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24.思いの行方
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それから一週間、今まで通り食卓を囲んだ。
亜貴はあれ以来ほとんど岳と口を利かない。
それでも、食事の時は必ず一緒に食べた。亜貴にしても、岳との貴重な時間を大切にしたいのだろう。
俺はというと、今までと変わらず軽口をたたき亜貴をからかい、岳と話し。
岳も初めの内こそ口数は少なかったが、そのうち今まで通りの態度になった。
とは言っても、そこは大人だ。態度こそ平素と変わらなくなったが、内心は分からない。
一緒にいられる時間はあと僅か。
俺は少しも無駄にはしたくなくて、精いっぱい出来る範囲の家事をこなし、今まで通りに過ごした。
金曜日の夜。
亜貴へホットミルクを持っていくと、机の前にぼんやりと座る亜貴がいた。
手にしていたシャープペンはノートの上に転がって、机に肘をつきぼーっとしている。きっと岳とのことを考えているのだろう。
「よ。さぼってんのか?」
分かっていて軽口をたたき、丁度良い温度のミルクを机の定位置に置いた。亜貴はそんな俺をちらと見やって深くため息をつくと。
「大和。兄さんと離れるの、寂しくないの?」
ぎくりとするが、それはなるべく表には出さず。
「それは…、寂しいに決ってんだろ?」
「その割に、ちっとも寂しそうにみえない…」
じとっとこちらを見つめてくる。俺は胸を反らすようにすると。
「だって、めそめそして終わるより、楽しい思い出をたくさん作って終わった方がいいだろ? 結果が同じならその過程は楽しく過ごしたいって、俺は思う」
なんて。本当は強がりだ。
正直、一人きりになると、辛さと悲しさで押し潰されそうになる。膝を抱えて一晩中、起きていた事もあった。
けれど、だからこそ、皆の前では明るくありたい。メソメソした姿を見せる事で、岳を苦しめたくはなかった。
その言葉に亜貴は目を瞠る様にした後。
「…大和ってすごいね。兄さんが惚れるわけだ」
「は?」
いま、聞き捨てならないセリフを聞いたきがしたが。亜貴は知らないはずだ。
「って、知らないと思った? だいたい、大和だって気付いてたんだろ? 兄さん、大和にキスしかけてたじゃん。それに他にも…。それなのに、なんでそんな平然としてんの?」
「平然って訳じゃあ…」
「キスは未遂だっただろうけど、したのと一緒だよ。兄さんは大和が好きに決まってる。だからあんな事しようとしたんだ…。それに態度を見てれば分かったもの。…兄さん、継ぐつもりならなんで大和に手を出したんだろ…」
亜貴は知らない。岳が期限付きだったことを。
言おうか迷ったが、やめておいた。
それに、既に終わった事なのだ。今更期限が決まっていたことを話しても意味がない。
「ねぇ、大和はどう思ってるの? 兄さんの事…」
「どうって…」
それは岳に伝えそびれた件だ。その後、岳が聞いてくることもなく。
けれど、こうなった今、どう答えても覆る事はないのだろう。
「大和だってまんざらでもないんだろ。兄さんといる時の大和、凄く楽しそうだもん…」
「それは…否定しない」
「ねぇ? いいの? これで終わりなんだよ? 兄さん、決めたことはめったに変えたことないもの。本当に俺や大和にも会わないつもりだ…」
そこで亜貴の表情が曇り、視線が床に落ちる。
「俺は、そんなの嫌なんだ。でも、どうしたらいいのか分からない…」
「亜貴…」
「大和は? 兄さんをどう思ってるかは別にして、このまま二度と会えなくなってもいいの?」
