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冬の間
いつの間にか
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現在、王城から城下の屋敷に帰る途中の馬車の中です。二人きりなのですけどね。
一応、隣り合って座っているんですが……。
先ほどから髪を弄ばれてますよ。何気なさそうに耳とかうなじとかに触れられるのが、何かの耐久レースかとっ!
理性ががりがり削れています。
意味ありげに笑われるともう、きゅうと魂抜けそうなのです。
「ぐいぐい来ますね……」
その結果、わりとぐったりしてます。
「甘やかしてくれると言っていたが」
「断られたので、その件はなかったことに」
目がすっと細められたのが良くない兆候です。相変わらず、かっこいいのですよね。ドキドキするのは変わりません。
慣れる日がくるんでしょうか。
不意打ちはともかく、あ、キスされるかもと思うとぎゅっと目をつぶってしまうのですよね。
「そろそろ慣れないか?」
困ったなと言いたげですが、あたしも困ってますよ。
「無理ですよ。緊張します」
「慣れるまでする?」
恐ろしいことを言いますね。さすがに表情が引きつりますよ。ものすっごい残念な口調で冗談だとか言わないでください。それ、本音じゃないですか。
軽くこめかみにキスされたので、そのままお返ししました。
「エリックも慣れないじゃないですか」
真っ赤になって口元押さえないでください。あたしも恥ずかしくなってきます。
もっといろいろしているはずなのに、意識するとこんなですからね……。いろんな段階を飛ばしすぎた感は否めません。
「で、どうしたんです? なんか変ですけど」
いつもとちょっと違う気がするんですよね。
やはり、フュリーのせいでしょうか。あの子、やっぱりろくでもないことを言いやがったに違いありません。ティルスも嫌なところ抉るようなところありますからね……。二重に食らったら情緒不安定にもなりますか。
エリックは返答せずにあたしの髪をくるくると指に巻いたりして遊んでいます。言いたくないのか、考えをまとめているのかわかりません。わかりませんが、髪を下ろしているのはやめようと思いましたよ。少しも落ち着けません。
「不釣り合い」
「は?」
「と言われたんだ。まあ、知っていたが改めて言われると不快ではある。その程度だ」
「……わかりました」
絞めときますね? きゅっと。
なんですか、落ち着かせようとするみたいに背中トントンするの。子供じゃないんですからっ!
不満を込めて見上げると思ったより近かったのです。
「言われるままにしておく気もないから、なにもしないように」
「あたしが不満なんですけど」
「なにかしたらさらに何か言われるのは俺だとわかってる?」
「……はぁい」
不承不承ですが、ここは引き下がっておきます。しかし、ですね、聞き捨てならないことを言いましたよ。
「それから、不釣り合いなんてないですからねっ!」
びしっと言ったつもりが笑われました。あっれー?
「まじめに聞いてください」
「もう着いた。また、後日」
ごまかすように言われて腹が立ったので、あたしのほうからキスしてやりましたよっ!
濃ゆいやつを!
悶々とするがよい!
ふんっと鼻息も荒く馬車を降りたあたしを出迎えたリリーさんは目をぱちぱちさせてましたね。
「喧嘩でもした?」
「ささやかな意見の相違です。
なぜ、リリーさんがここに?」
「不安に駆られてかしら。ちゃんと送ってきてね」
リリーさんが御者さんに早く行ってと身振りで示してますね。あー、どっちかがやりすぎないように、ですかね。
あたしはともかく、その気になったエリックを止めるのは一苦労です。眠り姫の時に身に染みました。いつもはちゃんと自制しているだけなんだと。
「それから、爵位の贈与式の予定が立ったからその調整もいると思って。
春先なんだけど、その間までに整えとくこともあるし」
「授与じゃなくて贈与、なんですか」
「そう。親交の証にあげるね、ってやつ。臣下扱いするわけじゃないからこういう言い方するしかないのよね。詳しくは中に入ってから話すわ。
そうそう、大事なことがあるの」
「な、なんです?」
「新年の祝いの席には出てもらうことになっちゃった」
はい?
