11 / 27
1章-2 欠けて満ちてそれからカプト様の右腕
伝説の毒魚ドルダギオ
しおりを挟む
「おめェか。シルブゲリの腐毒を飲んだって奴は」
「腐毒……?」
おじさんはいきなり僕の顔をガシリと掴んで僕のまぶたをめくったり口の中を覗いたり、おなかを押したりしたらゲップがでた。
「ふむぅ。信じられねェが無事なようだ」
「料理長?
まじッスか?」
「しかも汁だけで甘みがわかったんだろう?」
こくこくと頷いた。
おいしかったから止められたら嫌だなと思って、お兄さんがいない隙にペロッと食べちゃった。その身はまるでフロマージュチーズみたいにとろけるようにしっとり濃厚に甘くて、今も口の中に余韻が残ってこっそりウットリしている。奥の方の汁は味が濃かったけど旨味の塊みたいというか、海の幸を胸いっぱいに吸い込んだような満足感。
思い出して殻をチラッと見たら、僕の視線を追いかけたお兄さんがすごい顔をした。
「うげぇまじか。あの汁を全部飲んだのか。意味わかんねェ」
「うむ。これであればドルダギオも食えるかもしれぬ。ちょっと待ってろ」
「料理長!」
「ドルダギオって何ですか」
お兄さんは両手で顔を覆って見てはいけないようなものを見るような目で僕を見る。
えぇ? なんで?
「あんな、ドルダギオてなぁこの辺の深い海の底に住んでいる毒魚の王様だ。どんな猛毒よりも強い毒を持ち、天国が見えるほど美味い、らしい」
「らしい?」
「真面目に味わった奴はみんな死ぬか、味覚障害になって味なんて覚えてねぇんだよ。ただ死ぬ間際とか気絶する間際に、『美味かった』っていう声と満足そうな微笑み残すんだ。それでついたあだ名がデス・スマイル」
「うわぁどんな味なんですか?」
「うちは毒料理専門店だ。俺も食ったこたぁねぇが、店の冷凍室には常に一食分は置いてある」
「なんで食べたこと無いんですか?」
「死ぬからだよ!!」
はぁ、本当に人の話を聞かぬな、と帽子から声がした。
そんなこといわれたってメニューにあるんでしょ?
「坊主、これだ」
料理長が緊張した面持ちでものすごく高級そうな皿を捧げ持ってきた。えーと、ひょっとしてすごく高いのかな。編集長は払ってくれるんだろうか。なんだか心配になってきた。
「あの、おまかせでお願いしてたけど、支払いは僕じゃないんです。すごく高かったりしますか?」
「お代はいらねぇ。仕入れはするが誰も食わねぇしな。もし味がわかれば教えて欲しい」
「もし? 料理長も食べたことないんスか?」
「だってお前、食ったら死ぬだろ」
「えぇ~」
これそんなにやばい魚なのかな。
見た感じは赤身魚の塩焼き。煎ったクラッシュナッツみたいな香ばしい香りはするけれど、特にソースは何もかかっていない。くんくん匂いを嗅いでみたけど、毒っぽい香り以外にそんなに変な香りもしないような。
意を決して一口大にナイフで切ってフォークを刺す。まわりの緊張が僕の指に伝わり、僕までわずかにプルルと揺れた。
大丈夫だと思うけど、ひょっとしたら死んじゃったりするのかな。僕はまだ10歳だけど……昔の思い出が走馬灯のように頭を駆け巡ったりはしなかったから大丈夫な気はする。どちらかというと天国が見えるほど美味い、が気になって仕方がない。では気を取り直して。
少しの不安と大きな期待と共に、満を辞してその一切れを口に含む。僕は思わずフォークを取り落として叫んだ。
「行った!」
おじさんの興奮する声の傍ら、口の中に広がる味に僕は酷い混乱に陥った。
「なんで!?」
「どうした坊主! 大丈夫か!」
「ダメだったらすぐに吐き出せ!」
「あ、大丈夫です」
「「はあ?」」
困惑するおじさんとお兄さん。寧ろ叩く背中が痛いです。ん……体はちょっと気持ち悪い、でも別に死ぬほどではない。
でもなんていうか……。
「あの、このお魚……」
「うむ」
「あんま味がしない」
「「え」」
身はちょっと硬めでパサパサして、赤身魚らしく少し血生臭い。でも別にそれほど気にならないというか、そんなのでもアクセントになるくらい身に味がなかった。毒的にピリリとして毒の味自体は美味しい部類だと思うんだけど、それも身の味に合ってはいない感じ。とても美味い焼豚に美味しいサンマを乗せてもあまり美味しくないとかそんな感じで、そんなわけで全体的にどこか薄ぼんやりした味になっている。
僕のこの高まりきった期待値はどうしたらいいんだろう。
その夜、僕は編集長にメールを送った。
『おい。画像を見たが、この赤身のは本当にドルダギオなのか?』
『そうですよ』
『動画は……ハァ、撮ってないよな』
『撮ってないですよ? 言われてないですよね』
『ノモゲテ・フィッシュ』の感想を送ったらすぐに電話がかかってきたんだ。