俺は答えるべき言葉がなかった。
これは抗えない現実で。
後から真琴に聞いたが、楠は弟、倫也の件で、組を波紋されたのだと言う。岳が組を継ぐと同時に発表されるとの事だった。
楠がいない今、組を継げるのは岳しかいない。どんなに岳に離れたくないと訴えても、どうにかなるものではない。
それならいっそ、俺を傍に置いて欲しい。
真琴の様に、その傍らで役に立ちたかった。本当に的になるくらいしかできないだろうが。
それでもないより増しだろう。
このまま闇に堕ちていくのを、放っておくことは出来なかった。
+++
俺がリビングに戻ってくると、つけっ放しのテレビを見るともなしに眺めている岳がいた。
手元に置かれたコーヒーはまだ少し残っている。
「岳。淹れ直すか?」
「あ…? いや、いい」
そこで俺の戻ってきたことに気づいたらしい。岳は残ったコーヒーを一気に飲み干すと、カップを手にキッチンに立った。
俺はリビングの入り口で立ち尽くしたまま。
「なあ。岳…」
「なんだ?」
シンクの蛇口からぽたりと水滴が落ちた。
「前に一緒にいてくれって言ったろ?」
「ああ、あれか…。あれはもう──」
「聞けよ!」
言いかけた岳を遮ると、俺にしては珍しく激高した。岳は動きを止めてこちらを見つめている。
俺は気持ちを落ち着かせる為、深呼吸したあと。
「…怒鳴ってごめん。けど、聞いて欲しい…」
岳をひたと見つめる。岳はなんとも言えない、複雑な表情をしていた。怒っている様な、泣き出す一歩手前の様な。
「俺は、岳を単なる雇い主だとは思っていない。二度と会えなくなったら寂しいし哀しい。…辛い。そう思えるほど、岳の存在が大きくなってる──」
俺はすうっと息を吸い込んでから、最後のセリフを口にしようとして、思わず咳き込んだ。
「ッ!? ケホッ! ゲホッケホケホ…」
ったく。ここぞって時に俺は。
恰好がつかない。やはりここはモブなだけある。
「おい、大丈夫か?」
なかなか止まらない咳に、慌てて岳がグラスに水を注いで持ってきてくれた。
背中をさすられながら、そのコップの水を飲み干した後、
「俺…。岳のことが好きだ」
蚊の鳴くような声で、ぽつりと漏らした。
なんて、格好の悪い告白。
でも。俺は──。
「……」
岳はその場で固まったように立ち尽くしている。俺はぎゅっと拳を握り締めると。
「好きだ…。だから、俺も連れてけよ。岳の傍に置いとけよ! ヤクザなんて関係ない。俺は岳の傍にいたい…っ」
振り返って、背後に立つ岳を見上げる。
はらりと涙が零れ落ちたのと、抱きしめられたのとが同時だった。
ぎゅっと抱擁され胸がいっぱいになる。
初めてまともに好きになった相手と、あと数日で終わりだなんて。
信じたくなかった。
「ありがとな。大和。でも…連れてはいけない」
その言葉に、ぶわりと涙が湧き上がって止まらなくなった。
こんな風に泣くなんて、子どもの時以来だ。
次から次へと涙があふれ、嗚咽が止まらなくなる。岳のシャツが涙でぐしゃぐしゃになるが、岳は構わず更に抱き寄せ腕に抱え込む。
「大和。好きだ」
額にキスが落とされ、頬を両の手で持ち上げられる。ぐずぐずになった俺の顔を見て、岳は笑う。
「大好きだ…。それが大和と一緒にいたい、別の理由だ」
「…っ」
俺もだ。
言おうとしても嗚咽が邪魔して声にならない。
その代わり、落ちてきた岳のキスを受け止めることで答えた。
岳との初めてのキスは、涙の味しかしなかった。
その後、岳は俺を部屋の前まで送ってくれ、そこで別れた。
去り際、お休みの言葉と頬へキスが一つ、落ちてくる。
そこはいつか斬られた場所だ。
白く残った傷跡が熱く感じた。掴まれた二の腕が何時までも痛む。