新年?
「ちょ、ちょっと待ってください。いつの間に年が明けてるんですか!?」
少し冷静に考えればわかったことなんです。
あたしがここに来たのは9月の出来事でした。本日、約95日目、一か月は約30日なので3か月とちょっと。一年は一応12か月と聞いていましたので一年がいつの間にか終わってます。しかも10日くらい過ぎてます!
「誰も言ってないとは思わなかったわ」
そーねー、ゲイルもディレイも全く、興味ないから気がついてもいなかったかもと。リリーさんは頭痛そうに呟いてます。そのうえ、そのあたりの日付って眠り姫が発動したころじゃないですか。余計、誰も言いそうにありませんよ……。
それでも年末年始はバタバタした雰囲気がありそうですが、そういうものを感じなかったと思ったのですが、それには訳があったそうです。
元々年末年始は家族で祝うものだそうです。前後一週間程度、休暇になることも多いですが必ずというわけでもなく。宗教的儀式もないそうです。
普通のお宅でもちょっと豪華な食事を楽しんで、贈り物を用意することもある程度だそうです。カリナさんもローゼもそういえばそうだったという反応なので、特別感はそれほどないみたいですね。
王城でも食事会をこじんまりと催す程度だそうです。こじんまりと言っても王都に滞在中の貴族に大体声をかける食事会なので一般人的にはそれなりの規模に思えますけど。
あたしの件でそれのすべてをキャンセルするか、別のものに切り替えるかしたらしいです。これを聞くと春先にやればよかったんじゃなかろうかと思いますよ。
まあ、リリーさん的には最長二週間くらいのつもりが一か月半くらい使うとは思ってなかったのですって。
さて。年末の一番重要なことはこの一年の書類の締め日ってこと。収穫からの税収概算を出すのがこの年末。年明けから調べられて、春先に追徴課税なり還付なりを行うそうです。
というわけで、一般人にも関係あるといえばあるんですが、お祭りもお祝いという雰囲気よりもっと差し迫った緊迫感はあるそうです。
うわぁ、年度末と年末が重なったやつと遠い目をしましたね……。そこにあたしの申請も突っ込んだんですか。そのうえ、ユウリが申請が遅れるように工作したとあっては殺気立ちもしますね。関係各所にお詫びしていかねばならないでしょうか。
なお、この日付は近隣の国と暦を合わせたんだそうです。国ごとに暦が違うと不都合が出るので。
生活上の一年としての区切りは収穫祭の時のようで、その時は盛大にお祝いしたりするそうです。それが八月末から九月あたり。あたしがこちらに来た頃には既に終わっていたということですね。
王城でもその時には大きな舞踏会を催し、そのあとから貴族も領地に帰るのが普通だそうです。
ただし、今年は帰らないどころか領地に帰っていた貴族さえ出てきています。
そのため、例外的に舞踏会を催すことにしたそうですよ。他人事みたいに言ってますけど、あたしと王家と仲良しなのよとアピールする目的なのだそうです。ついでに爵位の贈与も正式に離されるそうです。
他人事にしたかった……。
この舞踏会の後で皆、領地に戻るようです。逆に言えばちゃんといることを確認しないと不安なのではないかということですね。
そのあたりであたしもフェザーの町に帰る予定です。
護衛は近衛のほうで付けてくれるそうなのでが、人員少なくなっていると言ってましたけど、王族の皆様、大丈夫なのでしょうか。
ちなみにティルスとシュリーは王都に留まるそうです。所属替えを願い出ていると聞きました。
なお、あたしの新しい家は領主館となったそうです。その間、リューさんが引き続き身代わりをしてくださるそうです。セバス、じゃなかったギュンター氏の怒りの深さを思うべきでしょうか。
領主様は絶対、絶対にっ! 近づかないで! という主張をしていると聞きました。そこまで拒否されるとなんか逆に気になってきたんですけど。
……まあ、あたしの自由が確保されているので良いことにしましょう。
というわけで、急ですが、三日後に舞踏会出席が決まっています。そんな話を夕食の席でしていたのです。
