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新たなる一歩

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 その他にも幾つか聞いた。一番気になった範囲。どのくらいの範囲なのかは感覚なのでふんわりとしていて、まだ正確には分からないらしい。今までの様子から俺は根元に尋ねた。

「何時もは一人でいるのが好きなのか? こんなに話してるの見た事ないし」

「分かってるじゃん。だから普段は一人にしてくれると助かるよ」

「あー、何というか……まあ、頑張れよ」

「はぁ? 何? ……なんかムカつく言い方」

 俺だけじゃなく佐久間たちも気が付いたはずだ。これは凄い能力だと。より安全に遠くまで進める。

 それだけじゃない。拠点にいるだけでも助かる。恐らく自然に人が集まって来るんじゃないだろうか。彼女の願いが叶うと良いな。

 数時間歩いた頃、田村が飛び跳ねた。

「おい! この音ってもしかして!」

 彼が走り出す。

「おい! 田村待てって!」

 佐久間が危険だと呼び止める。根本は何も感知してないらしいので大丈夫だとは思うが駆け足になって追う。

 そして、彼に追いつくと林を抜けた。その先には草原が広がっていた。無意識に目を見開いてた。脳に柔らかい何か、幸福なモノが広がって行くのを感じる。

 何よりも嬉しかったのは少し広めの川が目の前にあったのだ。夢じゃない。よな? 田村が喜びながら水に手を入れる。俺は一応止めた。

「おい、分かってると思うが迂闊に飲むなよ……まだ飲めるか分からん」

 田村が固まる。そして、堂々とした様子で言った。

「わ、分かってるって……俺がそんなヘマするかよ」

 佐久間がこっちを向く。

「それでどうするんだ城詰?」

「拠点はこの周辺に移すのが良いと思う」

「汚水だったら?」

「飲める方法を考える。それに魚はいるかもだし。水があるだけで出来る事の幅が広がる」

「ふむ……」

(鎧塚の通信で細かくは調べたりも出来るしな)

「例えば、蒸発を利用してゴミを取り除いて浄水を作ったり、体や服を洗ったりとかさ。冷たいかもだけど」

 それにみーちゃんたちが食いついて来た。

「良ーしっ、すぐに移動しよう!」

 委員長も勢いよく頷く。どうやら賛成のようだ。

「ねぇ、良いでしょ佐久間君?」

「うん、決まりだな。この辺りを次の拠点にしよう」

 ついに水を見つけたことにより、皆歓喜の声を上げた。


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