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楽園

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「きー! 覗き放題とか、城詰許さねぇ!」

「だからしてないだろ……」

 そこから不死原たちは諦めて、女子の声に耳を傾けていた。極限まで仕切りに近づいている。

「蛍ちゃんも、和ちゃんも、先生と同じくらい大きー。いいなー」

「彩夏ちゃんとみさきちゃんも負けてないよ~。羨ましいぃー」

「ほんとだぁ。あや大きいぃ! 羨ましいな」

「こ、声が大きいって!」

 バシャバシャと音が聞こえる。楽しそうな声と羞恥心の声が複数混ざりあっていた。組み合って暴れているのだろうか?

「根本さんもすごーい! さてはっ、隠してたなぁー!」

「ちょっと、近寄って来んっ。あっ、触んなって……」

「ねぇねぇ、みんなで触りっこしようよ~」

「さんせー!」

「ムフフ、みさきちゃんのお尻、プリっとしてて叩いたらいい音しそーだねー」

「ほんとだ、柔らかそ~だね~」

「な、何その手付き……ち、近づかないでくれる……?」

「ん~。だめー!」

 ずっと鳴り止まないバシャバシャという水の音、時折聞こえる喘ぐ様な声を聞くために、不死原たち壁に耳を限界まで近づけていた。

 佐久間が頃合いを見て言う。

「さてと、そろそろ上がるか」

「だな」

(ん? 待てよ。確か白竜の能力って……)

「……なぁ、白竜」

「何だ?」

「風出せないの? 暖かいやつ」

「……出来るだろうな。ぶっつけ本番にはなるから、やりながら調整が必要だがな」

 彼は動じずに自信に満ちた口調でそう言った。

 白竜が少し前に詳能力の細をコソっと教えてくれた。彼の能力は《ワイズマン》。

 魔法の才能が開花する能力。しかし、才能があるとは言え、全く何もせずに魔法は使えないので、毎日特訓を欠かさない。

 現在彼のMPは130と徐々に増えている様だ。さらに他の人よりも上昇が早いと感じていた。白竜自体も上昇の法則は不明と言っていた。

「お、やっぱスゲーな!」

 愛丘もそれには驚いていた。

「はー、凄いな。よく気が付いたね、城詰君」

「だが城詰……お前を乾かすのは無理だぞ」

「あ……」

(やっぱりまだ慣れないな……)

 不死原たちが大笑いをしていた。俺は仕方なく焚火をして乾かした。

 先に温風で女子を素早く乾かした後、円城寺に頼んで炎を出してもらった。彼女もMPは増えている。103になっているそうだ。

 何だかんだでさっぱりした俺たちが戻った頃、丁度日が暮れてたくらいの時間帯だった。焚火の上で予め炙っていた肉を少々と、ベリーを少量食べて適当にくつろいでいた。

 川の傍で星を見ているとのどかが隣に座って来た。

「綺麗だね……」

「うん。それに静かだ……」

「最初の頃はこんな余裕さえ無かったのに……嘘みたい。あきのおかげだよ」

「皆のおかげだ。俺だけじゃ今頃死んでた……」

「特にかなえちゃん、凄かったもんね……」

「……そうだな。円城寺は皆にとって英雄だよ……でも、俺が冷静だったのは要やみーちゃん……何よりも和が居てくれたからだ」

「嬉しい……ねぇ、あき」

「ん?」

「ずっと一緒に居ようね」

「……ああ、ずっと一緒だ」

 ここに来てから既に半月が経った。拠点の発展に俺たちは確かな手ごたえを感じていた。きっとこれからもさらに先に進んで行くだろう。

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