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心を無にするしかないのだ。
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ふぅ。だがやらないと終わらない。男にはやらねばならぬ時があるのだ。心底嫌。
このぬめぬめした感触で人を想像するのはちょっと無理な気がする。
よし、鯉型オナホ。オナホ。
そっと口に突っ込むとまた吸い込まれた。バキューム機能ありの鯉型オナホ。ローションたっぷり水中プレイ。
鯉の上あごにこすりつけるように出し入れする。抜く時に吸い込まれる圧の抵抗があって少しエロい、気が、すると思え、俺。畜生ッ!
ん、これはオナホ。ええとオナホは使ったことはないけど、誰かを想像して挿れるものなんだよな。多分。ん、こないだ見たエロ動画の名も知らぬお姉さんのバキュームフェ○。ん。あのお姉さんに口でしてもらっていると想像しながら鯉型オナホでオナってることを想像する。何がなんだかわからなくなってきたが考えたら負けだ。お姉さんが脳内でささやく。何かをいのる。えいしょう、ねんじろ。おおっと。もう鯉と目が合ってもそういうよくわからないオプショナル的飾りだと思うんだ。ローションでぬるぬるの鯉型オナホ、お姉さんのフェ○。ふ、ん、あ、ん、いけ、そう、くっ。あっ、んんっ、つっ。
なんとか1発奥に発射した後、腰の動きがだんだん緩慢になり、ちん○がしぼむ感触と惰性的に最後まで鯉型オナホに吸われる感触。冷静に戻っていくとぴちぴちいう鯉のしっぽ音が戻ってきた。こころなしか鯉が満足げな顔をしている気がする。解せない。
「おつかれさん」
「わぁ! びっくりした」
「集中力高いねぇ、ほら、タオルだよ」
佐々木さんからバスタオルを受け取って桶から上がり、体を拭いて着てきたジーンズとシャツに着替える。なにかアレだ、賢者タイム的にもうどうでもよくなった。寝転がりたい。おうちかえる。
佐々木さんが温かい生姜湯を持ってきた。
「タカシ君大丈夫かねぇ、もう30分くらい経ってるけど」
「一応本人はなんとかなるって言ってたけど」
そういえばと思って目を向けるとさっきまでと同じ一定のリズムで抽挿をくり返している。全体的に様子が全然変わらなくて少し怖いかもしれない。唐突にタカの動きが止まる。失敗したか?
「佐々木さん、出たよ~」
「タカシ君は随分淡々としてるねえ」
「お前、イくとき興奮したりしねぇの?」
「してるよ~?」
全然そんな感じじゃなかったけど。タカが着替えるのを待って佐々木さんが村長を呼びに行く。村長が嫌な目つきで俺らをぐへへと見る。鯉の喉奥に白いのが溜まっているかを確認するらしい。なにか魂が汚される気分だ。俺らもう帰っていいかな。出したからさ。
「ちょっとまってね。あ、もう何でも食べていいから、向こうに焼肉弁当用意しといた。温めるから待って。おなかすいたでしょ」
そう言われると急に腹が減った。脱力感があるし、朝飯は粥と吸い物くらいしか食ってない。
温められた弁当を食べていると、はいこれ、といって刺し身が1切れ出された。この村で馴染みの鯉の洗い。え、ちょっとまって。これってひょっとして。
「身の部分だから大丈夫だよ」
「いや、そういう問題じゃなくてさ」
「神様に奉納したお下がりだよ。これを食べると運が良くなるんだよ。縁起物だから食べて」
「いや、流石に」
「それとも中身が入ってる鯉こくのほう食べたい? 全部混ざってるよ」
「こちらを頂きます」
「ちなみに鯉こくのほうは村長が村の豊穣を願って食べるんだよ」
ぐぅ変態。聞きたくなかったその情報。
目の前の箸でつままれた切れ端を見る。あのつぶらな目をした鯉の変わり果てた姿と考えるとなにか妙な気分になるけど、醤油つけて目を瞑ってパパっと飲み込んだ。でかい鯉は大味であまりうまくなかった。
「お疲れさん。これで全部終わりだから。君らもこの村に帰ってこないんだろ? 若い人がいなくなるのはやっぱりちょっと寂しいんだよね。だから戻ってきてほしいんだけどね」
「正直トラウマ。少なくとも俺が知ってる子が全員成人するまでは帰りたくない。恥ずかしすぎる。絶対中野さんみたいな目で見られる自信がある」
「まぁそうだよねえ。次の村長とは今の村長が死んだらこの神事はやめるっていう話は通してるからさ、まあそうしたら戻ってきてくれると嬉しいよ」
「考えとく」
多分戻らないけど。
◇◇◇
卒業式の日、俺は鯉につっこんで思い浮かべたことが忘れられずいたたまれなさすぎて結局リンカに告白しなかった。タカがどうしたかは知らん。
引っ越しの荷物は既に全部梱包してトラックに詰めてある。もう戻ってこなくてもいいように大事なものは全部詰めたから結構な量になった。
村長がお祝いに紅白饅頭を持ってきて俺をニヤニヤ眺めた。紅白饅頭になんとなくあの鯉の姿が重なる。死ねよエロババア。
親父とおかんが盆暮れには帰れといってるけど、なんとなくこの村に戻ってこないような気はする、村長が死ぬまでは少なくとも。
結局のところ、俺は大学で彼女もできたしそれなりにそれなりに幸せに暮らしてる。ちん○が欠けなくてよかった。
でもあの鯉をオナホだと思ってガン見しながらやったから、行為の最中にたまに脳裏にあの鯉の顔が思い浮かんで混乱する。
萎えることはないところがまた呪われた感じ。
中野さんの未来が近づいていないと信じたい。
了
このぬめぬめした感触で人を想像するのはちょっと無理な気がする。
よし、鯉型オナホ。オナホ。
そっと口に突っ込むとまた吸い込まれた。バキューム機能ありの鯉型オナホ。ローションたっぷり水中プレイ。
鯉の上あごにこすりつけるように出し入れする。抜く時に吸い込まれる圧の抵抗があって少しエロい、気が、すると思え、俺。畜生ッ!