全身が岳を好きなのだと訴えていた。
その夜、まともに眠ることなどできなかった。
亜貴はあれ以来ほとんど岳と口を利かない。
それでも、食事の時は必ず一緒に食べた。亜貴にしても、岳との貴重な時間を大切にしたいのだろう。
俺はというと、今までと変わらず軽口をたたき亜貴をからかい、岳と話し。
岳も初めの内こそ口数は少なかったが、そのうち今まで通りの態度になった。
とは言っても、そこは大人だ。態度こそ平素と変わらなくなったが、内心は分からない。
一緒にいられる時間はあと僅か。
俺は少しも無駄にはしたくなくて、精いっぱい出来る範囲の家事をこなし、今まで通りに過ごした。
金曜日の夜。
亜貴へホットミルクを持っていくと、机の前にぼんやりと座る亜貴がいた。
手にしていたシャープペンはノートの上に転がって、机に肘をつきぼーっとしている。きっと岳とのことを考えているのだろう。
「よ。さぼってんのか?」
分かっていて軽口をたたき、丁度良い温度のミルクを机の定位置に置いた。亜貴はそんな俺をちらと見やって深くため息をつくと。
「大和。兄さんと離れるの、寂しくないの?」
ぎくりとするが、それはなるべく表には出さず。
「それは…、寂しいに決ってんだろ?」
「その割に、ちっとも寂しそうにみえない…」
じとっとこちらを見つめてくる。俺は胸を反らすようにすると。
「だって、めそめそして終わるより、楽しい思い出をたくさん作って終わった方がいいだろ? 結果が同じならその過程は楽しく過ごしたいって、俺は思う」
なんて。本当は強がりだ。
正直、一人きりになると、辛さと悲しさで押し潰されそうになる。膝を抱えて一晩中、起きていた事もあった。
けれど、だからこそ、皆の前では明るくありたい。メソメソした姿を見せる事で、岳を苦しめたくはなかった。
その言葉に亜貴は目を瞠る様にした後。
「…大和ってすごいね。兄さんが惚れるわけだ」
「は?」
いま、聞き捨てならないセリフを聞いたきがしたが。亜貴は知らないはずだ。
「って、知らないと思った? だいたい、大和だって気付いてたんだろ? 兄さん、大和にキスしかけてたじゃん。それに他にも…。それなのに、なんでそんな平然としてんの?」
「平然って訳じゃあ…」
「キスは未遂だっただろうけど、したのと一緒だよ。兄さんは大和が好きに決まってる。だからあんな事しようとしたんだ…。それに態度を見てれば分かったもの。…兄さん、継ぐつもりならなんで大和に手を出したんだろ…」
亜貴は知らない。岳が期限付きだったことを。
言おうか迷ったが、やめておいた。
それに、既に終わった事なのだ。今更期限が決まっていたことを話しても意味がない。
「ねぇ、大和はどう思ってるの? 兄さんの事…」
「どうって…」
それは岳に伝えそびれた件だ。その後、岳が聞いてくることもなく。
けれど、こうなった今、どう答えても覆る事はないのだろう。
「大和だってまんざらでもないんだろ。兄さんといる時の大和、凄く楽しそうだもん…」
「それは…否定しない」
「ねぇ? いいの? これで終わりなんだよ? 兄さん、決めたことはめったに変えたことないもの。本当に俺や大和にも会わないつもりだ…」
そこで亜貴の表情が曇り、視線が床に落ちる。
「俺は、そんなの嫌なんだ。でも、どうしたらいいのか分からない…」
「亜貴…」
「大和は? 兄さんをどう思ってるかは別にして、このまま二度と会えなくなってもいいの?」
俺は答えるべき言葉がなかった。
これは抗えない現実で。
後から真琴に聞いたが、楠は弟、倫也の件で、組を波紋されたのだと言う。岳が組を継ぐと同時に発表されるとの事だった。
