3 / 12
第ニ話 出会い
しおりを挟む
朝、涼しい風を肩に感じて目を覚ました。
ここは──。
まだ窓の外は薄暗い。身体を反転させようとして、軋むようにそこかしこが痛んだ。喉も枯れている。
それで、昨晩の出来事を一気に思い起こす。
俺は──オレオルに…。
下腹部に鈍い痛みとだるさが残る。これが何を意味しているのか。
「目、覚めた?」
そっとその背中を冷たい指先が滑りおりる。
「…やめろ」
「今更だろ? もう、知らない仲じゃない」
笑ったオレオルは、ルークスの身体を無理やり反転させて、見下ろしてきた。
金糸が頬に落ちてくる。互いの髪が乱れ絡まっていた。紫の瞳が満足げに光る。
「やっと、手に入れた…」
「入れてなど…。お前にやったのはこの身体だけだ」
「それでいい。そのうち、心も手に入れる…」
キスが唇に落ちてくる。すぐに顔を背けるが、頬を掴まれ無理やり合わせられた。
「ッ…!」
息も継げなくなる。
キスが終わり、オレオルは濡れた唇を舐めながら、じっと見つめてきた。ルークスは睨み返すと。
「…これきりだ」
「は。ばか言わないでくれ。君とはこれからも任務が終わってからもずっと一緒だ。愛しているよ。ルークス…」
再び、深いキスが落とされる。
無理やり合わせられた唇からは、不快感しか得られ無かった。
どんなにそこに愛がこもっていようと、ルークスにとって、それは他人への囁きにしか聞こえなかった。
+++
「あなた、ひとりなのか?」
待ち合わせた村の外れに現れたルークスに、案内役の男が不思議そうな顔をして見せた。
茶色い髪に紅い目を持つ、炎を司る部族の青年だった。
年は自分より少し若い位か。しかし、身長は高く体格もいい。
もう一人、連れがいた。同じ種族らしい少年だった。こちらの少年は小柄で華奢だ。
「ああ。私ひとりだ。ルークスだ。よろしく」
オレオルはそんな仕事は下の者にやらせておけばいいと、やる気の一つも見せなかった。行く気はないらしい。
それならと、今日朝早く、館までの道案内を頼んだのだった。
天気は余り良くない。時折冷たい雨が風と共に吹き付けた。
「俺はアルドル。こっちは弟のケオだ。森の中は弟の方が詳しい。道案内は弟に頼む。よろしく」
青年の差し出された手を握り返す。
弟のケオはニコリと笑み首を傾げると、まだ幼い手を差し出して来た。
小柄なせいもあるが、かなり幼く見える。アルドルよりは十歳くらいは下だろうか。
「よろしく。ルークスはとっても綺麗だね?」
「は…?」
「おい、ケオ余計な事言うな。すまねぇ。ガキだから遠慮なく思ったことすぐ口にしちまう」
アルドルは、ポカリとケオの頭を叩いてから、こちらに謝って見せる。
「いいんだ。ケオを叱らないでくれ。気にしていない」
ふわりと笑むと、何故かアルドルまでもが頬を染めた。
「…っ」
「あ、兄さんだって…」
ケオがぎゃっと小さな声を上げた。足を踏みつけられたらしい。
光の神子には総じて容姿の美しい者が多い。
白い肌に金糸の髪。選ばれた者は、体格の差はあれ大体がみな同じ姿を持ち合わせている。
出自はまちまち。両親ともに光の神子の場合もあれば、どちらか一方の場合もある。
大抵はそれだが、稀に突然変異の様に生まれ出るものがいた。
それがルークスだった。
両親はごく普通の人達だった。家は貧しく、まだ赤ん坊だった弟を抱え、両親共に働いていた。ルークスも物心つく頃には、近くの農園で働いていたが、その容姿がひと目を引くようになり、そこを管理する地主に見初められた。
金髪は珍しい。それは光の神子の素質を現すからだ。
地主は当分の間不自由しない額と、仕事を与える事と引き換えに、両親からルークスを引き取り、自分の養子として迎えた。
弟のライオが未だに両親を赦し切れていないのは、その行いに依るものだった。
自分を育てるため、兄を売った、そう思っている。
俺は気になどしていないのに。
そうしなければ、互いに生きられ無かった。互いの幸せを思った結果だった。
そうして、十歳になる頃、光の神子の館へとルークスは送られた。
光の神子が身内から出ればそれだけで権威もあがるし、箔もつく。自分達の優位をより強く見せつけるための道具だった。
そこで光の神子としての修練を積み、成人を過ぎた頃、養父の元から独立し、正式に光の神子として迎えられた。
ルークスは純粋な神子とは違う。
一握りの者しか許されない、白い着衣。
それを許されたものの、その能力のほとんどが修練と努力の賜物によるものだった。
あるかないかの僅かな素質に鍛錬を重ね、辛く厳しい修行に耐え、強くしていった。
やっと認められた、そう思ったのに…。
昨晩のオレオルの言葉に真っ暗な闇へ堕ちていくように感じた。ただ、オレオルの慰み者として、引き上げられたに過ぎない。
それでも、この重要な役目を授かったのだ。力の限り、全うするのが務めだ。
アルドルは歩を進めながら。
