょっと転んだだけでっ……」
(何で慌てているんだ? 心配させないとしているのか? それとも……)
「もしかして、何か隠してる?」
「そ、そんな事ない……」
「……取りあえず、和の所に行こう」
「そ、それは駄目ッ」
彼女は慌ててそれを断った。
「どうして?」
「……」
彼女は何も言わなかった。何処か怯えている様にも見えた。
「……誰かにやられたのか?」
それを聞いて驚いた様な表情をした。拒否しようと口を開けたが声を出すのを止めた。
「清水さんの所には行けない。そんなところを見られると、もっとひどい目に合うから……」
「誰かは言えるか?」
「……言えない」
事情は何となくだが分かった。恐らく大橋はいじめられている。彼女はこのままほっといて欲しいのだろう。しかし、ここは見知らぬ土地。逃げ場がない。現代でさえ無くならないそれ。
さらに法が無い世界ではさらにどうしようも無い。何処かで止めないと、暴力はエスカレートするばかりだろう。このままじゃ彼女の命が危なくなるかもしれない。
拠点もかなり発展して来た。レンガモドキで作った窯が、用途によって数種類出来ている。今はまだ使わないだろうが、獣の皮で作った服や靴も試作品が出来ていた。
次の目標は農作や金属を手に入れる事らしい。それに新たな住居。竪穴住居ではなく、平地式の住居にも取り掛かっている。
要の方は、回復の兆しを見せてはいるが、十日ほど寝たきりだったため、まだ体調が万全では無い。そのためもうしばらく休みをもらった。それは、安静にする期間ではなく、体作りのための休みだ。
俺は支度した後に採取に行く。田中さんが来ていたのに驚いた。目的地に到着し、粘土を採取しながら話しかける。
「田中さん、昨日の事とかで採取とかキツくない? 無理せず休んでも大丈夫だから」
「佐久間君にも同じ事言われたけど、大丈夫」
(俺は自分周辺の事で精一杯だったのに。流石は佐久間だな)
拠点には秋元がいるから、彼と離れる事が出来る、採取に参加したのかもしれない。どちらにしても佐久間がケアしたなら深掘りする必要はなさそうだ。
「それなら良かった。天羽も大神も昨日の事は気にするなよ。皆疑ってないからな。それに、秋元も色々とストレスを抱えてると思うから……」
「言おうとしてる事は分かるけど、私はあいつ嫌いよ」
天羽はまだまだ怒っているようだ。
「まあ、そうなるよな」
「私はそんなに気にしてないから……大丈夫。それよりも宮本君、元気になって良かったね」
「ありがとう。今はリハビリしてる。直ぐに何時も通りになるよっ」
思ったよりも皆の精神面は大丈夫そうなので安心した。せっせと働いた後、採取を終えて拠点へと帰る。
川で夕飯のための水を汲みに来ると大橋がいた。水を飲もうとしているように見えたので止めに行く。
「大橋さん。水を直接飲むのは良くないよ」
「あの! これは!」
「え?」
大橋が水を含んだまま喋ったので、聞き取れなかった。それに、それどころではない。彼女が水を吐き出すと、それは少し赤かったからだ。
「怪我したのか?」
「ち、違う。これはちょっと転んだだけでっ……」
(何で慌てているんだ? 心配させないとしているのか? それとも……)
「もしかして、何か隠してる?」
「そ、そんな事ない……」
「……取りあえず、和の所に行こう」
「そ、それは駄目ッ」
彼女は慌ててそれを断った。
「どうして?」
「……」
彼女は何も言わなかった。何処か怯えている様にも見えた。
「……誰かにやられたのか?」
それを聞いて驚いた様な表情をした。拒否しようと口を開けたが声を出すのを止めた。
「清水さんの所には行けない。そんなところを見られると、もっとひどい目に合うから……」
「誰かは言えるか?」
「……言えない」
事情は何となくだが分かった。恐らく大橋はいじめられている。彼女はこのままほっといて欲しいのだろう。しかし、ここは見知らぬ土地。逃げ場がない。現代でさえ無くならないそれ。
さらに法が無い世界ではさらにどうしようも無い。何処かで止めないと、暴力はエスカレートするばかりだろう。このままじゃ彼女の命が危なくなるかもしれない。
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