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第五十八話 アスプ視点 ①
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アスプは常に番と一緒にいる習性があると聞いた魔王様は後日、番となる他のアスプを造り出そうとして下さった。
儂はそれを首を横に振って、別にそんなことをしてくれなくてもいいと伝えた。
もう一頭のアスプが生み出されたとして、互いを番と認定できるかは分からない。番相手が欲しいアスプがもう一頭増えるだけかもしれないのだから。
それからしばらくして、儂は運命の相手と出会った。
任務もないので、魔王城の近くの日当たりのいい一本の木の枝に絡まり付いてのんびり昼寝をしていた時のことだった。
「ピュイイ」
鈴の鳴るような囀りだった。
ピット器官により近くに体温を持つ者が止まったことが分かり、ハッと目を開けた。
そこには驚くほど鮮やかな蒼い羽根を持つ鳥が枝に止まっていた。
無防備に蒼い羽根を広げて羽づくろいしているその姿があまりにも美しかった。
他の種族とでは色など世界の見え方が違うのだと聞いたことがある。
だから彼の羽根がこんなにも美しく何よりも蒼く見えているのは儂の眼だけかもしれない。
だが、儂にとっては彼はこの世で一番美しかった。
真実などそれだけで十分ではないだろうか。
それはペリュトンというモンスターだった。
最近斥候として複数体造り出されたのだと聞き及んでいる。
普段はただの鳥のような姿をしているが、本気を出して戦う時には蒼い鹿に翼が生えたような姿に形態変化できるのだとか。
儂は彼と仲良くなりたくて、するすると傍に近寄っていった。
物音に気が付いて彼が振り返る。彼は儂の存在に気が付いた。
「ヒイッ!? へびぃ!?」
ぽん、と音がしたかと思うと彼の身体が光に包まれ、一瞬後に蒼い髪の痩身の男が現れた。その美しい髪の色を見て彼がポリモーフした姿なのだとすぐに分かった。
今までそこに乗っていた小鳥の姿が急に変わったせいで、木の枝がミシミシと嫌な音を立てる。
そしてバキリと折れて、彼と儂は共に真っ逆さまに地面に落ちたのだった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ、ふぎゅっ!」
地面に強かに身体を打ち付けられた彼の上に、儂は着地した。
「ふぎゅ~」
地面に落ちた衝撃で伸びてしまったのだろうか、動かない彼の腕に儂は身体を巻き付け、うなじの辺りをぺろりと舐め上げた。
「へ、ヘビぃッ! ヘビィ……ッ!!」
途端に彼はガバリと身体を起こして逃げ惑うが、儂は腕に巻き付いているので、彼がどれだけ走ったところで儂からは離れられない。
それが儂と彼の出会いだった。
後に儂は彼が魔王様からジュリアンという名を与えられているということを知った。
ジュリアン、愛しい彼の名はジュリアンというのだ。
儂はそれを首を横に振って、別にそんなことをしてくれなくてもいいと伝えた。
もう一頭のアスプが生み出されたとして、互いを番と認定できるかは分からない。番相手が欲しいアスプがもう一頭増えるだけかもしれないのだから。
それからしばらくして、儂は運命の相手と出会った。
任務もないので、魔王城の近くの日当たりのいい一本の木の枝に絡まり付いてのんびり昼寝をしていた時のことだった。
「ピュイイ」
鈴の鳴るような囀りだった。
ピット器官により近くに体温を持つ者が止まったことが分かり、ハッと目を開けた。
そこには驚くほど鮮やかな蒼い羽根を持つ鳥が枝に止まっていた。
無防備に蒼い羽根を広げて羽づくろいしているその姿があまりにも美しかった。
他の種族とでは色など世界の見え方が違うのだと聞いたことがある。
だから彼の羽根がこんなにも美しく何よりも蒼く見えているのは儂の眼だけかもしれない。
だが、儂にとっては彼はこの世で一番美しかった。
真実などそれだけで十分ではないだろうか。
それはペリュトンというモンスターだった。
最近斥候として複数体造り出されたのだと聞き及んでいる。
普段はただの鳥のような姿をしているが、本気を出して戦う時には蒼い鹿に翼が生えたような姿に形態変化できるのだとか。
儂は彼と仲良くなりたくて、するすると傍に近寄っていった。
物音に気が付いて彼が振り返る。彼は儂の存在に気が付いた。
「ヒイッ!? へびぃ!?」
ぽん、と音がしたかと思うと彼の身体が光に包まれ、一瞬後に蒼い髪の痩身の男が現れた。その美しい髪の色を見て彼がポリモーフした姿なのだとすぐに分かった。
今までそこに乗っていた小鳥の姿が急に変わったせいで、木の枝がミシミシと嫌な音を立てる。
そしてバキリと折れて、彼と儂は共に真っ逆さまに地面に落ちたのだった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ、ふぎゅっ!」
地面に強かに身体を打ち付けられた彼の上に、儂は着地した。
「ふぎゅ~」
地面に落ちた衝撃で伸びてしまったのだろうか、動かない彼の腕に儂は身体を巻き付け、うなじの辺りをぺろりと舐め上げた。
「へ、ヘビぃッ! ヘビィ……ッ!!」
途端に彼はガバリと身体を起こして逃げ惑うが、儂は腕に巻き付いているので、彼がどれだけ走ったところで儂からは離れられない。
それが儂と彼の出会いだった。
後に儂は彼が魔王様からジュリアンという名を与えられているということを知った。
ジュリアン、愛しい彼の名はジュリアンというのだ。
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