「今日はこのまま、館の傍まで行ってみるつもりだ。人の出入りはあまりない。時折馬に乗った男が数人出入りするだけだが…」
「どうして、闇と分かった?」
「その…見たんだ…。狩りの途中、館の近くまで迷って入り込んでしまって。そこで、暗闇に渦巻く闇を見た。闇に呑まれる人の手と、それを見ていた人影が…。あれは、普通じゃねぇ」
アルドルの顔がこわばる。
「渦巻く闇か…」
「あれは、何なんだ?」
「光と相反するもの。この世を闇に塗り替える為、魔の世界から送り込まれたもの。
それに呑まれれば、普通のものなら跡形もなく消滅するだろう」
「なぜ、そんなものが今…?」
「闇が時を経て力を得たのだろう。過去にも幾度か撃退されている。今、光の神子に強力な力を持つ者がいる。それは、対になるものが生まれたからに他ならない」
「対に…?」
ルークスは哀しい笑みを浮かべると。
「闇の神子だ。それもただの神子ではなく、とても強力な…」
「それを、倒すことはできるのか?」
「今ならまだ間に合う。そこまで強い闇を感じない。取り敢えずこの目で見て確認しなければ」
「分かった。行こう。猟人のふりをして行くからそのつもりで…」
「分かった」
そのまま、アルドルとケオの案内で森の奥まで分け行った。
小一時間程した頃から雨脚が強くなって来た。森には殆ど人の気配はないが、辛うじて獣道に残る馬の足跡に、その跡を見た。
「そろそろ、館の敷地内に入る頃かと」
アルドルが茂る木々を掻き分け、先を探る。
「あ、兄さん。誰か──」
ケオがそう声を上げたと同時、傍らの茂みから突然、何かが飛び出して来た。
「うわっ」
ケオが尻もちを付く。見れば大きな黒い目を潤ませた、一頭の牡鹿だった。立派な角に目がいく。
「ったく、紛らわしい」
アルドルがケオが起きるのに手を貸したその時、茂みが揺れて何かが飛び出して来た。また鹿かと思えば。
「ウォン!」
野太い声。一頭の犬が躍り出てきた。体が黒く硬い毛で覆われ、ひと目で猟犬と知れた。
「危ない──」
ケオが叫ぶ。何を思ったか、その猟犬がこちらに向かってきたのだ。
「っ!」
腕で顔を庇うと、そこへ飛び掛かって来た。子牛ほどあるその巨体に飛び掛かられ、身体が背後に押し倒される。
あっと思った時には、その背後に隠れていた崖に身体がすべり落ちていた。
「ルークスっ!」
アルドルが駆け寄ろうとするが、間に合わず。飛び掛かった犬は飛び退いて無事だったのか、崖の上にその顔が覗いて見えた。
それが、最後に見た景色だった。
+++
ひたりと、冷たい感触を顔に感じ目を覚ました。
「…?」
「起きたか。済まない。顔にも怪我を」
頬に絞ったタオルがあてられている。そこで漸く自分のそこに痛みを感じた。
「俺、は…?」
見慣れない古めかしい彫りの入った天井。
「ああ。俺の犬があなたに飛びかかったんだ。鹿を追っていたんだが、何を間違ったのか、あなたの方へ…。すまなかった。幸い落ちた崖の下に茂みがあって。それがクッションになって、大怪我にならずに済んだ」
「俺の…連れは?」
「居間で休んでいる。アルドルとケオだろ? しかし、どうして、あんな森の奥へ?」
そこで俺は頬に置かれたタオルを手に取り、身体を起こした。傍らに置いた椅子に腰かけ、こちらを見ていた男と視線が合う。
あ…。
思わず、息を呑んだ。
艶のある黒い髪に、憂いを帯びた灰銀の瞳。その瞳がじっとこちらを見つめている。
闇に浮かぶ月の様だ。瞬間、そう思った。切れ長なそれは鋭くも見えたが、目が合ったとたん、小さくそれが見開かれた気がした。
「狩りで…」
ようやく言葉を継ぐと、男はああと頷いて。
「あの連れの二人だけならその答えで納得できたが…。彼らはこの地方に住む部族の者だからな。だがあなたは違う。見事な金糸の髪…。光の神子か?」
それは誰もが知る光の神子の特徴だった。そして、黒い髪を持つ者は──。
「…そうだと、言ったら?」
襲うだろうか。
手近に剣はない。光の力を発動させてもいいが、居間にいると言う二人に迷惑がかかりそうだった。うかつに手を出せば、彼らに害が及ぶ可能性がある。
「別に…。ここはただの古びた屋敷で、住まうのは俺の主人とその使いが数名。ここは数か月前にわが主が手に入れた。主人は人と関わることを極端に嫌う。だからこんな辺鄙な場所を選んで住んでいるんだ。光の神子が何を疑っているのか分からないが、ごく普通の民だよ」
「民…。ここで、闇を見たものがいる。それは幻だと?」
「そうだろう。あると思って疑いの眼でいれば、そうでないものもそう見える。それだけの事だ」
「…屋敷の中を見て回っても?」
「主人の許可が下りれば幾らでも。だが、気が済んだら、ここへは二度と近寄らない事だ。主人は美しいものが好きだ。特に金色に輝くものに目がない。気に入られればここから出られなくなるぞ?」
「それは脅しか?」
