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聖女と魔王と魔女編
魔女は口説く3
しおりを挟む「……嫌われているのでは?」
と思うくらいに避けられ始めた。知性のある魔物たちもおかしいと言い出すくらいだ。
主に面白がるように。
この何百年もしていない行動を取らせる魔女はすごいと尊敬の目を向けられても。
こいつらが賢くなくて良かった。
あまり賢い個体はいない。近くの国を滅ぼされても困ると一定以上の知力は与えていないと言っていた。
ただし、まれに手に負えない個体が出るらしいが今のところいない。
「外に出てくるか」
余裕がある気はしないが、煮詰まるのも仕方ない。本当は、なにも変わらずいるつもりだったことにムリをしている。
恋愛は人のを傍観しているのが一番楽しい。
そういえば、ヴァージニアの兄弟は既婚であったと思い出した。兄のほうは好戦的と聞いたので、弟のほうがいいだろう。
あの兄妹に負けて印象の薄い弟だったが、きっと似た顔なのでよくわかるはずだ。
そう思って押しかけて会ってみたら、あの兄妹の弟だけあって一筋縄ではいかなかった。
相談を受けたから報酬というからなにかと思えば。
「……しかし、本人聞いたら怒るぞ」
姉には友達が少ないので、出来ればずっとお友達していてほしいなんて。喧嘩するかもよ? と言えば、あ、そういうの平気な人なのでぜひ、殴り合うくらいの仲にどうぞ。と言われて、微妙な表情になるしかなかった。
おそらく、本人(フィンレー)以外はそれは友達とは言わないのでは? と思ったのだろう。微妙な沈黙があった。
あれ? 兄様とローガンはそんな感じで親友らしいですよ? というから、きっと環境が悪い。
その場にいためんどくさい男につい、この子の情操教育したほうがいいと思うなどとつい言いだしてしまうくらいだ。
神妙に善処しますと言いだしていたので、思うところはあったのだろう。
弟(フィンレー)だけがきょとんとしていた。
「しかしまあ、ひどいお友達だな」
人に魔王を口説くよう仕向けて、その隙になにか企むなんて。他に目を向ける余裕なんてなくして、なにをしたかったのか。
とりあえずは、状況をもう一度考えてみようと居城に戻ってみたら、久しぶりに魔王様が現れた。
元の大きな姿で、眉間にしわ寄せている。
「……あれ? 陛下?」
「フィーリアは」
「は?」
名前で呼ばれるのはとても珍しい。え? なに? と思う間もなく爆弾発言が投下された。
「俺をどういう意味で好きなんだ?」
真っ白になった。
返答する前に、逃亡していた。
「……あれ?」
あれって千載一遇のチャンスだったのでは?
魔王の居城の屋根の上で私は頭を抱えた。
「なんで、逃げるんだ」
「ひゃうっ」
今度は自分のほうが逃げ回る羽目になるとはおもわなった。
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