楠がいない今、組を継げるのは岳しかいない。どんなに岳に離れたくないと訴えても、どうにかなるものではない。
それならいっそ、俺を傍に置いて欲しい。
真琴の様に、その傍らで役に立ちたかった。本当に的になるくらいしかできないだろうが。
それでもないより増しだろう。
このまま闇に堕ちていくのを、放っておくことは出来なかった。
+++
俺がリビングに戻ってくると、つけっ放しのテレビを見るともなしに眺めている岳がいた。
手元に置かれたコーヒーはまだ少し残っている。
「岳。淹れ直すか?」
「あ…? いや、いい」
そこで俺の戻ってきたことに気づいたらしい。岳は残ったコーヒーを一気に飲み干すと、カップを手にキッチンに立った。
俺はリビングの入り口で立ち尽くしたまま。
「なあ。岳…」
「なんだ?」
シンクの蛇口からぽたりと水滴が落ちた。
「前に一緒にいてくれって言ったろ?」
「ああ、あれか…。あれはもう──」
「聞けよ!」
言いかけた岳を遮ると、俺にしては珍しく激高した。岳は動きを止めてこちらを見つめている。
俺は気持ちを落ち着かせる為、深呼吸したあと。
「…怒鳴ってごめん。けど、聞いて欲しい…」
岳をひたと見つめる。岳はなんとも言えない、複雑な表情をしていた。怒っている様な、泣き出す一歩手前の様な。
「俺は、岳を単なる雇い主だとは思っていない。二度と会えなくなったら寂しいし哀しい。…辛い。そう思えるほど、岳の存在が大きくなってる──」
俺はすうっと息を吸い込んでから、最後のセリフを口にしようとして、思わず咳き込んだ。
「ッ!? ケホッ! ゲホッケホケホ…」
ったく。ここぞって時に俺は。
恰好がつかない。やはりここはモブなだけある。
「おい、大丈夫か?」
なかなか止まらない咳に、慌てて岳がグラスに水を注いで持ってきてくれた。
背中をさすられながら、そのコップの水を飲み干した後、
「俺…。岳のことが好きだ」
蚊の鳴くような声で、ぽつりと漏らした。
なんて、格好の悪い告白。
でも。俺は──。
「……」
岳はその場で固まったように立ち尽くしている。俺はぎゅっと拳を握り締めると。
「好きだ…。だから、俺も連れてけよ。岳の傍に置いとけよ! ヤクザなんて関係ない。俺は岳の傍にいたい…っ」
振り返って、背後に立つ岳を見上げる。
はらりと涙が零れ落ちたのと、抱きしめられたのとが同時だった。
ぎゅっと抱擁され胸がいっぱいになる。
初めてまともに好きになった相手と、あと数日で終わりだなんて。
信じたくなかった。
「ありがとな。大和。でも…連れてはいけない」
その言葉に、ぶわりと涙が湧き上がって止まらなくなった。
こんな風に泣くなんて、子どもの時以来だ。
次から次へと涙があふれ、嗚咽が止まらなくなる。岳のシャツが涙でぐしゃぐしゃになるが、岳は構わず更に抱き寄せ腕に抱え込む。
「大和。好きだ」
額にキスが落とされ、頬を両の手で持ち上げられる。ぐずぐずになった俺の顔を見て、岳は笑う。
「大好きだ…。それが大和と一緒にいたい、別の理由だ」
「…っ」
俺もだ。
言おうとしても嗚咽が邪魔して声にならない。
その代わり、落ちてきた岳のキスを受け止めることで答えた。
岳との初めてのキスは、涙の味しかしなかった。
その後、岳は俺を部屋の前まで送ってくれ、そこで別れた。
去り際、お休みの言葉と頬へキスが一つ、落ちてくる。
そこはいつか斬られた場所だ。
白く残った傷跡が熱く感じた。掴まれた二の腕が何時までも痛む。
全身が岳を好きなのだと訴えていた。
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