「忠告だ。今までも幾度かそういう目にあって来たものを見た。金糸の髪に美しい容姿。気に入れば何としても手に入れる。…皆、光の神子ではなかったが。末路は悲惨だ」
「助けはしなかったのか?」
「主人には逆らえない。それに、その間は大人しくもなる。他への害が減ったからな。好きにさせた」
「それでは主人と言うより、獣に近いな? そんなものに仕えていて、嫌気は差さないのか?」
「それが仕事だ。他に生きるすべもない」
男はどこか投げやりにそう口にした。
この男。
どこか付け入る隙がある様に思えた。
それより何より。
男の灰銀の瞳に、酷く魅入られている自分がいた。
「綺麗だな…」
「何がだ?」
「いや。言えば変な奴だと思うだろう」
「別に。いいから言ってみろ」
ルークスは躊躇ったのち。
「目が…綺麗だと。闇に浮かぶ月のようだと──」
ふと気がつくと、男がじっとこちらを凝視していた。
「…すまない。おかしな事を言った」
気恥かしくなって、視線を反らす。と、男の手が伸びルークスの顎を捉えた。
「あなたの目こそ、とても綺麗だ。透き通った遠浅の海の色。深く惹き込まれる──」
互いの視線が、熱く絡み合う。
この感覚はなんだろう? 初めて会った人物なのに…。
まるで、旧知のものの様に感じる。
「俺の名はシン。あなたは?」
「ルークス…」
ルークス、と小さく呟く、シンと名乗った男の口から自分の名が漏れた時、心が浮き立つ様な感覚を覚えた。
「では言う、ルークス。悪いことは言わない。ここを今すぐ立ち去れ。でなければ──」
「『でなければ』? どうなると?」
いつの間にか人が一人部屋の中にいた。
足音もなく、気配も感じさせず。
扉が開いた気配もなかった。まるでそこに降って湧いたよう。
真っ黒な衣装に身を包み、その髪も目も闇の黒。真っ白な肌との対比に、どこか人離れした不気味さを感じさせた。
シンは直ぐに身を翻し、そこへ伏す。この男が主か。
「これは…美しい。光の神子…ですかな?」
ルークスがベッドから降りようとすると、そのままで、と、手で制した。
歳の頃は四十過ぎと言った所か。長く黒い髪を緩く背でひとまとめしている。
ガッシリとした体つきではあるが、妙に骨ばって見えた。背は高く、頬は痩け、目ばかりがギョロリと光るよう。
「はい。ルークスと申します。この辺で闇を見た者がいると通報を受け、この周辺を探っておりました…」
今更嘘もつけない。既に猟師でないことはばれているのだ。これ以上、偽っても無意味だった。
それに、この男の反応を見たい一心もあった。もし、闇に関わるものなら通常とは何か違う反応が見られるのでは? そう思ったからだ。
主人はふっと笑むと。
「ほう。闇、ですか…。確かにこの辺りは闇が深い。一つや二つ、あっても良さそうなものですな。いいでしょう。私はデセーオと申します。この館の主人をしております。この屋敷含め、敷地内を好きなだけ探索して構いませんよ。その間、この館の一室を提供いたしましょう」
男に動揺の色は無かった。
「そうですか。しかし、それはご迷惑というもの。捜査はこちらの勝手。あなたにご迷惑をおかけするのは──」
「いいえ。構いませんよ。あなたのような美しい方と数日でも過ごせるのであれば喜んで。部屋を提供する代わりに、ぜひ客人として食事も共にしていただければ、嬉しい限りです。シン、部屋の準備を」
「…は」
恭しく頭を下げたシンは、部屋を退室していく。ちらとその視線がこちらに投げかけられたのは気のせいか。主人はこちらについと歩み寄り、
「その金糸は生まれつきで? 両親ともに?」
ベッドの端に腰かけた。重みでベッドがきしむ。
「いいえ。両親共に茶色の髪でした。家系にも誰ひとりいません。私は突然変異で生まれたようで──」
「そうですか。そんな不思議な事もあるのですね? どうぞ、滞在中は自分の家だと思って気楽にお過ごしください」
「…有難うございます」
主人の手がふと伸び、ルークスの髪をひと房手に取った。そこへゆったりとした動作で口づけて見せる。身体に緊張が走った。
「光の神子。確かに光の化身の様に美しい…」
ぞくりと、背筋に冷たいものが走った。主人の舐めるような視線に居心地の悪さを覚える。
「ぜひ、お近づきになりたいものだ…」
デセーオは漸く髪から手を放し、部屋を後にした。
+++
去った後、漸くゆっくりと息をつくことができた。
「とんだことになったな…」
デセーオが監視の目を向けているのは分かっている。しかし、彼が闇の神子なのか、そうでないのか、見極める必要があった。
容貌から言えば、闇の神子だ。
昔から黒い髪を持つ者は闇に関わるものに限られていた。本人にその気がなくとも、その色から闇に馴染みやすく、結果、引かれていってしまうらしい。
光の神子とは逆だな。
自分はその容姿の影響で光に引かれていった。
先ほどのシンという男も、そうなのだろうか?
