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彼女は服を着るのを待っている途中、ある事に気が付いて顔をしかめた。ドアの前。自分の隠れた位置とは逆側。入口の横に佐野という男がいたからだ。彼は股を大きく開いたまま腰を下ろし、中腰で座って居た。ヤンキー座りだ。
「で、佐野君はそこで何してるの……?」
「鉄さんの護衛っす!」
この状況にそぐわない、頭の悪そうな回答に後藤は頭を抱えた。
「着たぞ」
中から聞こえたその声を合図に後藤は室内へと入った。佐野も中に入って来た。出口を塞ぐように彼女の背後へと着く。
「で、何の用だ?」
「何の用だっ……じゃないわよ! 仕事しなさいよ仕事をぉ!」
「今日は体調が悪くてな。休む事にした」
「はぁ? そんな話聞いてないわよ!」
「なら佐野の伝達漏れだな」
「うっ、申し訳ないっす!」
「……体調不良ねぇ? ん? ……ていうか体調悪い奴が何で裸だったのよ! 絶対に嘘でしょ!」
それを聞いて鉄は立ち上がる。
「それなら仕方ない。いっちょ働くとするか」
素直なその発言に後藤は内心ホッとする。そこで佐野が心配そうに叫んだ。
「でも、鉄さん! 昨日の夜、拠点の周辺を朝まで見回って寝てないんじゃ!!?」
「言うなって言っただろうが? 殺すぞ」
「す、すいませんっ、つい!」
「え……あんたがそんな事を……?」
「ああ? 何でもねぇよ……こいつの妄言だ……」
心なしか鉄の足元がふらついていた。後藤はさっきまでの怒った表情から一変、柔らかい表情に変わっていく。
「ふぅー……もう分かったわよ。今日はゆっくりと休んで体調を戻しなさい……皆には私が言っておくから」
鉄が後藤をジッと見つめた。
「……お前、良い女だな。クラスの連中が怖がる理由が分からん。そうだ、付き合うか?」
「は、はぁ! ばばば馬鹿じゃないの!? そもそもあんたは好みじゃないし!」
後藤は顔を真っ赤にしてそれを拒否した。
「えー、鉄さんと委員長。お似合いって感じがするっすけどね~」
「何言ってんのよ、佐野! 適当言うな! そそそそれにっ、私の好みはかっこよくて頭が良くて運動神経が良い人よ!」
「俺の特徴にそっくりじゃねぇーか」
「っちがーう! 明るくて優しくって真面目じゃないと駄目なんだから! 真逆よ真逆! 誰があんたなんかと!」
「そりゃ残念だ」
「あ、その特徴って全部佐久間ですかね?」
「ちちちち違う! 今のは理想っ。架空の人物よ! 勘違いしないでよね!」
「そうかよ」
「じゃ、じゃあ! 私はもう行くから! 次変なこと言ったら許さないからっ!」
裏返りそうな声を出しながら彼女は慌てて去っていた。彼女の足音が遠ざかると佐野が嫌らしい笑みを浮かべた。
「で、佐野君はそこで何してるの……?」
「鉄さんの護衛っす!」
この状況にそぐわない、頭の悪そうな回答に後藤は頭を抱えた。
「着たぞ」
中から聞こえたその声を合図に後藤は室内へと入った。佐野も中に入って来た。出口を塞ぐように彼女の背後へと着く。
「で、何の用だ?」
「何の用だっ……じゃないわよ! 仕事しなさいよ仕事をぉ!」
「今日は体調が悪くてな。休む事にした」
「はぁ? そんな話聞いてないわよ!」
「なら佐野の伝達漏れだな」
「うっ、申し訳ないっす!」
「……体調不良ねぇ? ん? ……ていうか体調悪い奴が何で裸だったのよ! 絶対に嘘でしょ!」
それを聞いて鉄は立ち上がる。
「それなら仕方ない。いっちょ働くとするか」
素直なその発言に後藤は内心ホッとする。そこで佐野が心配そうに叫んだ。
「でも、鉄さん! 昨日の夜、拠点の周辺を朝まで見回って寝てないんじゃ!!?」
「言うなって言っただろうが? 殺すぞ」
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「え……あんたがそんな事を……?」
「ああ? 何でもねぇよ……こいつの妄言だ……」
心なしか鉄の足元がふらついていた。後藤はさっきまでの怒った表情から一変、柔らかい表情に変わっていく。
「ふぅー……もう分かったわよ。今日はゆっくりと休んで体調を戻しなさい……皆には私が言っておくから」
鉄が後藤をジッと見つめた。
「……お前、良い女だな。クラスの連中が怖がる理由が分からん。そうだ、付き合うか?」
「は、はぁ! ばばば馬鹿じゃないの!? そもそもあんたは好みじゃないし!」
後藤は顔を真っ赤にしてそれを拒否した。
「えー、鉄さんと委員長。お似合いって感じがするっすけどね~」
「何言ってんのよ、佐野! 適当言うな! そそそそれにっ、私の好みはかっこよくて頭が良くて運動神経が良い人よ!」
「俺の特徴にそっくりじゃねぇーか」
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「そりゃ残念だ」
「あ、その特徴って全部佐久間ですかね?」
「ちちちち違う! 今のは理想っ。架空の人物よ! 勘違いしないでよね!」
「そうかよ」
「じゃ、じゃあ! 私はもう行くから! 次変なこと言ったら許さないからっ!」
裏返りそうな声を出しながら彼女は慌てて去っていた。彼女の足音が遠ざかると佐野が嫌らしい笑みを浮かべた。
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