ん、これはオナホ。ええとオナホは使ったことはないけど、誰かを想像して挿れるものなんだよな。多分。ん、こないだ見たエロ動画の名も知らぬお姉さんのバキュームフェ○。ん。あのお姉さんに口でしてもらっていると想像しながら鯉型オナホでオナってることを想像する。何がなんだかわからなくなってきたが考えたら負けだ。お姉さんが脳内でささやく。何かをいのる。えいしょう、ねんじろ。おおっと。もう鯉と目が合ってもそういうよくわからないオプショナル的飾りだと思うんだ。ローションでぬるぬるの鯉型オナホ、お姉さんのフェ○。ふ、ん、あ、ん、いけ、そう、くっ。あっ、んんっ、つっ。
なんとか1発奥に発射した後、腰の動きがだんだん緩慢になり、ちん○がしぼむ感触と惰性的に最後まで鯉型オナホに吸われる感触。冷静に戻っていくとぴちぴちいう鯉のしっぽ音が戻ってきた。こころなしか鯉が満足げな顔をしている気がする。解せない。
「おつかれさん」
「わぁ! びっくりした」
「集中力高いねぇ、ほら、タオルだよ」
佐々木さんからバスタオルを受け取って桶から上がり、体を拭いて着てきたジーンズとシャツに着替える。なにかアレだ、賢者タイム的にもうどうでもよくなった。寝転がりたい。おうちかえる。
佐々木さんが温かい生姜湯を持ってきた。
「タカシ君大丈夫かねぇ、もう30分くらい経ってるけど」
「一応本人はなんとかなるって言ってたけど」
そういえばと思って目を向けるとさっきまでと同じ一定のリズムで抽挿をくり返している。全体的に様子が全然変わらなくて少し怖いかもしれない。唐突にタカの動きが止まる。失敗したか?
「佐々木さん、出たよ~」
「タカシ君は随分淡々としてるねえ」
「お前、イくとき興奮したりしねぇの?」
「してるよ~?」
全然そんな感じじゃなかったけど。タカが着替えるのを待って佐々木さんが村長を呼びに行く。村長が嫌な目つきで俺らをぐへへと見る。鯉の喉奥に白いのが溜まっているかを確認するらしい。なにか魂が汚される気分だ。俺らもう帰っていいかな。出したからさ。
「ちょっとまってね。あ、もう何でも食べていいから、向こうに焼肉弁当用意しといた。温めるから待って。おなかすいたでしょ」
そう言われると急に腹が減った。脱力感があるし、朝飯は粥と吸い物くらいしか食ってない。
温められた弁当を食べていると、はいこれ、といって刺し身が1切れ出された。この村で馴染みの鯉の洗い。え、ちょっとまって。これってひょっとして。
「身の部分だから大丈夫だよ」
「いや、そういう問題じゃなくてさ」
「神様に奉納したお下がりだよ。これを食べると運が良くなるんだよ。縁起物だから食べて」
「いや、流石に」
「それとも中身が入ってる鯉こくのほう食べたい? 全部混ざってるよ」
「こちらを頂きます」
「ちなみに鯉こくのほうは村長が村の豊穣を願って食べるんだよ」
ぐぅ変態。聞きたくなかったその情報。
目の前の箸でつままれた切れ端を見る。あのつぶらな目をした鯉の変わり果てた姿と考えるとなにか妙な気分になるけど、醤油つけて目を瞑ってパパっと飲み込んだ。でかい鯉は大味であまりうまくなかった。
「お疲れさん。これで全部終わりだから。君らもこの村に帰ってこないんだろ? 若い人がいなくなるのはやっぱりちょっと寂しいんだよね。だから戻ってきてほしいんだけどね」
「正直トラウマ。少なくとも俺が知ってる子が全員成人するまでは帰りたくない。恥ずかしすぎる。絶対中野さんみたいな目で見られる自信がある」
「まぁそうだよねえ。次の村長とは今の村長が死んだらこの神事はやめるっていう話は通してるからさ、まあそうしたら戻ってきてくれると嬉しいよ」
「考えとく」
多分戻らないけど。
◇◇◇
卒業式の日、俺は鯉につっこんで思い浮かべたことが忘れられずいたたまれなさすぎて結局リンカに告白しなかった。タカがどうしたかは知らん。
引っ越しの荷物は既に全部梱包してトラックに詰めてある。もう戻ってこなくてもいいように大事なものは全部詰めたから結構な量になった。
村長がお祝いに紅白饅頭を持ってきて俺をニヤニヤ眺めた。紅白饅頭になんとなくあの鯉の姿が重なる。死ねよエロババア。
親父とおかんが盆暮れには帰れといってるけど、なんとなくこの村に戻ってこないような気はする、村長が死ぬまでは少なくとも。
結局のところ、俺は大学で彼女もできたしそれなりにそれなりに幸せに暮らしてる。ちん○が欠けなくてよかった。
でもあの鯉をオナホだと思ってガン見しながらやったから、行為の最中にたまに脳裏にあの鯉の顔が思い浮かんで混乱する。
萎えることはないところがまた呪われた感じ。
中野さんの未来が近づいていないと信じたい。
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