27 / 43
3章 長岡京の2人の兄弟
side桓武 早良と俺の立場の違い
しおりを挟む『いいか航、diverはその時間に存在しない者でないと戻ることは出来ない。だから私は行けない、お前が行くしかないんだ』
『まだ人での実験は行ってない、それでも本当にいいんだな!?』
『期限は2ヶ月だ、いいな!2ヶ月だぞ!それを越えることは許さない、必ず、必ず戻ってこい!お前の居場所はここだ!父さんが待ってるからな!』
※ ※ ※
「俺・・・さ、未来から来たって言ったら・・・信じないよな」
虚しくも時は流れる。太陽の輪郭はすっぽりと山の影に取り込まれ金色の時間は消え、薄暗い闇が漂い始める。
空を見上げたままの彼をそっと覗き見ると、柵を掴んだ手が震えていた。
「信じるよ、航くんは嘘つくような子じゃないもんね」
ぶつかるような衝撃と共に私は力いっぱい航くんに抱きしめられていた。触れると骨格や筋肉の違いがもう大人の男性なのだと伝わってくる。守られているみたいで安心した、頼もしかった。
でも、航くんの頬には沢山の涙粒が流れ、手のひらは震えていた。
「か・・・さ、ん。俺、幸せだよ。かぁさ・・・んの子でよかっ、た。あ、りが、とう」
震える唇を噛み締めて必死に届いた言葉に何故か涙が溢れた。あの人の顔、声、髪、耳、手のひらでそっと撫でる。
「航くんはね、あの人にそっくりだけど、笑った顔がね私に似てるんだって。そう言われた時凄く嬉しかったなぁ」
そういうと、彼は抱きしめた腕を解いて、涙で濡れた顔でにっこりと優しい笑顔浮かべながら、ふわりと消えてしまった。
『まだ人での実験は行ってない、それでも本当にいいんだな!?』
『期限は2ヶ月だ、いいな!2ヶ月だぞ!それを越えることは許さない、必ず、必ず戻ってこい!お前の居場所はここだ!父さんが待ってるからな!』
※ ※ ※
「俺・・・さ、未来から来たって言ったら・・・信じないよな」
虚しくも時は流れる。太陽の輪郭はすっぽりと山の影に取り込まれ金色の時間は消え、薄暗い闇が漂い始める。
空を見上げたままの彼をそっと覗き見ると、柵を掴んだ手が震えていた。
「信じるよ、航くんは嘘つくような子じゃないもんね」
ぶつかるような衝撃と共に私は力いっぱい航くんに抱きしめられていた。触れると骨格や筋肉の違いがもう大人の男性なのだと伝わってくる。守られているみたいで安心した、頼もしかった。
でも、航くんの頬には沢山の涙粒が流れ、手のひらは震えていた。
「か・・・さ、ん。俺、幸せだよ。かぁさ・・・んの子でよかっ、た。あ、りが、とう」
震える唇を噛み締めて必死に届いた言葉に何故か涙が溢れた。あの人の顔、声、髪、耳、手のひらでそっと撫でる。
「航くんはね、あの人にそっくりだけど、笑った顔がね私に似てるんだって。そう言われた時凄く嬉しかったなぁ」
そういうと、彼は抱きしめた腕を解いて、涙で濡れた顔でにっこりと優しい笑顔浮かべながら、ふわりと消えてしまった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

猿の内政官の息子 ~小田原征伐~
橋本洋一
歴史・時代
※猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~という作品の外伝です。猿の内政官の息子の続編です。全十話です。
猿の内政官の息子、雨竜秀晴はある日、豊臣家から出兵命令を受けた。出陣先は関東。惣無事令を破った北条家討伐のための戦である。秀晴はこの戦で父である雲之介を超えられると信じていた。その戦の中でいろいろな『親子』の関係を知る。これは『親子の絆』の物語であり、『固執からの解放』の物語である。
天狗の囁き
井上 滋瑛
歴史・時代
幼少の頃より自分にしか聞こえない天狗の声が聞こえた吉川広家。姿見えぬ声に対して、時に従い、時に相談し、時に言い争い、天狗評議と揶揄されながら、偉大な武将であった父吉川元春や叔父の小早川隆景、兄元長の背を追ってきた。時は経ち、慶長五年九月の関ヶ原。主家の当主毛利輝元は甘言に乗り、西軍総大将に担がれてしまう。東軍との勝敗に関わらず、危急存亡の秋を察知した広家は、友である黒田長政を介して東軍総大将徳川家康に内通する。天狗の声に耳を傾けながら、主家の存亡をかけ、不義内通の誹りを恐れず、主家の命運を一身に背負う。


甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
故郷、甲賀で騒動を起こし、国を追われるようにして出奔した
若き日の滝川一益と滝川義太夫、
尾張に流れ着いた二人は織田信長に会い、織田家の一員として
天下布武の一役を担う。二人をとりまく織田家の人々のそれぞれの思惑が
からみ、紆余曲折しながらも一益がたどり着く先はどこなのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる