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冬の間
望みは叶いましたか? 2
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「え。そっちほっといていいの?」
ユウリが大変困惑しているようですが、そこは強引に進めます。ええ、突っ込まれたくない何かがあると気がつかれているでしょうけど、今ここで話したくはありません。
推しがどうとかなんてっ!
「あとで話をするので大丈夫です。
あたしが覚えている家の名前がほとんどないので、勢力図がどう変わったのかわかりません」
強引に流していきますよ。……あとでがちょっと怖かったりしますけど。
ユウリは納得いかない顔のままにかいつまんで説明を始めました。
戦後処理の一環といったところでしょうか。物資が滞ったり、中抜きされたり、言いがかりをつけられたりと色々あったそうで。あと戦力を出さなかったりだとか。
恩を売って、今後の発言権をあげようとしているところなども叩いてまして。
控えめに言って、大改革してます。このごたごたを機会にと思ったとは言え、よく決断したものです。
「ものすっごい恨まれそうなんですけど、大丈夫なんですか?」
「法の下に平等に処理しただけだよ。王家としても手を焼いていた連中ってことでスムーズに処理できた。このほとんどが、ジェルシア王子とウェスリア王子の手柄になっているから、そっちでなんとかするんじゃない?」
「カリナさんに好意的なのってどっちの王子でしたっけ?」
「え? 暗いほうの金髪ってどっちだっけ?」
「ウェスリア王子のほうだったはず。シスター口説いてんの? 来訪者ほっといて?」
「みたいよ。自分もてこずる妹たちをいなして、しつけているのがすごいと」
……なにしてたんでしょうね? 子供の相手はお手の物とはいえ、王家のお姫様相手ですよ。カリナさん。
教育係就任待ったなしです……。
わりとお転婆なお姫様方でしたからね。ちょっと、あたし偉いんだから、あたしの言うことききなさいよっ! という傾向が出ていたのでよくないかもとは思ってましたけど。
可愛いと見逃しちゃいけませんね。
「どちらかが後継者として指名される予定とかなんとか。王子様とはどうしてるわけ?」
「普通に文通してます。大変有意義です」
こちらの世界の常識的なことを聞く相手としてはどうなのかと思いますけどね。なにせ周りが一般的と離れている人々ばかりなので。一般人であるカリナさんも修道院育ちなので微妙に知識や認識が偏ってますし。
誰かあたしに本当の一般市民を紹介してくれないでしょうか。
「それが一番賢かったんだよな。というわけで、どの程度で清算してくれるわけ?」
「まだ、なにかあるんじゃないですか?」
ユウリがぎくっとしたように一瞬、表情がこわばったのが見えました。
なにか、まずいものがもっとあると。
「ディレイにお願いがあるんですけど」
ちらっと隣を見上げます。片眉を上げて、またなにか面倒なことをいいだしたぞと言いたげです。
間違ってはいません。
「お膝に乗っていいですか?」
硬直されました。
いやぁ、ものの見事に固まりましたね。いままでこんなおねだり、人前どころか二人きりでも言ったことがありません。
それをほっといて、エリックの膝の上にお邪魔しました。
こんな時にする気はなかったんですけどね。
「気になってたんですよ。
どうしてこんなに帰れないのかって」
「いろんな都合があるんじゃないのか」
「ええ、ありましたね。こんなにいっぱい処理するのって、結構時間かかったと思うんです。いつまでたっても、申請が通らない、不備があると放置されていたのはなぜかって答えになると思うんですけど」
どこかの貴族の横やりかとか、圧かと思ってたんですよ。リリーさんもそう考えていたほどに状況はそろっていたのでしょう。
それにしてはタイミングがどうにも怪しいんです。
眠り姫を使った夜会でのことは急に決まって、焦った人たちがあたしに詰め寄った、と考えるほうがしっくりきます。
「最初からすぐに帰すつもりなかったでしょう?」
まあ、これはかまをかけたに過ぎないんですけどね。
事実だったら、すっごい怒る人がいるのですぐ動けないようにしておいたんですけど。ついでに両手も抱えておきましょう。指先までがっちり絡めて、これで少しは安心できます。
傍目にはいちゃついているようにしか見えないでしょうけど。
これ一応、気を使ってるんですからね。この部屋が破壊されないように。
「……いやぁそのぅ。ごめん」
ユウリはごまかそうとして諦めました。え? と言いたげにローゼが見るのは仕方ないと思います。わりと駄々洩れなので計画があっても話さないでしょうし。
ただ、フィラセントがえ? と言いたげに二度見したのが気になります。
まさかの独断ですか。
「陛下と相談してね。その、後継者の指名だのなんだの色々あって。じゃあって」
「……そうか」
大変冷ややかな声が近くから聞こえてきました。あ、これはまずいですね。
自業自得とは言え、もめごと起こしたらこっちが悪いってことになりそうなので別な方法で解消したいんですよ。
このうっぷんを。
「悪かったとは思ってるよ。言ったら協力してくれないだろ。ディレイが!」
でしょうね……。罠用の餌をしろなんて、許容しないでしょう。エリックが。
あたしですか? ものすっごい恩を売ってやりますよ。仕方ないなと態度で示しながら、のりのりでやるでしょうね。
調子に乗って策士策に溺れる状態になりそうですけど。
「当たり前だ。異界から来たばかりの人間になにをやらせようとしている」
「ほら」
ユウリが反省の色なしなので、殺気立っているのがわかって怖いんですけど……。
周りのほうがひやひやしますよね。
「過ぎたことなので、それについては貸しとしておきます。
陛下にもよくお伝えください。今後、きちんと取り立てていきますので」
にこりと笑ってお伝えしておきます。一応、あたしが処理すると明言しておけばなにかすることはないと、信じてますよ!
「ユウリ、あとで話がある」
「僕はないよっ! もう、とっとと連れ帰って!」
「話は終わってませんけど?」
「へ?」
「次行きましょ。次。
ティルスとシュリーをつけるように仕向けたのはなぜですか?」
「えー、どうして僕が」
「というかですね。なにか、吹き込んでません? あたし、全く、興味ある素振りしてないのに勝手に好感度あがってるのおかしいんです」
「……そうだなぁ。知っているか聞かれたからある程度は答えたかな。
料理が上手とか、笑顔が可愛いとか、好意には好意を返すタイプとか。そんな感じ? あと付けたのは陛下。まだマシと虚ろな表情で了承してたなぁ」
遠い目をしてユウリは言っていますが。おそらくですね、ユウリが、いい子だよとか言ったんじゃないかと。
ユウリが認めるくらいなら、と底上げがあったんだと思うのです。
なんだかんだ言いながら、あの二人、ユウリのことは認めてますから。
背後からの殺気を感じますけどね。何もさせませんよ。ユウリと揉めたって百害あって一利なし。エリックにはあとで念入りにご機嫌取りしないといけませんね。甘やかして、ご機嫌とってなんて忙しいですよ。
「望みは叶いましたか?」
「半分くらい」
「それは良かったですね。じゃあ、あたしの望みもかなえてもらいましょう」
大したことじゃないですよ。
ユウリがすごい怯えてますけどね? でも、しばらく打ち震えておくがよいと思うくらいには立腹中なのです。
「まずは、ローゼさんの希望を盛り込んだ結婚式してください。一回しかしないのに政治的思惑まみれなんてのはダメです」
「へ?」
「だいたい、乙女の夢をなんだと思ってるんです? いっつも仕方ないと言ってくれるからっていつまでも捨てられないと思わないでくださいね? 必要であれば、しばらく別居していただきます」
「え、ちょ、ちょっとアーテルっ!」
「では、あとは後々、希望リストを出しておきますので。
ディレイもわがまま言っていいですよ。今までの分のツケを払っていただきましょう!」
なんだか楽しくなってきましたね!
