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おうちにかえりたい編

閑話 魔女と魔法使い

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 え、なに、あの小娘に名前を呼ばせて、自分に呼ばせないのは納得がいかんと?

 呼ぶほど親しいかな。ねぇ、で事足りるじゃない。

 いやいや冗談ですって。以前の娘さんたちに悪い気がして名前はご遠慮いただきたいんですよ。

 わたしの前だって名前はありましたよ。お目覚めは最近だから、覚えていないかも知れないですけどね。

 並々ならぬ思いを初代から引き継いでおりますので、覚悟して欲しいところではありますが。

 お話はこれだけですか。
 おやすみなさい。

 ナイトキャップがずれてますよ。よいしょっと。
 真っ赤になって逃げていくなんて妙に純情なんですよね。可愛いって言うか。


 さて、連絡しないとですね。

 あ、紅蓮の、今良いですか?

 うちの子が可愛すぎるとか見せてこなくて良いですから。子供寝かしなさい。奥さんどうしたんです?
 え、実家に帰られた。

 子供は置いてったんですか? そうですか。
 ようやく会いましたよ。一度、連絡前にあっておいて良かったです。
 いきなり滅せられることもなく穏便に済ましたのでご安心ください?

 あー、ローブ食われているのでどうにかした方良くないですか。
 いつものこと……。子供って大変なんですね。先代の苦労を思い出しました。

 しかし、紅蓮の、が、今や国守の魔法使いとは。連絡来てびっくりしましたよ。
 俺の嫁が可愛すぎるとか言い出すの天変地異が起こるかと。
 ちょいと物騒すぎる気もしますが、エルナの王族ならあれでも可愛いもんですかね。

 そっちに似たようなの十人以上いるんでしょう? 行きたくないわー。
 身内には甘いから大丈夫って、ちゃんと数に入ってるのかしら。
 利用出来るアイテム扱いされてない?

 あー、落ち込んだ顔しないでちょうだい。いじめたいってわけでも無いんだから。

 ええとなんの話だったかな。
 そうそう。最悪のときに保護して抵抗されない程度の顔見知りにはなったよ。
 その先ってのは、お互いの合意でやるべきだと思うんだ。

 なんでも先回りして、手出しするものではないでしょう?

 家族が心配ってのはわからなくもないけどね。私には家族がないから想像でしかないけど。

 なによ。その顔。
 ああ、紅蓮の、もそっち側だものね。あー、押し倒せばよいのかしら。

 ……。

 聞かなかった。
 そうよ。聞かなかったの。

 それでなんの話だっけ。

 ヴァージニアの命は保証してあげる。それ以外は、今後を見てかな。
 これでも過保護と思うんだけどね。

 信用したら?

 ああ、奥さんたちが出て行くって言ってるって……。
 確か、一人はまだ身重だったわよね?
 次は男の子って嬉しそうね。ああ、男一人でちょっと肩身が狭かった……。魔法使いにそんな思いさせるってすごいわね。

 で、黙ってろって言うから黙ってるけど、ばれたら怒られると思うのよね。私が。

 そのときは助けてくれるんでしょうね?

 逃げ腰って嫌な話ね。まあ、良いわ。気に入ったのは確かだもの。

 それで貴方の義兄の方はどうなの? 噂でしか知らないんだけど、兄様、大好きっていう妹を見ていると不安にしかならないんだけど。
 え、みんな兄弟に対して過剰な愛情があるから困るって? 一人だけじゃないの。そうなの……。

 そんな兄弟を押さえて、経済制裁開始しているって……。好戦的なのかなんなのかわからないわね。

 誰が行くかで揉めているって、人の国に王族が乗り込んでくるってかなりの事よ? 使者から始めなさいな。っていうかその程度わかっているわよね。
 使者の中に誰が紛れ込むかって言う話でしょ。

 末妹だけは大人しくして欲しいって酔っぱらってこぼしてたわね。覚えてないでしょうけど。

 11才ってそんなに危ないお年頃なの?

 ……そう。母親代わりみたいなもの、ね。
 先代が同じ目に遭ったら、生きていることを後悔させてやりたいからわかるわ。

 恐れおののくって、貴方の娘、そうよ。その子が同じ目にあったらどうするの?

 わかってくれて嬉しいわ。

 問題は、どんなものに手を出したかわかっていない人たちなんだけど。自分のことは自分で始末をつけるとか言うから手出ししないのよ?
 ちゃんと警告したからね。

 で、闇のほうは?

 こっちは光の領地だから、あまり派手にはやらないと思うけど。

 ……教会なかったから、把握が遅れて激オコ。
 結婚? いいんじゃない? なんの祝福してやろうか、からの、この状況だから落差が激しいと。

 ご近所の兄ちゃんじゃないんだから、そんな気軽に祝福用意しないで欲しい。と。

 でも、あの子、何か持っているわよね? 闇の気配があったから。

 二日酔いしない加護。

 なにそれ羨ましい。

 肝臓は守ってくれない。そう。どっちも守ってくれる素敵な神は酒の神くらいかしら。飲んだくれていると時々、やってくるのよね。暇なのかしら。

 嫁にしようとしているとかやだな冗談、え、マジ? いやいやないわー。
 そう言って一ダースくどいてんでしょ?
 そうそう。隙あれば嫁を増やすとか意味がわかんない。

 ……だから、端々にのろけを差し込むのやめなさいって。

 だから他のヤツと話すの嫌なのよ。

 ああ、お互い様でしょ。

 定期連絡はいれないわ。そっちはそっち、こっちはこっちでやる方がいいでしょ?

 じゃ、元気かどうかくらいは連絡してあげるから、ちゃんとお城に行くのよ。ほら、もう寝てるじゃない。
 はいはい。
 可愛いわね。ほんっとに。

 じゃあ、またね。

 はぁ。男親ってめんどくさい。

 ……それで、盗み聞きした魔王様はいかがお考えで?

 怒ってる? ええ、もちろん。
 寝てくださいね。仕事が増えるんです。
 あのうるさいサルとめんどくさい狼連中をしめてくる仕事が増えるんです。
 同じ種類ばっかり増えるってどういう事ですかね。

 滅するのも疲れるし、微妙に自我があるから心がそげるんですよ。あたしも一応、感情ってものがありますからね。

 ええ、反省してください。

 添い寝して上げるので、早くねて……。逃げていくってどういう意味なんですかね。


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