闇の髪を持つ男。それは底知れぬ闇ではなかった。その瞳はとても澄んで見えた。
好感を持った欲目ではなく、確かにそれを感じ取ることができた。
しかし、主人のデセーオからは闇を強く感じる。
例え明確な証拠がなくとも、闇の気配を本能で感じていた。
俺に探らせると言う事は、そう簡単には分からないということだろうが。
その痕跡をたどる必要があった。
「っ…」
と、頬に痛みを感じて、思わず声を漏らす。先ほど崖から落ちた時にできたという、傷が引きつれたのだ。
軽いノックの音がして、再びシンが訪れた。
「部屋の準備ができたので、案内させていた
だきます──」
先ほどより恭しい態度で入室してきたが、ルークスが頬を押さえているのを目にとめて、すぐに駆け寄った。
「ああ、触れてはダメだ。少しまて…」
言うと、手近にあった箱から薬とガーゼを取り出す。軽く薬を添付した後、ガーゼをそっと乗せ、それを落ちないようテープで貼り付けた。
「しばらく痛むだろうが、こうしておけば傷にはならない。…綺麗な顔に痣は作りたくないならな?」
最後は笑って見せた。
「綺麗などではないさ。とっくに汚れている…」
自嘲の笑みを浮かべ、シンの言葉を遮った。
シンは不思議そうな顔をして見せたが、それ以上は口にはせず。
「部屋へ向かう前に彼らはどうしている? 自由にしてくれるのだろう?」
アルドルとケオの様子が心配だった。
「…ああ。大丈夫だ。ここに残る許可が下りたのはあなただけだ。だが、本来であれば残って欲しくはなかった…。もう少し、俺が気を付けていれば」
「面白いな。シン。もしかしたら、君にも害をなすかもしれない俺を、救おうとするのか?」
するとシンはふいと視線を背け。
「主人のおもちゃにされるのを黙って見ていたくはない…」
「おもちゃ、か。だが、そうなる前に退散するつもりだ。とりあえず、彼らに合わせてくれ」
「分かった…。あなたは部屋で待っていてくれ。そこへ二人を連れて行く」
そう言うと、おもむろにルークスの傍らに立って、背中と足裏へ腕を回してきた。抱き上げようと言うのだ。
「シン?」
「まだ身体が痛むはずだ。多少の打撲は残っている。抱えさせてくれ」
確かに僅かに身体が痛む気はするが、さすがにこの歳では気恥ずかしい。
しかし、シンは躊躇うことなく抱き上げ、胸元へ抱える。互いの体温が触れた箇所から伝わり、酷く身近に感じる。なんとも言えず照れくさくなった。
今更、こんなことくらいで。
何を意識しているのだと思うが、それはきっと相手がこのシンだからだろう。
他の誰かだったら気にもとめないはず。まして、ライオに抱き締められた時とも違う。
俺はいったい…。
揺られるシンの腕の中はなぜか居心地が良かった。
ここは──。
まだ窓の外は薄暗い。身体を反転させようとして、軋むようにそこかしこが痛んだ。喉も枯れている。
それで、昨晩の出来事を一気に思い起こす。
俺は──オレオルに…。
下腹部に鈍い痛みとだるさが残る。これが何を意味しているのか。
「目、覚めた?」
そっとその背中を冷たい指先が滑りおりる。
「…やめろ」
「今更だろ? もう、知らない仲じゃない」
笑ったオレオルは、ルークスの身体を無理やり反転させて、見下ろしてきた。
金糸が頬に落ちてくる。互いの髪が乱れ絡まっていた。紫の瞳が満足げに光る。
「やっと、手に入れた…」
「入れてなど…。お前にやったのはこの身体だけだ」
「それでいい。そのうち、心も手に入れる…」
キスが唇に落ちてくる。すぐに顔を背けるが、頬を掴まれ無理やり合わせられた。
「ッ…!」
息も継げなくなる。
キスが終わり、オレオルは濡れた唇を舐めながら、じっと見つめてきた。ルークスは睨み返すと。
「…これきりだ」
「は。ばか言わないでくれ。君とはこれからも任務が終わってからもずっと一緒だ。愛しているよ。ルークス…」
再び、深いキスが落とされる。
無理やり合わせられた唇からは、不快感しか得られ無かった。
どんなにそこに愛がこもっていようと、ルークスにとって、それは他人への囁きにしか聞こえなかった。
+++
「あなた、ひとりなのか?」
待ち合わせた村の外れに現れたルークスに、案内役の男が不思議そうな顔をして見せた。
茶色い髪に紅い目を持つ、炎を司る部族の青年だった。
年は自分より少し若い位か。しかし、身長は高く体格もいい。