ローゼがあっけにとられた表情からうつむいて肩を揺らしています。絶対、笑ってます。
呆れたようなため息が近くから聞こえてきて。
「春まで動かないこと。少なくとも俺は付き合わない」
「あたしも嫌ですよ。引きこもりますので。絶対、引きこもりますので」
「僕も結婚式の準備だので動けないよ。絶縁とかじゃないの?」
恐る恐る聞いてくるあたり、最悪としての予想はしていたようですね。
絶縁も考えたんですけどね。あんまり利がないといいますか。どうせならユウリの罪悪感を利用して少しばかり甘い対応をしてほしいんですよ。
実はエリックの故郷帰ったら死亡フラグ折れてないので……。そのうえ、悪役フラグがちょいちょい立つので国家の英雄は味方でいてほしいと打算的な考えが主です。ツイ様にも警告されちゃいましたよ。
あの故郷になにがあるというのか……。本格的に調べる必要はありそうです。しかも本人に隠して。
絶対なんかありますよ。本人が知らないこと。もういっそ特別な血統とかあったりしません? そっちのほうがわかりやすいです。
まあ、その話は、ユウリと個人的にやりとしたいので後ほど。おそらくは書面でのやり取りになるでしょうね。他にも今振り返ると気になるところがちらほらあるんですよ。
でも、今は。
「次からは相談してください」
そういう話でおしまいにしましょう。
「……ところでなんで膝に乗ったわけ?」
さっさとユウリの膝から降りたローゼを未練がましそうに見ながら言われました。ローゼの顔が赤いですよっ! 盛大に照れてます。わざとらしく遠くに離れていくところなんてにやにやしそうです。後々の人間関係に影響しそうなので、普通の顔してますけど。
きっとなにかは漏れてますねっ!
……って、それを堪能している場合ではなかったですね。きっちり釘は刺しておいたほうがいいでしょう。
「部屋の危機の回避です。
ユウリは別にいいんですけど、せっかく綺麗に作られた部屋と家具なのに使えなくなるのはもったいないなぁって」
その意味を理解してユウリが絶句してましたね。
色々想定していたようですけど、エリックの殺意の高さについては見込みが甘かったようですよ。付き合いあるなら彼の扱う魔法の危険性も把握していたと思いたいんですけどね。簡単な牽制とかに向いてないんですよ。脅しとか。
エリックがよくわかったなとぼそっと呟いていたので、間違いはなかったようです。
魔法を使うにはある程度の平常心が必要で、発動を阻害するのはこれが一番簡単だったんですよね。
平気そうな顔してましたけど、そわそわしてたの感じてましたよ。
あたしですか? 役得~! とフィーバーしてましたけどなにか。
ユウリが大変困惑しているようですが、そこは強引に進めます。ええ、突っ込まれたくない何かがあると気がつかれているでしょうけど、今ここで話したくはありません。
推しがどうとかなんてっ!
「あとで話をするので大丈夫です。
あたしが覚えている家の名前がほとんどないので、勢力図がどう変わったのかわかりません」
強引に流していきますよ。……あとでがちょっと怖かったりしますけど。
ユウリは納得いかない顔のままにかいつまんで説明を始めました。
戦後処理の一環といったところでしょうか。物資が滞ったり、中抜きされたり、言いがかりをつけられたりと色々あったそうで。あと戦力を出さなかったりだとか。
恩を売って、今後の発言権をあげようとしているところなども叩いてまして。
控えめに言って、大改革してます。このごたごたを機会にと思ったとは言え、よく決断したものです。
「ものすっごい恨まれそうなんですけど、大丈夫なんですか?」
「法の下に平等に処理しただけだよ。王家としても手を焼いていた連中ってことでスムーズに処理できた。このほとんどが、ジェルシア王子とウェスリア王子の手柄になっているから、そっちでなんとかするんじゃない?」
「カリナさんに好意的なのってどっちの王子でしたっけ?」
「え? 暗いほうの金髪ってどっちだっけ?」
「ウェスリア王子のほうだったはず。シスター口説いてんの? 来訪者ほっといて?」
「みたいよ。自分もてこずる妹たちをいなして、しつけているのがすごいと」
