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『ランタドール』
しおりを挟む天窓のあるリビングにラグを敷いて
ただそこに横になってみる
暖炉の猫が
置いておいたミルクを舐めている
その音と時計の秒針だけが
ごく静かに音を立てて彩る。
雨が降って、風が吹いている。
全く晴れない霧の壁を遠くに
トビウオなりクラゲなりの幻想が
おおよそ有り得ない飛び方で
悠々と空を泳いでいる
シャラシャラ鳴るような
パラフィン紙みたいに
薄い羽のトビウオと
ゼリーみたいなクラゲ。
まだ夜でも無いのに
イフェルトの尻尾が光っていた。
優しいロウソクの光のランタドール
可愛いランタン獣。
猫と言うには少し大きすぎるけれど
オニキスみたいな色の大きい猫は
いつものように、まぅと鳴いた。
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