写真は撮れといわれたけど、動画は言われてないもん。
なんだか微妙な沈黙。
「あのな、お前な」
ドルダギオは食べてまともに生きている者がいないから味は幻。そもそも食べて生きていることが眉唾扱い。しかも天国に行けるほど美味いらしい。だから食べてるところの証拠もなしに美味しくないと書いてしまっても信憑性が著しく薄くて記事として使えないらしい。
「動画が無いとだめなら明日もう1度行ってみますけど。昼にも来いって言われてるし」
「いや無駄だ。『ノモゲテ・フィッシュ』に問い合わせたが、入荷自体が難しいらしい。ドルダギオは海深くにいる魚だし、強力な毒持ちだからあれはあれで扱いが難しい。なにせ釣り上げた時にその余波で周りの魚が全部死んじまう勢いだそうだからな。だから漁師に先払いで個別に依頼をした上で、釣り上がったら受け取る、という代物らしいからな」
あのお魚の周りにぷかりぷかりとたくさんのお魚が浮いている姿が思い浮かぶ。シュールだ。
「え、じゃあ周りの魚も食べ放題じゃないですか」
「毒で死んだ魚なんて食えるかよ!」
「えー。でもそんな珍しい魚だったんですね。それならもっと味わって食べたほうがよかったのかも。うーんでも美味しくないし」
「あの魚は美味いとかそんなのはどうでもいいんだよ!」
美味しいほうがいいじゃん。そういえば味については料理長さんとも話したけど、強烈な幻覚作用で美味いと思っちまったんじゃねぇかと言っていた。
でも結局、どう料理してもあんまり美味しくならなさそうなんだよねぇ、あのお魚。そういえば昔美味しくない毒キノコをどうしたらおいしくなるのかこっそり川原に調理道具を持ち込んで色々やってみたけど、どうやっても美味しくならなかった。美味しくない根本原因をなんとかしないと無駄なのだ。
そうするとドルダギオが美味しくない原因は味がないことだから、色々ハーブとか入れて食べると美味しくなるのかな?
「編集長! 僕美味しいドルダギオ料理を研究してみます!」
「本当に人の話を聞かないやつだな、だから入手できないんだよ」
「あそっか。そういえば原稿って送ったものでよかったんでしょうか」
「うん? ああ、思ったより悪くはなかったな。多少問題ない範囲で直すが、報酬は後ほど振り込んでおく」
「やった!」
初めてのお給料だ! 美味しいものを食べよう!
それからしばらく後のとある兎人族の村。
ワールド・トラベル出版から届け物があったと村長から連絡があった。
一瞬何のことかと思ったが、息子がそこに就職したところだと思い起こす。
ラヴィが旅立ってからだいたい1ヶ月くらいだ。あの性格じゃぁ早々のたれ死んだりはしないだろうとは思っていたが、いなくなると少し色々な意味で心配になる。そしてそれ以上に心が穏やかだった。
思い起こせばラヴィが家にいた頃は、いつ泡吹いてぶっ倒れるんじゃないかと気が気じゃなかった。家族で交代で見張ってはいたものの限界はある。家ですらちょっとした隙をついて壁から生えた歩きキノコを食べたりするんだ。
そんなもの美味いのかと試しに長男が歩きキノコを食べてみたが、一口で吐き出して糞不味ぃとえずいていた。外に出るともう制御不能で、一瞬でも目を離すと行方不明になり、探し回ると木のウロに入ってウロの内側から木を齧っていたりした。特に美味くはないらしい。
俺たち平凡な一家からなぜあんなわけのわからないのが生まれたのかよくわからないが、まあ性格自体は単純で明るくていい子なんだ。カッツェというところは大きな街と聞く。そんなところでうまくやっていけるのだろうか。
少し心配になりつつも荷物を開くとそこには一冊の雑誌が入っていて、しおりが挟まれている。『アンダーグラウンド・フードフェア Vol19』。トカゲが威嚇するような絵の表紙。
困惑しながらしおりのページを捲って驚いた。息子の写真が載っている。それとともに何枚かの毒毒しい色の料理の写真、写真の下には必要な耐性、それから危険度という文字の隣にいくつか★が並んでいるのが目に入ってウッとなる。
けれども載せられた写真のラヴィの顔がどことなく嬉しそうで、それから文章が弾むように楽しそうだな、元気でやっているのかなと思って末尾の『注意:くれぐれも安易に試さないでください(編集長)』という記載が目に入り、何だかよくわからない深い溜息が漏れた。
……魔女様は息子に適職を与えて下さったのだな。
なんとなくそう思って、息子が本の記事を書いたという誇らしさと、やっぱり変わらない不安を胸に雑誌を閉じた。
「腐毒……?」
おじさんはいきなり僕の顔をガシリと掴んで僕のまぶたをめくったり口の中を覗いたり、おなかを押したりしたらゲップがでた。
「ふむぅ。信じられねェが無事なようだ」
「料理長?