もちろん、カリナさんもローゼも巻き添えです。
両名ともえーという顔ですね。舞踏会って乙女のあこがれなんじゃないですかね? 知らないですけど。
カリナさんは断固シスターの正装で行くと言ってますが、難しいのではないでしょうか。外堀埋められますよ。きっと。
ローゼは護衛としてと言いだしてますが、それは不要です。なぜなら、エリックも参加させられてエスコートしてくれることになっているからです。
婚約しているというお披露目もかねてという形ですね。
リリーさんは上機嫌のあたしを見て微妙な顔しています……。
なんかものすごく、かっこよくしてくれるっていうから、即懐柔されたのは仕方ないじゃないですか。本人は嫌そうな顔しそうですけどね。こんなチャンス、この先ある気がしません。
「そ、それで、いつ帰れるんですか?」
「四日後に確定してるわ。そのあとはのんびり馬車で三日ほどかけて帰る感じね。
今年は雪が降るのが遅いから日程が遅れることもないでしょう。雨ももう降らないとライが言っていたし」
「天気予報、恐ろしく正確なんでしたっけ」
「そう。手慰みの趣味とか言っているけど、そんなレベルじゃないわね」
「あ。寒波の予想どうなってるの?」
「それもないだろうって。荒れそうな兆候が、急に消えたって訳知り顔で笑ってたんだけど。あれなにかしら」
リリーさんが首をかしげるということは、妙な表情してたんでしょうね。ライさんからもお手紙もらってましたから、家に帰ったときにでも確認しましょう。
カリナさんも一応、この冬は荒れなさそうと聞いて安心したようです。ひもじいのも寒いのも嫌ですからね……。
「そうそう。明日から、マナーとダンスと美容を磨かなきゃならないからよろしくね」
「え」
綺麗に三重奏になりましたね……。
一応、隣り合って座っているんですが……。
先ほどから髪を弄ばれてますよ。何気なさそうに耳とかうなじとかに触れられるのが、何かの耐久レースかとっ!
理性ががりがり削れています。
意味ありげに笑われるともう、きゅうと魂抜けそうなのです。
「ぐいぐい来ますね……」
その結果、わりとぐったりしてます。
「甘やかしてくれると言っていたが」
「断られたので、その件はなかったことに」
目がすっと細められたのが良くない兆候です。相変わらず、かっこいいのですよね。ドキドキするのは変わりません。
慣れる日がくるんでしょうか。
不意打ちはともかく、あ、キスされるかもと思うとぎゅっと目をつぶってしまうのですよね。
「そろそろ慣れないか?」
困ったなと言いたげですが、あたしも困ってますよ。
「無理ですよ。緊張します」
「慣れるまでする?」
恐ろしいことを言いますね。さすがに表情が引きつりますよ。ものすっごい残念な口調で冗談だとか言わないでください。それ、本音じゃないですか。
軽くこめかみにキスされたので、そのままお返ししました。
「エリックも慣れないじゃないですか」
真っ赤になって口元押さえないでください。あたしも恥ずかしくなってきます。
もっといろいろしているはずなのに、意識するとこんなですからね……。いろんな段階を飛ばしすぎた感は否めません。
「で、どうしたんです? なんか変ですけど」
いつもとちょっと違う気がするんですよね。
やはり、フュリーのせいでしょうか。あの子、やっぱりろくでもないことを言いやがったに違いありません。ティルスも嫌なところ抉るようなところありますからね……。二重に食らったら情緒不安定にもなりますか。
エリックは返答せずにあたしの髪をくるくると指に巻いたりして遊んでいます。言いたくないのか、考えをまとめているのかわかりません。わかりませんが、髪を下ろしているのはやめようと思いましたよ。少しも落ち着けません。
「不釣り合い」
「は?」
「と言われたんだ。まあ、知っていたが改めて言われると不快ではある。その程度だ」
「……わかりました」
絞めときますね? きゅっと。
なんですか、落ち着かせようとするみたいに背中トントンするの。子供じゃないんですからっ!