もう一人、連れがいた。同じ種族らしい少年だった。こちらの少年は小柄で華奢だ。
「ああ。私ひとりだ。ルークスだ。よろしく」
オレオルはそんな仕事は下の者にやらせておけばいいと、やる気の一つも見せなかった。行く気はないらしい。
それならと、今日朝早く、館までの道案内を頼んだのだった。
天気は余り良くない。時折冷たい雨が風と共に吹き付けた。
「俺はアルドル。こっちは弟のケオだ。森の中は弟の方が詳しい。道案内は弟に頼む。よろしく」
青年の差し出された手を握り返す。
弟のケオはニコリと笑み首を傾げると、まだ幼い手を差し出して来た。
小柄なせいもあるが、かなり幼く見える。アルドルよりは十歳くらいは下だろうか。
「よろしく。ルークスはとっても綺麗だね?」
「は…?」
「おい、ケオ余計な事言うな。すまねぇ。ガキだから遠慮なく思ったことすぐ口にしちまう」
アルドルは、ポカリとケオの頭を叩いてから、こちらに謝って見せる。
「いいんだ。ケオを叱らないでくれ。気にしていない」
ふわりと笑むと、何故かアルドルまでもが頬を染めた。
「…っ」
「あ、兄さんだって…」
ケオがぎゃっと小さな声を上げた。足を踏みつけられたらしい。
光の神子には総じて容姿の美しい者が多い。
白い肌に金糸の髪。選ばれた者は、体格の差はあれ大体がみな同じ姿を持ち合わせている。
出自はまちまち。両親ともに光の神子の場合もあれば、どちらか一方の場合もある。
大抵はそれだが、稀に突然変異の様に生まれ出るものがいた。
それがルークスだった。
両親はごく普通の人達だった。家は貧しく、まだ赤ん坊だった弟を抱え、両親共に働いていた。ルークスも物心つく頃には、近くの農園で働いていたが、その容姿がひと目を引くようになり、そこを管理する地主に見初められた。
金髪は珍しい。それは光の神子の素質を現すからだ。
地主は当分の間不自由しない額と、仕事を与える事と引き換えに、両親からルークスを引き取り、自分の養子として迎えた。
弟のライオが未だに両親を赦し切れていないのは、その行いに依るものだった。
自分を育てるため、兄を売った、そう思っている。
俺は気になどしていないのに。
そうしなければ、互いに生きられ無かった。互いの幸せを思った結果だった。
そうして、十歳になる頃、光の神子の館へとルークスは送られた。
光の神子が身内から出ればそれだけで権威もあがるし、箔もつく。自分達の優位をより強く見せつけるための道具だった。
そこで光の神子としての修練を積み、成人を過ぎた頃、養父の元から独立し、正式に光の神子として迎えられた。
ルークスは純粋な神子とは違う。
一握りの者しか許されない、白い着衣。
それを許されたものの、その能力のほとんどが修練と努力の賜物によるものだった。
あるかないかの僅かな素質に鍛錬を重ね、辛く厳しい修行に耐え、強くしていった。
やっと認められた、そう思ったのに…。
昨晩のオレオルの言葉に真っ暗な闇へ堕ちていくように感じた。ただ、オレオルの慰み者として、引き上げられたに過ぎない。
それでも、この重要な役目を授かったのだ。力の限り、全うするのが務めだ。
アルドルは歩を進めながら。
「今日はこのまま、館の傍まで行ってみるつもりだ。人の出入りはあまりない。時折馬に乗った男が数人出入りするだけだが…」
「どうして、闇と分かった?」
「その…見たんだ…。狩りの途中、館の近くまで迷って入り込んでしまって。そこで、暗闇に渦巻く闇を見た。闇に呑まれる人の手と、それを見ていた人影が…。あれは、普通じゃねぇ」
アルドルの顔がこわばる。
「渦巻く闇か…」
「あれは、何なんだ?」
「光と相反するもの。この世を闇に塗り替える為、魔の世界から送り込まれたもの。
それに呑まれれば、普通のものなら跡形もなく消滅するだろう」
「なぜ、そんなものが今…?」
「闇が時を経て力を得たのだろう。過去にも幾度か撃退されている。今、光の神子に強力な力を持つ者がいる。それは、対になるものが生まれたからに他ならない」
「対に…?」
ルークスは哀しい笑みを浮かべると。
「闇の神子だ。それもただの神子ではなく、とても強力な…」
「それを、倒すことはできるのか?」
「今ならまだ間に合う。そこまで強い闇を感じない。取り敢えずこの目で見て確認しなければ」