まじッスか?」
「しかも汁だけで甘みがわかったんだろう?」
こくこくと頷いた。
おいしかったから止められたら嫌だなと思って、お兄さんがいない隙にペロッと食べちゃった。その身はまるでフロマージュチーズみたいにとろけるようにしっとり濃厚に甘くて、今も口の中に余韻が残ってこっそりウットリしている。奥の方の汁は味が濃かったけど旨味の塊みたいというか、海の幸を胸いっぱいに吸い込んだような満足感。
思い出して殻をチラッと見たら、僕の視線を追いかけたお兄さんがすごい顔をした。
「うげぇまじか。あの汁を全部飲んだのか。意味わかんねェ」
「うむ。これであればドルダギオも食えるかもしれぬ。ちょっと待ってろ」
「料理長!」
「ドルダギオって何ですか」
お兄さんは両手で顔を覆って見てはいけないようなものを見るような目で僕を見る。
えぇ? なんで?
「あんな、ドルダギオてなぁこの辺の深い海の底に住んでいる毒魚の王様だ。どんな猛毒よりも強い毒を持ち、天国が見えるほど美味い、らしい」
「らしい?」
「真面目に味わった奴はみんな死ぬか、味覚障害になって味なんて覚えてねぇんだよ。ただ死ぬ間際とか気絶する間際に、『美味かった』っていう声と満足そうな微笑み残すんだ。それでついたあだ名がデス・スマイル」
「うわぁどんな味なんですか?」
「うちは毒料理専門店だ。俺も食ったこたぁねぇが、店の冷凍室には常に一食分は置いてある」
「なんで食べたこと無いんですか?」
「死ぬからだよ!!」
はぁ、本当に人の話を聞かぬな、と帽子から声がした。
そんなこといわれたってメニューにあるんでしょ?
「坊主、これだ」
料理長が緊張した面持ちでものすごく高級そうな皿を捧げ持ってきた。えーと、ひょっとしてすごく高いのかな。編集長は払ってくれるんだろうか。なんだか心配になってきた。
「あの、おまかせでお願いしてたけど、支払いは僕じゃないんです。すごく高かったりしますか?」
「お代はいらねぇ。仕入れはするが誰も食わねぇしな。もし味がわかれば教えて欲しい」
「もし? 料理長も食べたことないんスか?」
「だってお前、食ったら死ぬだろ」
「えぇ~」
これそんなにやばい魚なのかな。
見た感じは赤身魚の塩焼き。煎ったクラッシュナッツみたいな香ばしい香りはするけれど、特にソースは何もかかっていない。くんくん匂いを嗅いでみたけど、毒っぽい香り以外にそんなに変な香りもしないような。
意を決して一口大にナイフで切ってフォークを刺す。まわりの緊張が僕の指に伝わり、僕までわずかにプルルと揺れた。
大丈夫だと思うけど、ひょっとしたら死んじゃったりするのかな。僕はまだ10歳だけど……昔の思い出が走馬灯のように頭を駆け巡ったりはしなかったから大丈夫な気はする。どちらかというと天国が見えるほど美味い、が気になって仕方がない。では気を取り直して。
少しの不安と大きな期待と共に、満を辞してその一切れを口に含む。僕は思わずフォークを取り落として叫んだ。
「行った!」
おじさんの興奮する声の傍ら、口の中に広がる味に僕は酷い混乱に陥った。
「なんで!?」
「どうした坊主! 大丈夫か!」
「ダメだったらすぐに吐き出せ!」
「あ、大丈夫です」
「「はあ?」」
困惑するおじさんとお兄さん。寧ろ叩く背中が痛いです。ん……体はちょっと気持ち悪い、でも別に死ぬほどではない。