……なにしてたんでしょうね? 子供の相手はお手の物とはいえ、王家のお姫様相手ですよ。カリナさん。
教育係就任待ったなしです……。
わりとお転婆なお姫様方でしたからね。ちょっと、あたし偉いんだから、あたしの言うことききなさいよっ! という傾向が出ていたのでよくないかもとは思ってましたけど。
可愛いと見逃しちゃいけませんね。
「どちらかが後継者として指名される予定とかなんとか。王子様とはどうしてるわけ?」
「普通に文通してます。大変有意義です」
こちらの世界の常識的なことを聞く相手としてはどうなのかと思いますけどね。なにせ周りが一般的と離れている人々ばかりなので。一般人であるカリナさんも修道院育ちなので微妙に知識や認識が偏ってますし。
誰かあたしに本当の一般市民を紹介してくれないでしょうか。
「それが一番賢かったんだよな。というわけで、どの程度で清算してくれるわけ?」
「まだ、なにかあるんじゃないですか?」
ユウリがぎくっとしたように一瞬、表情がこわばったのが見えました。
なにか、まずいものがもっとあると。
「ディレイにお願いがあるんですけど」
ちらっと隣を見上げます。片眉を上げて、またなにか面倒なことをいいだしたぞと言いたげです。
間違ってはいません。
「お膝に乗っていいですか?」
硬直されました。
いやぁ、ものの見事に固まりましたね。いままでこんなおねだり、人前どころか二人きりでも言ったことがありません。
それをほっといて、エリックの膝の上にお邪魔しました。
こんな時にする気はなかったんですけどね。
「気になってたんですよ。
どうしてこんなに帰れないのかって」
「いろんな都合があるんじゃないのか」
「ええ、ありましたね。こんなにいっぱい処理するのって、結構時間かかったと思うんです。いつまでたっても、申請が通らない、不備があると放置されていたのはなぜかって答えになると思うんですけど」
どこかの貴族の横やりかとか、圧かと思ってたんですよ。リリーさんもそう考えていたほどに状況はそろっていたのでしょう。
それにしてはタイミングがどうにも怪しいんです。
眠り姫を使った夜会でのことは急に決まって、焦った人たちがあたしに詰め寄った、と考えるほうがしっくりきます。
「最初からすぐに帰すつもりなかったでしょう?」
まあ、これはかまをかけたに過ぎないんですけどね。
事実だったら、すっごい怒る人がいるのですぐ動けないようにしておいたんですけど。ついでに両手も抱えておきましょう。指先までがっちり絡めて、これで少しは安心できます。
傍目にはいちゃついているようにしか見えないでしょうけど。
これ一応、気を使ってるんですからね。この部屋が破壊されないように。
「……いやぁそのぅ。ごめん」
ユウリはごまかそうとして諦めました。え? と言いたげにローゼが見るのは仕方ないと思います。わりと駄々洩れなので計画があっても話さないでしょうし。
ただ、フィラセントがえ? と言いたげに二度見したのが気になります。
まさかの独断ですか。
「陛下と相談してね。その、後継者の指名だのなんだの色々あって。じゃあって」
「……そうか」
大変冷ややかな声が近くから聞こえてきました。あ、これはまずいですね。
自業自得とは言え、もめごと起こしたらこっちが悪いってことになりそうなので別な方法で解消したいんですよ。
このうっぷんを。
「悪かったとは思ってるよ。言ったら協力してくれないだろ。ディレイが!」
でしょうね……。罠用の餌をしろなんて、許容しないでしょう。エリックが。
あたしですか? ものすっごい恩を売ってやりますよ。仕方ないなと態度で示しながら、のりのりでやるでしょうね。
調子に乗って策士策に溺れる状態になりそうですけど。
「当たり前だ。異界から来たばかりの人間になにをやらせようとしている」
「ほら」
ユウリが反省の色なしなので、殺気立っているのがわかって怖いんですけど……。
周りのほうがひやひやしますよね。
「過ぎたことなので、それについては貸しとしておきます。
陛下にもよくお伝えください。今後、きちんと取り立てていきますので」
にこりと笑ってお伝えしておきます。一応、あたしが処理すると明言しておけばなにかすることはないと、信じてますよ!
