異世界オオカミさん~クラスメイトと地球へ帰ろう~

刀根光太郎

文字の大きさ
上 下
36 / 70
新たなる一歩

36

しおりを挟む
【新天地に興奮する者たち】

 急いで薪を集めて野営の準備をする。要領が分かってる分、初日に比べて圧倒的に早かった。場所は川から少し離れた平地だ。先日の雨で川が増水した形跡があったのでそれを参考にする。その内、簡易な堤防も作る予定だ。

 直ぐ傍には俺たちがお世話になってる森もある。遠くにも森や山は見えるが、そこは後回しだ。獣の調理はいつの間にか巫と円城寺が担当になっていた。元々料理は好きなようだ。この分だとナイフは鉄の手に戻る事はないだろう。

 俺の方は佐久間に呼ばれた。要を誘ったが、みーちゃんとの会話に夢中でやんわりと断られた。愛丘と先生は何時も通り。さらに今回は宝剣、白竜。そして、委員長も居た。

 そのメンツを見て一言。

「怖いんだけど」

「城詰……何で私を見た?」

(ほら怖い……何時もの委員長だ)

「違うってッ。ほらあれだよ。何か深刻な会議っぽいなって!」


「まあ、間違っては無いよ。これからどう生活するか、だ」

「鉄は?」

「一応呼んだけど……」

「来てないな」

 ここからは愛丘が主に話を進めるようだ。大勢の前での指示は佐久間にやらせるのが愛丘のやり方だ。

「あー、ちょっと待っててもらってもいいか?」

「ん? どうした?」

「参加させたい人がいるんだけど、色々厄介で」

「余り時間がかからないなら」

 俺はその場を離れると、鉄と話をした。今の生活から発展するなら良い、と了承を貰えた。その後に鎧塚よろいづかの所に向かうと、事情を説明して彼女の意志を聞く。そして、ついに彼女と一緒に戻る。

 その途中、悪寒がしたので振り向くと不死原が立っていた。

「うわ!! ……何だ不死原か……脅かすなよ」

「……俺もその会議に出ても?」

「え?」

「なぁ、勿論良いよなぁ?」

「あ、ああ……」

 圧が強かったので断れなかった。戻ると愛丘が尋ねて来る。

「不死原君……に、鎧塚君? 何でまたこの二人を?」

「いや、呼んだのは鎧塚だ」

「それじゃあ不死原君は?」


「何だ二人とも? 俺がいちゃー悪いか?」

「いやぁ……何て言うか」

「まあ、邪魔しないなら」

「しねぇよ!」

(はっきり言うなよな、愛丘……)

 それを見ていた委員長が嫌らしい笑みを浮かべていた。どうやら頭文字に気が付いたらしい。

「ええ~、もしかしてあんた~……」

「うるせぇ! 俺は良いから早く始めろって!」


「……それじゃあ先に鎧塚を呼んだ理由を聞いても?」

 そこで愛丘が彼女の方を見る。

「あ、私の能力は《通信》。地球のネット情報を検索出来るの……」

「素晴らしい……ッ」

 愛丘が即効で握手をした。彼女は動揺しながら補足する。

「余り期待されると困るかも。使うと頭に映像が流れるんだけど、その時間が短いの。その文字や絵を私が記憶する。だから、伝える方法が模写に近い感じだよ。それにMPを使うからずっとは無理……」

「十分だよ。僕も協力する」

「俺も居るぞっ。鎧塚!」

「不死原君は主に戦闘を頼む」

 愛丘が淡々と言う。

「……冷たい奴ー」

「適材適所だよ」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

伝説の霊獣達が住まう【生存率0%】の無人島に捨てられた少年はサバイバルを経ていかにして最強に至ったか

藤原みけ@雑魚将軍2巻発売中
ファンタジー
小さな村で平凡な日々を過ごしていた少年リオル。11歳の誕生日を迎え、両親に祝われながら幸せに眠りに着いた翌日、目を覚ますと全く知らないジャングルに居た。 そこは人類が滅ぼされ、伝説の霊獣達の住まう地獄のような無人島だった。 次々の襲い来る霊獣達にリオルは絶望しどん底に突き落とされるが、生き残るため戦うことを決意する。だが、現実は最弱のネズミの霊獣にすら敗北して……。 サバイバル生活の中、霊獣によって殺されかけたリオルは理解する。 弱ければ、何も得ることはできないと。 生きるためリオルはやがて力を求め始める。 堅実に努力を重ね少しずつ成長していくなか、やがて仲間(もふもふ?)に出会っていく。 地獄のような島でただの少年はいかにして最強へと至ったのか。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

処理中です...