「分かった。行こう。猟人のふりをして行くからそのつもりで…」
「分かった」
そのまま、アルドルとケオの案内で森の奥まで分け行った。
小一時間程した頃から雨脚が強くなって来た。森には殆ど人の気配はないが、辛うじて獣道に残る馬の足跡に、その跡を見た。
「そろそろ、館の敷地内に入る頃かと」
アルドルが茂る木々を掻き分け、先を探る。
「あ、兄さん。誰か──」
ケオがそう声を上げたと同時、傍らの茂みから突然、何かが飛び出して来た。
「うわっ」
ケオが尻もちを付く。見れば大きな黒い目を潤ませた、一頭の牡鹿だった。立派な角に目がいく。
「ったく、紛らわしい」
アルドルがケオが起きるのに手を貸したその時、茂みが揺れて何かが飛び出して来た。また鹿かと思えば。
「ウォン!」
野太い声。一頭の犬が躍り出てきた。体が黒く硬い毛で覆われ、ひと目で猟犬と知れた。
「危ない──」
ケオが叫ぶ。何を思ったか、その猟犬がこちらに向かってきたのだ。
「っ!」
腕で顔を庇うと、そこへ飛び掛かって来た。子牛ほどあるその巨体に飛び掛かられ、身体が背後に押し倒される。
あっと思った時には、その背後に隠れていた崖に身体がすべり落ちていた。
「ルークスっ!」
アルドルが駆け寄ろうとするが、間に合わず。飛び掛かった犬は飛び退いて無事だったのか、崖の上にその顔が覗いて見えた。
それが、最後に見た景色だった。
+++
ひたりと、冷たい感触を顔に感じ目を覚ました。
「…?」
「起きたか。済まない。顔にも怪我を」
頬に絞ったタオルがあてられている。そこで漸く自分のそこに痛みを感じた。
「俺、は…?」
見慣れない古めかしい彫りの入った天井。
「ああ。俺の犬があなたに飛びかかったんだ。鹿を追っていたんだが、何を間違ったのか、あなたの方へ…。すまなかった。幸い落ちた崖の下に茂みがあって。それがクッションになって、大怪我にならずに済んだ」
「俺の…連れは?」
「居間で休んでいる。アルドルとケオだろ? しかし、どうして、あんな森の奥へ?」
そこで俺は頬に置かれたタオルを手に取り、身体を起こした。傍らに置いた椅子に腰かけ、こちらを見ていた男と視線が合う。
あ…。
思わず、息を呑んだ。
艶のある黒い髪に、憂いを帯びた灰銀の瞳。その瞳がじっとこちらを見つめている。
闇に浮かぶ月の様だ。瞬間、そう思った。切れ長なそれは鋭くも見えたが、目が合ったとたん、小さくそれが見開かれた気がした。
「狩りで…」
ようやく言葉を継ぐと、男はああと頷いて。
「あの連れの二人だけならその答えで納得できたが…。彼らはこの地方に住む部族の者だからな。だがあなたは違う。見事な金糸の髪…。光の神子か?」
それは誰もが知る光の神子の特徴だった。そして、黒い髪を持つ者は──。
「…そうだと、言ったら?」
襲うだろうか。
手近に剣はない。光の力を発動させてもいいが、居間にいると言う二人に迷惑がかかりそうだった。うかつに手を出せば、彼らに害が及ぶ可能性がある。
「別に…。ここはただの古びた屋敷で、住まうのは俺の主人とその使いが数名。ここは数か月前にわが主が手に入れた。主人は人と関わることを極端に嫌う。だからこんな辺鄙な場所を選んで住んでいるんだ。光の神子が何を疑っているのか分からないが、ごく普通の民だよ」
「民…。ここで、闇を見たものがいる。それは幻だと?」
「そうだろう。あると思って疑いの眼でいれば、そうでないものもそう見える。それだけの事だ」
「…屋敷の中を見て回っても?」
「主人の許可が下りれば幾らでも。だが、気が済んだら、ここへは二度と近寄らない事だ。主人は美しいものが好きだ。特に金色に輝くものに目がない。気に入られればここから出られなくなるぞ?」
「それは脅しか?」
「忠告だ。今までも幾度かそういう目にあって来たものを見た。金糸の髪に美しい容姿。気に入れば何としても手に入れる。…皆、光の神子ではなかったが。末路は悲惨だ」
「助けはしなかったのか?」
「主人には逆らえない。それに、その間は大人しくもなる。他への害が減ったからな。好きにさせた」
「それでは主人と言うより、獣に近いな? そんなものに仕えていて、嫌気は差さないのか?」
「それが仕事だ。他に生きるすべもない」
男はどこか投げやりにそう口にした。
この男。
どこか付け入る隙がある様に思えた。
