異世界オオカミさん~クラスメイトと地球へ帰ろう~

刀根光太郎

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【11日目の朝】

 扉の無い出入口から光が差し込む。顔にムニュっとした何かが当たった事で目が覚めた。和に抱き枕にされていた。このまま寝たふりも悪く無い。

(いやいやいや、駄目だ。起きる前に離れないとっ)

 幸い和は昔から一回寝たらそうそう起きない。和が起きないようにゆっくりと手をほどく。そして、ゆっくりと離れて静かに起き上る。

(ふぅー……脱出成功)

「和のマシュマロは気持ち良かった?」

「っ……な、何の事かな……」

 みーちゃんが背後からその様子をジッと見ていた。その声で要が起きる。

「でも安心して! 今日からこの配置で寝るから」

 朝から元気なみーちゃん。その声に和も起きた。

「ん~。みんなおはよぅ~」

 眠そうに起き上がる。何時ものようにベリーを食べたら活動の時間だ。佐久間たちに挨拶をして、昨日のお礼も言った。

 昨日俺と濃厚接触した者は皆元気だったが、念のため和の《ヒーリング》を五分ほど受けた後、暖かいお茶が出された。健康な者達は羨ましそうに見ていた。今は仕方ない。もっと器の数を増やせば皆にも行き渡る。


 珍しく宝剣が絡んで来た。今は狩猟組のリーダーになっている。俺の肩を嬉しそうにバンバンと叩く。

「元気になって何よりだっ。さあ、早く粘土を発掘する作業に戻るんだ。煮込み料理、期待してるぞ」

「そっちも何か使えそうなの見つけたら持って帰れよ」

「分かってるって!」

 その流れに乗るかのように愛丘が近づいて来た。

「まだまだ試行錯誤段階。結構な量の粘土が要るからね」

「当分は粘土を優先した方が良いか?」

「ん~。網も作りたい。そっち系統の植物も頼むよ」

「分かった」

 優先とは言っているが、ベリーやその他の食料になりそうな物の次に優先と言う意味だ。そんな会話をしていると宝剣が尋ねて来た。

「網? ……何に使うんだ?」

「少し上流に行った所に魚を見つけたから、罠でも仕掛けようかとね」

「魚だと!」

 彼は驚きの声を上げた。普通なら獣も罠を使って獲るのだろうが。個々が持つ不思議な能力と身体能力が向上している恩恵によるものだ。

 彼の声を聞きつけた白竜も参加する。

「俺の雷を使うのはどうだ? 電気ショックで動けなくして捕獲しているのを見た事がある」

「それも考えたんだけど……大量に捕獲した時の生態系への影響が分からないから、少しづつ捕獲して様子見をしようと。その他の生物も巻き込まれるのも考慮すると、昔ながらの方法が一番良いと思ってね。先は長いからね」

「そういう事なら仕方ない……」


 俺たちは採取へと向かった。


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