でもなんていうか……。
「あの、このお魚……」
「うむ」
「あんま味がしない」
「「え」」
身はちょっと硬めでパサパサして、赤身魚らしく少し血生臭い。でも別にそれほど気にならないというか、そんなのでもアクセントになるくらい身に味がなかった。毒的にピリリとして毒の味自体は美味しい部類だと思うんだけど、それも身の味に合ってはいない感じ。とても美味い焼豚に美味しいサンマを乗せてもあまり美味しくないとかそんな感じで、そんなわけで全体的にどこか薄ぼんやりした味になっている。
僕のこの高まりきった期待値はどうしたらいいんだろう。
その夜、僕は編集長にメールを送った。
『おい。画像を見たが、この赤身のは本当にドルダギオなのか?』
『そうですよ』
『動画は……ハァ、撮ってないよな』
『撮ってないですよ? 言われてないですよね』
『ノモゲテ・フィッシュ』の感想を送ったらすぐに電話がかかってきたんだ。
写真は撮れといわれたけど、動画は言われてないもん。
なんだか微妙な沈黙。
「あのな、お前な」
ドルダギオは食べてまともに生きている者がいないから味は幻。そもそも食べて生きていることが眉唾扱い。しかも天国に行けるほど美味いらしい。だから食べてるところの証拠もなしに美味しくないと書いてしまっても信憑性が著しく薄くて記事として使えないらしい。
「動画が無いとだめなら明日もう1度行ってみますけど。昼にも来いって言われてるし」
「いや無駄だ。『ノモゲテ・フィッシュ』に問い合わせたが、入荷自体が難しいらしい。ドルダギオは海深くにいる魚だし、強力な毒持ちだからあれはあれで扱いが難しい。なにせ釣り上げた時にその余波で周りの魚が全部死んじまう勢いだそうだからな。だから漁師に先払いで個別に依頼をした上で、釣り上がったら受け取る、という代物らしいからな」
あのお魚の周りにぷかりぷかりとたくさんのお魚が浮いている姿が思い浮かぶ。シュールだ。
「え、じゃあ周りの魚も食べ放題じゃないですか」
「毒で死んだ魚なんて食えるかよ!」
「えー。でもそんな珍しい魚だったんですね。それならもっと味わって食べたほうがよかったのかも。うーんでも美味しくないし」
「あの魚は美味いとかそんなのはどうでもいいんだよ!」
美味しいほうがいいじゃん。そういえば味については料理長さんとも話したけど、強烈な幻覚作用で美味いと思っちまったんじゃねぇかと言っていた。
でも結局、どう料理してもあんまり美味しくならなさそうなんだよねぇ、あのお魚。そういえば昔美味しくない毒キノコをどうしたらおいしくなるのかこっそり川原に調理道具を持ち込んで色々やってみたけど、どうやっても美味しくならなかった。美味しくない根本原因をなんとかしないと無駄なのだ。
そうするとドルダギオが美味しくない原因は味がないことだから、色々ハーブとか入れて食べると美味しくなるのかな?
「編集長! 僕美味しいドルダギオ料理を研究してみます!」
「本当に人の話を聞かないやつだな、だから入手できないんだよ」
「あそっか。そういえば原稿って送ったものでよかったんでしょうか」
「うん? ああ、思ったより悪くはなかったな。多少問題ない範囲で直すが、報酬は後ほど振り込んでおく」
「やった!」
初めてのお給料だ! 美味しいものを食べよう!