それより何より。
男の灰銀の瞳に、酷く魅入られている自分がいた。
「綺麗だな…」
「何がだ?」
「いや。言えば変な奴だと思うだろう」
「別に。いいから言ってみろ」
ルークスは躊躇ったのち。
「目が…綺麗だと。闇に浮かぶ月のようだと──」
ふと気がつくと、男がじっとこちらを凝視していた。
「…すまない。おかしな事を言った」
気恥かしくなって、視線を反らす。と、男の手が伸びルークスの顎を捉えた。
「あなたの目こそ、とても綺麗だ。透き通った遠浅の海の色。深く惹き込まれる──」
互いの視線が、熱く絡み合う。
この感覚はなんだろう? 初めて会った人物なのに…。
まるで、旧知のものの様に感じる。
「俺の名はシン。あなたは?」
「ルークス…」
ルークス、と小さく呟く、シンと名乗った男の口から自分の名が漏れた時、心が浮き立つ様な感覚を覚えた。
「では言う、ルークス。悪いことは言わない。ここを今すぐ立ち去れ。でなければ──」
「『でなければ』? どうなると?」
いつの間にか人が一人部屋の中にいた。
足音もなく、気配も感じさせず。
扉が開いた気配もなかった。まるでそこに降って湧いたよう。
真っ黒な衣装に身を包み、その髪も目も闇の黒。真っ白な肌との対比に、どこか人離れした不気味さを感じさせた。
シンは直ぐに身を翻し、そこへ伏す。この男が主か。
「これは…美しい。光の神子…ですかな?」
ルークスがベッドから降りようとすると、そのままで、と、手で制した。
歳の頃は四十過ぎと言った所か。長く黒い髪を緩く背でひとまとめしている。
ガッシリとした体つきではあるが、妙に骨ばって見えた。背は高く、頬は痩け、目ばかりがギョロリと光るよう。
「はい。ルークスと申します。この辺で闇を見た者がいると通報を受け、この周辺を探っておりました…」
今更嘘もつけない。既に猟師でないことはばれているのだ。これ以上、偽っても無意味だった。
それに、この男の反応を見たい一心もあった。もし、闇に関わるものなら通常とは何か違う反応が見られるのでは? そう思ったからだ。
主人はふっと笑むと。
「ほう。闇、ですか…。確かにこの辺りは闇が深い。一つや二つ、あっても良さそうなものですな。いいでしょう。私はデセーオと申します。この館の主人をしております。この屋敷含め、敷地内を好きなだけ探索して構いませんよ。その間、この館の一室を提供いたしましょう」
男に動揺の色は無かった。
「そうですか。しかし、それはご迷惑というもの。捜査はこちらの勝手。あなたにご迷惑をおかけするのは──」
「いいえ。構いませんよ。あなたのような美しい方と数日でも過ごせるのであれば喜んで。部屋を提供する代わりに、ぜひ客人として食事も共にしていただければ、嬉しい限りです。シン、部屋の準備を」
「…は」
恭しく頭を下げたシンは、部屋を退室していく。ちらとその視線がこちらに投げかけられたのは気のせいか。主人はこちらについと歩み寄り、
「その金糸は生まれつきで? 両親ともに?」
ベッドの端に腰かけた。重みでベッドがきしむ。
「いいえ。両親共に茶色の髪でした。家系にも誰ひとりいません。私は突然変異で生まれたようで──」
「そうですか。そんな不思議な事もあるのですね? どうぞ、滞在中は自分の家だと思って気楽にお過ごしください」
「…有難うございます」
主人の手がふと伸び、ルークスの髪をひと房手に取った。そこへゆったりとした動作で口づけて見せる。身体に緊張が走った。
「光の神子。確かに光の化身の様に美しい…」
ぞくりと、背筋に冷たいものが走った。主人の舐めるような視線に居心地の悪さを覚える。
「ぜひ、お近づきになりたいものだ…」
デセーオは漸く髪から手を放し、部屋を後にした。
+++
去った後、漸くゆっくりと息をつくことができた。
「とんだことになったな…」
デセーオが監視の目を向けているのは分かっている。しかし、彼が闇の神子なのか、そうでないのか、見極める必要があった。
容貌から言えば、闇の神子だ。
昔から黒い髪を持つ者は闇に関わるものに限られていた。本人にその気がなくとも、その色から闇に馴染みやすく、結果、引かれていってしまうらしい。
光の神子とは逆だな。
自分はその容姿の影響で光に引かれていった。
先ほどのシンという男も、そうなのだろうか?
