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初めからあったモノ

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【投票】

 初回の実験も兼ねて、まずはくじ引き(ランダム式)か投票(指名式)かを、皆の投票によって決める。投票のやり方は、木箱に長方形で作った木の札を入れる。いずれ名前入りのしっかりとしたものを作るが、今は雑な作りであった。

 投票箱の周辺には愛丘、田中、先生、鉄、要。待機側には俺と佐久間、後藤がしっかりと見張る。投票者以外には見えない事を確認する。誰からの指摘も入らなかったので大丈夫のはずだ。

 幻影の他にも物理的な遮蔽物も使っているので、俺にも見えない。なので本当に、入れた本人にしか見えない。

 念のため俺は待機側の遮蔽物にも使われている。予想になるが、俺を間に嚙ませることで能力が消滅する。内緒にしている能力も弾ける可能性があるからだ。

 さらにもう一度、最初に全員の箱を置くか、主要人物の箱を置くかで投票してみた。すると、今回話題に上がった主要人物。鉄、秋元、佐久間、愛丘、天羽、大神に決定した。

 その六人のいずれかに、それぞれが投票していく。終わるとカバーを外し、皆に公開しながら票の名前を数える。

 投票の結果、秋元に鑑定を使う事に決定した。票が入ってなかった天羽と大神は疑われて無い事を知り、ホッと胸をなでおろす。

 どうしても決めきれない人も何人かいたので上限34票は箱に入って無かったが、半数以上で決議というルールを作っていたので彼に決まったのである。

 彼は抵抗していたが、皆から抑えられると観念し、大人しくそれを受けた。田中が彼の目の前に立つ。

「それじゃ……鑑定を始めるよ……」

 皆が緊張しながら見守ると、田中は彼をジッと見つめる。すると一瞬驚いた表情をした。さらにすぐに表情を引きつらせた。それはまるで生理的に受け付けないモノを見た風にも見えた。

 そして、田中は涙目になりながら走り出してこの場から去って行った。皆は追わなかった。一か月間は伝える事が出来ない。

 それを見越して、予め話し合い。落ち着くまで一人になれる空間を急遽用意した。秋元。もとい鑑定した相手とは接触しない様に配慮している。一時的に退避する場所と言った所だ。


 皆はその反応を見てざわざわとして、不安な様子をみせる。佐久間の言葉で締める。

「皆、これからは鑑定の結果が一か月後に出る! 誰の時にでもそうだが。その間、変な噂を流したり、無用に冷たく当たるのは無しにしよう! 一度解散だ」


 彼が話す間、秋元は恨みの表情を浮かべていた。


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