「ユウリ、あとで話がある」
「僕はないよっ! もう、とっとと連れ帰って!」
「話は終わってませんけど?」
「へ?」
「次行きましょ。次。
ティルスとシュリーをつけるように仕向けたのはなぜですか?」
「えー、どうして僕が」
「というかですね。なにか、吹き込んでません? あたし、全く、興味ある素振りしてないのに勝手に好感度あがってるのおかしいんです」
「……そうだなぁ。知っているか聞かれたからある程度は答えたかな。
料理が上手とか、笑顔が可愛いとか、好意には好意を返すタイプとか。そんな感じ? あと付けたのは陛下。まだマシと虚ろな表情で了承してたなぁ」
遠い目をしてユウリは言っていますが。おそらくですね、ユウリが、いい子だよとか言ったんじゃないかと。
ユウリが認めるくらいなら、と底上げがあったんだと思うのです。
なんだかんだ言いながら、あの二人、ユウリのことは認めてますから。
背後からの殺気を感じますけどね。何もさせませんよ。ユウリと揉めたって百害あって一利なし。エリックにはあとで念入りにご機嫌取りしないといけませんね。甘やかして、ご機嫌とってなんて忙しいですよ。
「望みは叶いましたか?」
「半分くらい」
「それは良かったですね。じゃあ、あたしの望みもかなえてもらいましょう」
大したことじゃないですよ。
ユウリがすごい怯えてますけどね? でも、しばらく打ち震えておくがよいと思うくらいには立腹中なのです。
「まずは、ローゼさんの希望を盛り込んだ結婚式してください。一回しかしないのに政治的思惑まみれなんてのはダメです」
「へ?」
「だいたい、乙女の夢をなんだと思ってるんです? いっつも仕方ないと言ってくれるからっていつまでも捨てられないと思わないでくださいね? 必要であれば、しばらく別居していただきます」
「え、ちょ、ちょっとアーテルっ!」
「では、あとは後々、希望リストを出しておきますので。
ディレイもわがまま言っていいですよ。今までの分のツケを払っていただきましょう!」
なんだか楽しくなってきましたね!
ローゼがあっけにとられた表情からうつむいて肩を揺らしています。絶対、笑ってます。
呆れたようなため息が近くから聞こえてきて。
「春まで動かないこと。少なくとも俺は付き合わない」
「あたしも嫌ですよ。引きこもりますので。絶対、引きこもりますので」
「僕も結婚式の準備だので動けないよ。絶縁とかじゃないの?」
恐る恐る聞いてくるあたり、最悪としての予想はしていたようですね。
絶縁も考えたんですけどね。あんまり利がないといいますか。どうせならユウリの罪悪感を利用して少しばかり甘い対応をしてほしいんですよ。
実はエリックの故郷帰ったら死亡フラグ折れてないので……。そのうえ、悪役フラグがちょいちょい立つので国家の英雄は味方でいてほしいと打算的な考えが主です。ツイ様にも警告されちゃいましたよ。
あの故郷になにがあるというのか……。本格的に調べる必要はありそうです。しかも本人に隠して。
絶対なんかありますよ。本人が知らないこと。もういっそ特別な血統とかあったりしません? そっちのほうがわかりやすいです。
まあ、その話は、ユウリと個人的にやりとしたいので後ほど。おそらくは書面でのやり取りになるでしょうね。他にも今振り返ると気になるところがちらほらあるんですよ。
でも、今は。
「次からは相談してください」
そういう話でおしまいにしましょう。
「……ところでなんで膝に乗ったわけ?」
さっさとユウリの膝から降りたローゼを未練がましそうに見ながら言われました。ローゼの顔が赤いですよっ! 盛大に照れてます。わざとらしく遠くに離れていくところなんてにやにやしそうです。後々の人間関係に影響しそうなので、普通の顔してますけど。
きっとなにかは漏れてますねっ!
……って、それを堪能している場合ではなかったですね。きっちり釘は刺しておいたほうがいいでしょう。
「部屋の危機の回避です。
ユウリは別にいいんですけど、せっかく綺麗に作られた部屋と家具なのに使えなくなるのはもったいないなぁって」
その意味を理解してユウリが絶句してましたね。
色々想定していたようですけど、エリックの殺意の高さについては見込みが甘かったようですよ。付き合いあるなら彼の扱う魔法の危険性も把握していたと思いたいんですけどね。簡単な牽制とかに向いてないんですよ。脅しとか。
エリックがよくわかったなとぼそっと呟いていたので、間違いはなかったようです。
魔法を使うにはある程度の平常心が必要で、発動を阻害するのはこれが一番簡単だったんですよね。
平気そうな顔してましたけど、そわそわしてたの感じてましたよ。
あたしですか? 役得~! とフィーバーしてましたけどなにか。
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