闇の髪を持つ男。それは底知れぬ闇ではなかった。その瞳はとても澄んで見えた。
好感を持った欲目ではなく、確かにそれを感じ取ることができた。
しかし、主人のデセーオからは闇を強く感じる。
例え明確な証拠がなくとも、闇の気配を本能で感じていた。
俺に探らせると言う事は、そう簡単には分からないということだろうが。
その痕跡をたどる必要があった。
「っ…」
と、頬に痛みを感じて、思わず声を漏らす。先ほど崖から落ちた時にできたという、傷が引きつれたのだ。
軽いノックの音がして、再びシンが訪れた。
「部屋の準備ができたので、案内させていた
だきます──」
先ほどより恭しい態度で入室してきたが、ルークスが頬を押さえているのを目にとめて、すぐに駆け寄った。
「ああ、触れてはダメだ。少しまて…」
言うと、手近にあった箱から薬とガーゼを取り出す。軽く薬を添付した後、ガーゼをそっと乗せ、それを落ちないようテープで貼り付けた。
「しばらく痛むだろうが、こうしておけば傷にはならない。…綺麗な顔に痣は作りたくないならな?」
最後は笑って見せた。
「綺麗などではないさ。とっくに汚れている…」
自嘲の笑みを浮かべ、シンの言葉を遮った。
シンは不思議そうな顔をして見せたが、それ以上は口にはせず。
「部屋へ向かう前に彼らはどうしている? 自由にしてくれるのだろう?」
アルドルとケオの様子が心配だった。
「…ああ。大丈夫だ。ここに残る許可が下りたのはあなただけだ。だが、本来であれば残って欲しくはなかった…。もう少し、俺が気を付けていれば」
「面白いな。シン。もしかしたら、君にも害をなすかもしれない俺を、救おうとするのか?」
するとシンはふいと視線を背け。
「主人のおもちゃにされるのを黙って見ていたくはない…」
「おもちゃ、か。だが、そうなる前に退散するつもりだ。とりあえず、彼らに合わせてくれ」
「分かった…。あなたは部屋で待っていてくれ。そこへ二人を連れて行く」
そう言うと、おもむろにルークスの傍らに立って、背中と足裏へ腕を回してきた。抱き上げようと言うのだ。
「シン?」
「まだ身体が痛むはずだ。多少の打撲は残っている。抱えさせてくれ」
確かに僅かに身体が痛む気はするが、さすがにこの歳では気恥ずかしい。
しかし、シンは躊躇うことなく抱き上げ、胸元へ抱える。互いの体温が触れた箇所から伝わり、酷く身近に感じる。なんとも言えず照れくさくなった。
今更、こんなことくらいで。
何を意識しているのだと思うが、それはきっと相手がこのシンだからだろう。
他の誰かだったら気にもとめないはず。まして、ライオに抱き締められた時とも違う。
俺はいったい…。
揺られるシンの腕の中はなぜか居心地が良かった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説

フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

王様の恋
うりぼう
BL
「惚れ薬は手に入るか?」
突然王に言われた一言。
王は惚れ薬を使ってでも手に入れたい人間がいるらしい。
ずっと王を見つめてきた幼馴染の側近と王の話。
※エセ王国
※エセファンタジー
※惚れ薬
※異世界トリップ表現が少しあります
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結

例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…
東間
BL
ゲームの世界に転生した留木原 夜は悪役の役目を全うした…愛した者の手によって殺害される事で……
だが、次目が覚めて鏡を見るとそこには悪役の幼い姿が…?!
ゲームの世界で再び悪役を演じる夜は最後に何を手に?
攻略者したいNO1の悪魔系王子と無自覚天使系悪役公爵のすれ違い小説!
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

代わりでいいから
氷魚彰人
BL
親に裏切られ、一人で生きていこうと決めた青年『護』の隣に引っ越してきたのは強面のおっさん『岩間』だった。
不定期に岩間に晩御飯を誘われるようになり、何時からかそれが護の楽しみとなっていくが……。
ハピエンですがちょっと暗い内容ですので、苦手な方、コメディ系の明るいお話しをお求めの方はお気を付け下さいませ。
他サイトに投稿した「隣のお節介」をタイトルを変え、手直ししたものになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる