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知らない場所での生活

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【異世界の何処か】

 俺たちは気が付いたら森の中にいた。この状況を理解した一人が叫んだ。

「くそぉっ! 何が幸運だ! 馬鹿にしやがって!」

 俺がそれを遠くで見ていると、要たちがやってきて合流した。

「はぁー、とんでもない事に巻き込まれちまったな」

「だな……そうだ、袋の中身は?」

「そうだった。ええっと……」

 先ほど貰った袋の中を見ると500mlのペットボトルに水。手のひらサイズのパン。そして、体操服が入っていた。四人とも中身は同じである。それを確認した要が苦い顔をしていた。

「これは……」

「何が一日分だ。明らかに足りない……」

「このままじゃあ取り合いになる」

「いや、それすらも起こらないと思う。いつの間にか個人で消費している量。普段の感覚で消費してしまうのは不味い」

 和と五鬼継も不安そうにこちらを見ていた。他に持っている物は各々がポケットに入れていたものだろう。スマホはあるが、圏外。メモと目覚まし、写真を撮るくらいにしか使えない。

彰人あきと……」

「……大丈夫……厳しい状況だけど、最悪の状況ではないって。入れ物があるのは救いだ」

「ふっ。やっぱり頼りになるな、彰人は」

 かなめが笑うと、俺達もつられてクスクスと笑い出す。その時、古川先生と佐久間さくま愛丘まなおかが皆を集めた。

 佐久間はクラスで人気者の男子。明るくて話しやすい上に文武両道で、イケメンと来た。非の打ち所がない。

 愛丘まなおかは少し大人しい文系男子だ。頭が良く、テストでは常に上位をキープしている秀才。


 佐久間が代表して話し始める。

「皆、聞いてくれ。今の状況はまるで理解できない。狐につままれた気分だろう……だけど無理やりにでも受け入れないと駄目らしい。どうやら俺たちは異世界に来てしまったようだ。帰る為には三年間ここで暮らさなければならない」


(良かった。あの二人ならクラスを纏めるのに適している)


 女子の内藤がうろたえる。

「な、なんで三年間って分るのっ」

「ステータスボードで民の文字をタップすると詳細が出る。能力も同じだ。長い期間生き残るにはお互いの協力が不可欠だ。皆で能力を見せ合って、何が出来るか考えよう」

「凄い……流石佐久間君っ」

(彼の言う様に協力する事は確かに大事だ。だけど、何処か恐怖を感じる。何と言うか……この能力の存在……あの女神モドキは暇つぶしと言った……これは俺の勘違いであって欲しい)

 そこで男子の一条が大きく動揺した。彼はそれを拒否するように叫んだ。

「はぁ!? 何でそんな事しないと行けないんだよ! そんなの意味ねーよ!」

「しかし、俺達は」

「う、うるせぇ! 嫌だって言ったら嫌なんだよ! あのイカレタ女も言わない方が良いって言ってただろ!」

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