それからしばらく後のとある兎人族の村。
ワールド・トラベル出版から届け物があったと村長から連絡があった。
一瞬何のことかと思ったが、息子がそこに就職したところだと思い起こす。
ラヴィが旅立ってからだいたい1ヶ月くらいだ。あの性格じゃぁ早々のたれ死んだりはしないだろうとは思っていたが、いなくなると少し色々な意味で心配になる。そしてそれ以上に心が穏やかだった。
思い起こせばラヴィが家にいた頃は、いつ泡吹いてぶっ倒れるんじゃないかと気が気じゃなかった。家族で交代で見張ってはいたものの限界はある。家ですらちょっとした隙をついて壁から生えた歩きキノコを食べたりするんだ。
そんなもの美味いのかと試しに長男が歩きキノコを食べてみたが、一口で吐き出して糞不味ぃとえずいていた。外に出るともう制御不能で、一瞬でも目を離すと行方不明になり、探し回ると木のウロに入ってウロの内側から木を齧っていたりした。特に美味くはないらしい。
俺たち平凡な一家からなぜあんなわけのわからないのが生まれたのかよくわからないが、まあ性格自体は単純で明るくていい子なんだ。カッツェというところは大きな街と聞く。そんなところでうまくやっていけるのだろうか。
少し心配になりつつも荷物を開くとそこには一冊の雑誌が入っていて、しおりが挟まれている。『アンダーグラウンド・フードフェア Vol19』。トカゲが威嚇するような絵の表紙。
困惑しながらしおりのページを捲って驚いた。息子の写真が載っている。それとともに何枚かの毒毒しい色の料理の写真、写真の下には必要な耐性、それから危険度という文字の隣にいくつか★が並んでいるのが目に入ってウッとなる。
けれども載せられた写真のラヴィの顔がどことなく嬉しそうで、それから文章が弾むように楽しそうだな、元気でやっているのかなと思って末尾の『注意:くれぐれも安易に試さないでください(編集長)』という記載が目に入り、何だかよくわからない深い溜息が漏れた。
……魔女様は息子に適職を与えて下さったのだな。
なんとなくそう思って、息子が本の記事を書いたという誇らしさと、やっぱり変わらない不安を胸に雑誌を閉じた。
10
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
魔法少女の食道楽
石田空
大衆娯楽
実家の事情で一番食欲旺盛だった頃、まともに食道楽を楽しめなかった過去を持つ一ノ瀬奈々。過労で食が細くなりがち。
そんな中、突然妖精のリリパスに魔法少女に選ばれてしまう。
「そんな、アラサーが魔法少女なんて……あれ、若返ってる。もしかして、今だったら若い頃食べられなかったようなご飯が食べられる?」
かくして昼は会社で働き、夜は魔法少女として闇妖精討伐をしながら帰りにご飯を食べる。
若い頃には食べられなかったあれやこれを食べるぞと張り切る奈々の、遅れてやってきた食道楽。
サイトより転載になります。

伝説の魔術師の弟子になれたけど、収納魔法だけで満足です
カタナヅキ
ファンタジー
※弟子「究極魔法とかいいので収納魔法だけ教えて」師匠「Σ(゚Д゚)エー」
数十年前に異世界から召喚された人間が存在した。その人間は世界中のあらゆる魔法を習得し、伝説の魔術師と謳われた。だが、彼は全ての魔法を覚えた途端に人々の前から姿を消す。
ある日に一人の少年が山奥に暮らす老人の元に尋ねた。この老人こそが伝説の魔術師その人であり、少年は彼に弟子入りを志願する。老人は寿命を終える前に自分が覚えた魔法を少年に託し、伝説の魔術師の称号を彼に受け継いでほしいと思った。
「よし、収納魔法はちゃんと覚えたな?では、次の魔法を……」
「あ、そういうのいいんで」
「えっ!?」
異空間に物体を取り込む「収納魔法」を覚えると、魔術師の弟子は師の元から離れて旅立つ――
――後にこの少年は「収納魔導士」なる渾名を付けられることになる。

世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
公爵令嬢の私に騎士も誰も敵わないのですか?
海野幻創
ファンタジー
公爵令嬢であるエマ・ヴァロワは、最高の結婚をするために幼いころから努力を続けてきた。
そんなエマの婚約者となったのは、多くの人から尊敬を集め、立派な方だと口々に評される名門貴族の跡取り息子、コンティ公爵だった。
夢が叶いそうだと期待に胸を膨らませ、結婚準備をしていたのだが──
「おそろしい女……」
助けてあげたのにも関わらず、お礼をして抱きしめてくれるどころか、コンティ公爵は化け物を見るような目つきで逃げ去っていった。
なんて男!
最高の結婚相手だなんて間違いだったわ!
自国でも隣国でも結婚相手に恵まれず、結婚相手を探すだけの社交界から離れたくなった私は、遠い北の地に住む母の元へ行くことに決めた。
遠い2000キロの旅路を執事のシュヴァリエと共に行く。
仕える者に対する態度がなっていない最低の執事だけど、必死になって私を守るし、どうやらとても強いらしい──
しかし、シュヴァリエは私の方がもっと強いのだという。まさかとは思ったが、それには理由があったのだ。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる