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第二十四話 アスプ、造る!
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会議後、俺はアスプを作り出すことに決めた。
特殊能力を持つモンスターだ、なかなか作成コストは高い。
二体……いや余裕を考えて一体だろうか。
それでもアスプが最適だと考えた。
「蛇にはピット器官という生き物の体温を感知する機能がある。森の中での索敵に最適だろう」
「へえ……! 魔王様は物知りでございますね」
セバスチャンが感心する。
日本人として生きていた時に得た知識だ。
見通しの悪い森の中では視覚以外の情報が重要になってくるのかもしれない。そう考えた結果だ。
「じゃあいくぞ」
目を閉じ、アスプを生み出すイメージをする。
そして魔力を流し込んだ。ぽんっ。
目の前には一体の蛇が出現していた。
自然に溶け込みやすそうな赤銅色の鱗をしており、一対の青い瞳を持っていた。
日本人として生きていた時に庭で見かけたアオダイショウより二回りは大きい。
蛇にしては大きい方だが、決して非現実的な大きさではない。
そうと知らなければ目が合った相手を眠らせるモンスターだとは見ても分からない。
「別に目が合っても眠くなったりしないな」
「催眠効果を持っているのは額の瞳でございます。よく見て下さい、額にまぶたがございます」
よくよく見ると確かにアスプの額の鱗には切れ目のようなものがあった。
どうやらアスプは三つ目の瞳があるようだった。
敵を催眠する時だけこの三つ目の瞳が開くのだろう。
アスプは綺麗な蒼い瞳で俺を見つめると、何が気に入ったのかアスプは愛想よく俺に近寄ってきて足に巻き付いてきた。するすると俺の身体を這い上って来る。
「ははっ、なんだ。くすぐったいぞ」
「アスプ」
腕にまで上がってきた彼をセバスチャンが声で制止する。
「魔王様には既につがいがおります。貴方のつがいにはなれませんよ」
「???」
セバスチャンの言葉を聞いて、アスプは明らかにしょんぼりと頭を垂れ、そして俺の身体から降りて行ったのだ。
「どういうことだ?」
セバスチャンに説明を求める。
「アスプは本来つがいと常に共にいるモンスターなのです。初めて目にしたのが魔王様の姿でしたから、魔王様を番だと思ったのでしょう」
それを聞いてやっと理解できた。
セバスチャンは俺がアスプに求愛されないように、俺につがいが既にいるという嘘を吐いて丸く収めてくれたのか。
「知らなかった。じゃあもう一体生み出して……」
「そんな理由で魔力を無駄遣いするのはおやめ下さい。後日になさって下さい」
軽率にアスプを増やそうとして叱られてしまった。しゅん。
それはともかくとして、魔王軍の新たなメンバーがまた一人加わったのだった。
特殊能力を持つモンスターだ、なかなか作成コストは高い。
二体……いや余裕を考えて一体だろうか。
それでもアスプが最適だと考えた。
「蛇にはピット器官という生き物の体温を感知する機能がある。森の中での索敵に最適だろう」
「へえ……! 魔王様は物知りでございますね」
セバスチャンが感心する。
日本人として生きていた時に得た知識だ。
見通しの悪い森の中では視覚以外の情報が重要になってくるのかもしれない。そう考えた結果だ。
「じゃあいくぞ」
目を閉じ、アスプを生み出すイメージをする。
そして魔力を流し込んだ。ぽんっ。
目の前には一体の蛇が出現していた。
自然に溶け込みやすそうな赤銅色の鱗をしており、一対の青い瞳を持っていた。
日本人として生きていた時に庭で見かけたアオダイショウより二回りは大きい。
蛇にしては大きい方だが、決して非現実的な大きさではない。
そうと知らなければ目が合った相手を眠らせるモンスターだとは見ても分からない。
「別に目が合っても眠くなったりしないな」
「催眠効果を持っているのは額の瞳でございます。よく見て下さい、額にまぶたがございます」
よくよく見ると確かにアスプの額の鱗には切れ目のようなものがあった。
どうやらアスプは三つ目の瞳があるようだった。
敵を催眠する時だけこの三つ目の瞳が開くのだろう。
アスプは綺麗な蒼い瞳で俺を見つめると、何が気に入ったのかアスプは愛想よく俺に近寄ってきて足に巻き付いてきた。するすると俺の身体を這い上って来る。
「ははっ、なんだ。くすぐったいぞ」
「アスプ」
腕にまで上がってきた彼をセバスチャンが声で制止する。
「魔王様には既につがいがおります。貴方のつがいにはなれませんよ」
「???」
セバスチャンの言葉を聞いて、アスプは明らかにしょんぼりと頭を垂れ、そして俺の身体から降りて行ったのだ。
「どういうことだ?」
セバスチャンに説明を求める。
「アスプは本来つがいと常に共にいるモンスターなのです。初めて目にしたのが魔王様の姿でしたから、魔王様を番だと思ったのでしょう」
それを聞いてやっと理解できた。
セバスチャンは俺がアスプに求愛されないように、俺につがいが既にいるという嘘を吐いて丸く収めてくれたのか。
「知らなかった。じゃあもう一体生み出して……」
「そんな理由で魔力を無駄遣いするのはおやめ下さい。後日になさって下さい」
軽率にアスプを増やそうとして叱られてしまった。しゅん。
それはともかくとして、魔王軍の新たなメンバーがまた一人加わったのだった。
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