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初めからあったモノ
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愛丘が申し訳なさそうに。しかし力強く口を開いた。
「それで皆に伝える事がある。僕の能力は《コープスメモリー》。遅くなった事をお詫びする」
「《コープスメモリー》……?」
「遺体の死因が解る力だよ……それで調べた結果、三人と近くにいた獣の死に方に違和感がある」
「ど、どういう事だ?」
「三人中二人の共通点は、鋭利な刃物の様な能力。少し違和感が無いか……?」
愛丘はスマホのテキストを見せて来た。それを誰かが読み上げた。
-----
死亡原因
鳳:兎の獣の腹部の刺突による出血死。
兎の獣:打撃による頭部外傷死。体中にかまいたちの様な切り傷が無数にあり。
五鬼継:頸動脈損傷による出血。恐らく鋭利な刃物による物。
狼の獣:刃物の様な物による出血死。
不死原:五鬼継と同じく出血死。
-----
「風我と五鬼継は分からないが……鳳の方は……兎の死因はかまいたちではない、のか。偽装に見えなくもない、か……?」
白竜がそう呟く。もちろんその過程が分からない以上確実な事は言えない。宝剣がある事に気が付く。
「待て……二人の死因は狼の爪じゃないのか……?」
愛丘が答える。
「確かに体に爪の傷はあったが、よく見るとそれ以外の鋭利なモノも含まれていた。主な出血は爪じゃない様にも見えた」
清時の声が響き渡った。
「……なっ! 何でそれを今まで黙ってたんだ!?」
「未だに確信が無いんだ。必死に獣と戦った結果、そうなった可能性もある……」
「それは、まあ……そうかもしれないけどよぉ」
「僕だって皆を疑う真似はしたくない……しかし、今の現状ではそうも言ってられなくなった……短期間で多くを失い過ぎた……」
それを聞いて誰もが言葉を失っている中、秋元がまたしても叫んだ。
「やっぱりそうだ! 自分が死ぬかもしれないってのに落ち着きすぎだろ!! 鉄も愛丘も佐久間も怪しいぞ!!」
「はっ、その通りだ秋元。少し賢くなったな……」
「え……」
鉄の予想外の一言に、そう言った秋元の方が動揺していた。それを気にせずに彼は話始める。
「裏切者……仮にそれを狼と呼ぼう」
「狼……」
「田中の職に偽りが無ければ、真のステータスを暴ける……という事は、だ。狼はステータスボードを偽装できる可能性がある。つまり……ここにいる全員が怪しいって事になる」
「は、はぁ……そんな事っ……!!!!」
誰もが同じく動揺した。秋元が叫ぶ。
「お、思い出したぞッ!? 確か、不死原たちの第一発見者は大神、天羽だったな!」
天羽が切れる。明らかに疑っている。というより犯人だと決めにかかっているからだ。
「……そ、それが何? 必死に探してて見つけたら何かおかしいのッ?」
「こんな広い森、しかも薄暗い時に良く見つけられたな!」
「だからッ、何でそうなるのッ。範囲は絞れてたしっ、複数のグループが探してたんだから、誰が見つけてもおかしくないよねぇ!!?」
佐久間が彼を睨みながら言う。
「その通りだ。根拠の無い事を言っても自分の首を絞めるだけだ」
「うるせぇな、天羽だけ特別に扱いやがって! 実はお前達はグルじゃないのか!?」
「そんな事は無いっ。俺は事実を言っているだけだろう!!」
「けっ、どうだかな……」
天羽も睨んでいた。秋元はさらに続ける。
「大神!! お前なんか名前が怪しいぞ! 童話での嘘つきは狼って昔から決まってんだよ!!」
「は、はぁ? 頭おかしんじゃないの!? そんなのただの言いがかりじゃない!」
「それで皆に伝える事がある。僕の能力は《コープスメモリー》。遅くなった事をお詫びする」
「《コープスメモリー》……?」
「遺体の死因が解る力だよ……それで調べた結果、三人と近くにいた獣の死に方に違和感がある」
「ど、どういう事だ?」
「三人中二人の共通点は、鋭利な刃物の様な能力。少し違和感が無いか……?」
愛丘はスマホのテキストを見せて来た。それを誰かが読み上げた。
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死亡原因
鳳:兎の獣の腹部の刺突による出血死。
兎の獣:打撃による頭部外傷死。体中にかまいたちの様な切り傷が無数にあり。
五鬼継:頸動脈損傷による出血。恐らく鋭利な刃物による物。
狼の獣:刃物の様な物による出血死。
不死原:五鬼継と同じく出血死。
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「風我と五鬼継は分からないが……鳳の方は……兎の死因はかまいたちではない、のか。偽装に見えなくもない、か……?」
白竜がそう呟く。もちろんその過程が分からない以上確実な事は言えない。宝剣がある事に気が付く。
「待て……二人の死因は狼の爪じゃないのか……?」
愛丘が答える。
「確かに体に爪の傷はあったが、よく見るとそれ以外の鋭利なモノも含まれていた。主な出血は爪じゃない様にも見えた」
清時の声が響き渡った。
「……なっ! 何でそれを今まで黙ってたんだ!?」
「未だに確信が無いんだ。必死に獣と戦った結果、そうなった可能性もある……」
「それは、まあ……そうかもしれないけどよぉ」
「僕だって皆を疑う真似はしたくない……しかし、今の現状ではそうも言ってられなくなった……短期間で多くを失い過ぎた……」
それを聞いて誰もが言葉を失っている中、秋元がまたしても叫んだ。
「やっぱりそうだ! 自分が死ぬかもしれないってのに落ち着きすぎだろ!! 鉄も愛丘も佐久間も怪しいぞ!!」
「はっ、その通りだ秋元。少し賢くなったな……」
「え……」
鉄の予想外の一言に、そう言った秋元の方が動揺していた。それを気にせずに彼は話始める。
「裏切者……仮にそれを狼と呼ぼう」
「狼……」
「田中の職に偽りが無ければ、真のステータスを暴ける……という事は、だ。狼はステータスボードを偽装できる可能性がある。つまり……ここにいる全員が怪しいって事になる」
「は、はぁ……そんな事っ……!!!!」
誰もが同じく動揺した。秋元が叫ぶ。
「お、思い出したぞッ!? 確か、不死原たちの第一発見者は大神、天羽だったな!」
天羽が切れる。明らかに疑っている。というより犯人だと決めにかかっているからだ。
「……そ、それが何? 必死に探してて見つけたら何かおかしいのッ?」
「こんな広い森、しかも薄暗い時に良く見つけられたな!」
「だからッ、何でそうなるのッ。範囲は絞れてたしっ、複数のグループが探してたんだから、誰が見つけてもおかしくないよねぇ!!?」
佐久間が彼を睨みながら言う。
「その通りだ。根拠の無い事を言っても自分の首を絞めるだけだ」
「うるせぇな、天羽だけ特別に扱いやがって! 実はお前達はグルじゃないのか!?」
「そんな事は無いっ。俺は事実を言っているだけだろう!!」
「けっ、どうだかな……」
天羽も睨んでいた。秋元はさらに続ける。
「大神!! お前なんか名前が怪しいぞ! 童話での嘘つきは狼って昔から決まってんだよ!!」
「は、はぁ? 頭おかしんじゃないの!? そんなのただの言いがかりじゃない!」
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