不満を込めて見上げると思ったより近かったのです。
「言われるままにしておく気もないから、なにもしないように」
「あたしが不満なんですけど」
「なにかしたらさらに何か言われるのは俺だとわかってる?」
「……はぁい」
不承不承ですが、ここは引き下がっておきます。しかし、ですね、聞き捨てならないことを言いましたよ。
「それから、不釣り合いなんてないですからねっ!」
びしっと言ったつもりが笑われました。あっれー?
「まじめに聞いてください」
「もう着いた。また、後日」
ごまかすように言われて腹が立ったので、あたしのほうからキスしてやりましたよっ!
濃ゆいやつを!
悶々とするがよい!
ふんっと鼻息も荒く馬車を降りたあたしを出迎えたリリーさんは目をぱちぱちさせてましたね。
「喧嘩でもした?」
「ささやかな意見の相違です。
なぜ、リリーさんがここに?」
「不安に駆られてかしら。ちゃんと送ってきてね」
リリーさんが御者さんに早く行ってと身振りで示してますね。あー、どっちかがやりすぎないように、ですかね。
あたしはともかく、その気になったエリックを止めるのは一苦労です。眠り姫の時に身に染みました。いつもはちゃんと自制しているだけなんだと。
「それから、爵位の贈与式の予定が立ったからその調整もいると思って。
春先なんだけど、その間までに整えとくこともあるし」
「授与じゃなくて贈与、なんですか」
「そう。親交の証にあげるね、ってやつ。臣下扱いするわけじゃないからこういう言い方するしかないのよね。詳しくは中に入ってから話すわ。
そうそう、大事なことがあるの」
「な、なんです?」
「新年の祝いの席には出てもらうことになっちゃった」
はい?
新年?
「ちょ、ちょっと待ってください。いつの間に年が明けてるんですか!?」
少し冷静に考えればわかったことなんです。
あたしがここに来たのは9月の出来事でした。本日、約95日目、一か月は約30日なので3か月とちょっと。一年は一応12か月と聞いていましたので一年がいつの間にか終わってます。しかも10日くらい過ぎてます!
「誰も言ってないとは思わなかったわ」
そーねー、ゲイルもディレイも全く、興味ないから気がついてもいなかったかもと。リリーさんは頭痛そうに呟いてます。そのうえ、そのあたりの日付って眠り姫が発動したころじゃないですか。余計、誰も言いそうにありませんよ……。
それでも年末年始はバタバタした雰囲気がありそうですが、そういうものを感じなかったと思ったのですが、それには訳があったそうです。
元々年末年始は家族で祝うものだそうです。前後一週間程度、休暇になることも多いですが必ずというわけでもなく。宗教的儀式もないそうです。
普通のお宅でもちょっと豪華な食事を楽しんで、贈り物を用意することもある程度だそうです。カリナさんもローゼもそういえばそうだったという反応なので、特別感はそれほどないみたいですね。
王城でも食事会をこじんまりと催す程度だそうです。こじんまりと言っても王都に滞在中の貴族に大体声をかける食事会なので一般人的にはそれなりの規模に思えますけど。
あたしの件でそれのすべてをキャンセルするか、別のものに切り替えるかしたらしいです。これを聞くと春先にやればよかったんじゃなかろうかと思いますよ。
まあ、リリーさん的には最長二週間くらいのつもりが一か月半くらい使うとは思ってなかったのですって。
さて。年末の一番重要なことはこの一年の書類の締め日ってこと。収穫からの税収概算を出すのがこの年末。年明けから調べられて、春先に追徴課税なり還付なりを行うそうです。
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うわぁ、年度末と年末が重なったやつと遠い目をしましたね……。そこにあたしの申請も突っ込んだんですか。そのうえ、ユウリが申請が遅れるように工作したとあっては殺気立ちもしますね。関係各所にお詫びしていかねばならないでしょうか。
なお、この日付は近隣の国と暦を合わせたんだそうです。国ごとに暦が違うと不都合が出るので。
生活上の一年としての区切りは収穫祭の時のようで、その時は盛大にお祝いしたりするそうです。それが八月末から九月あたり。あたしがこちらに来た頃には既に終わっていたということですね。
王城でもその時には大きな舞踏会を催し、そのあとから貴族も領地に帰るのが普通だそうです。
ただし、今年は帰らないどころか領地に帰っていた貴族さえ出てきています。
そのため、例外的に舞踏会を催すことにしたそうですよ。他人事みたいに言ってますけど、あたしと王家と仲良しなのよとアピールする目的なのだそうです。ついでに爵位の贈与も正式に離されるそうです。
他人事にしたかった……。
この舞踏会の後で皆、領地に戻るようです。逆に言えばちゃんといることを確認しないと不安なのではないかということですね。
そのあたりであたしもフェザーの町に帰る予定です。
護衛は近衛のほうで付けてくれるそうなのでが、人員少なくなっていると言ってましたけど、王族の皆様、大丈夫なのでしょうか。
ちなみにティルスとシュリーは王都に留まるそうです。所属替えを願い出ていると聞きました。
なお、あたしの新しい家は領主館となったそうです。その間、リューさんが引き続き身代わりをしてくださるそうです。セバス、じゃなかったギュンター氏の怒りの深さを思うべきでしょうか。
領主様は絶対、絶対にっ! 近づかないで! という主張をしていると聞きました。そこまで拒否されるとなんか逆に気になってきたんですけど。
……まあ、あたしの自由が確保されているので良いことにしましょう。
というわけで、急ですが、三日後に舞踏会出席が決まっています。そんな話を夕食の席でしていたのです。
もちろん、カリナさんもローゼも巻き添えです。
両名ともえーという顔ですね。舞踏会って乙女のあこがれなんじゃないですかね? 知らないですけど。
カリナさんは断固シスターの正装で行くと言ってますが、難しいのではないでしょうか。外堀埋められますよ。きっと。
ローゼは護衛としてと言いだしてますが、それは不要です。なぜなら、エリックも参加させられてエスコートしてくれることになっているからです。
婚約しているというお披露目もかねてという形ですね。
リリーさんは上機嫌のあたしを見て微妙な顔しています……。
なんかものすごく、かっこよくしてくれるっていうから、即懐柔されたのは仕方ないじゃないですか。本人は嫌そうな顔しそうですけどね。こんなチャンス、この先ある気がしません。
「そ、それで、いつ帰れるんですか?」
「四日後に確定してるわ。そのあとはのんびり馬車で三日ほどかけて帰る感じね。
今年は雪が降るのが遅いから日程が遅れることもないでしょう。雨ももう降らないとライが言っていたし」
「天気予報、恐ろしく正確なんでしたっけ」
「そう。手慰みの趣味とか言っているけど、そんなレベルじゃないわね」
「あ。寒波の予想どうなってるの?」
「それもないだろうって。荒れそうな兆候が、急に消えたって訳知り顔で笑ってたんだけど。あれなにかしら」
リリーさんが首をかしげるということは、妙な表情してたんでしょうね。ライさんからもお手紙もらってましたから、家に帰ったときにでも確認しましょう。
カリナさんも一応、この冬は荒れなさそうと聞いて安心したようです。ひもじいのも寒いのも嫌ですからね……。
「そうそう。明日から、マナーとダンスと美容を磨かなきゃならないからよろしくね」
「え」
綺麗に三重奏になりましたね……。
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