異世界転生した僕、実は悪役お兄様に溺愛されてたようです

野良猫のらん

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第五十一話 魔物が外に出現したそうです

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 ロベールの従者が隣村までの道の間で魔物の襲撃を受けたという報告を聞いた僕は、その日の内に冒険者ギルドへと向かった。冒険者への依頼をするためである。
 ちなみにその従者は無事だったそうだ。良かった。今、ロベールが詳しい事情を聞き出しているところである。

 この村のダンジョンは長らくの間何故だか外へ魔物が湧き出してこない特別なダンジョンだと思われていたが、やはりそれも永遠ではなかったらしい。この村のダンジョンも魔物が湧くのだ。

 ダンジョンがあると、時折その入り口周辺に魔物が湧くことがある。「湧く」としか言いようのない方法でぽっと突然現れるのだ。ダンジョンの入口を塞げばいいという話ではない。

 ちなみにゲーム的に言えば、最初だけ魔物が外に湧かなかったのは救済措置である。村の経営が軌道に乗るまで、序盤の間はダンジョンの外に魔物が出現しないでいてくれるのだ。

 それにしても今回は魔物の出現が始まるのが随分と早くないだろうか。村が通常プレイよりも発展しているせいか?
 そのせいであらかじめ対策を打っておくことができなかった。

 僕は冒険者ギルドに乗り込むと、ギルド員に話を通しておく。
 ただならぬ様子に何事だと集まってきた冒険者たちを振り向き、僕は声を張り上げた。

「街道に魔物が出現し、襲われた者が出た! よって全冒険者に依頼を出す! 村の周りを見回り、魔物がいればこれを即座に討伐するのだ!」

 普通のダンジョン村ならばどこもやっている村のパトロール依頼である。街規模になると見回りは兵士の仕事になるので逆にこういった依頼が出されることはない。

「見回りを行えばそれだけで報酬を出す。さらに魔物を見つけ討伐をした際には追加で報償を出そう!」

 かなりの出費になるが、必要経費だ。
 魔物が現れて襲われるとなれば村を訪れる者がいなくなってしまう。訪れる者がいなくなれば、その先に待つのは財政破綻である。……いや、冒険者が去り村が魔物に滅亡させられる方が先かもしれない。

「そりゃ大変だ!」
「依頼でなくたってやってやるぜ!」

 冒険者たちは口々に答える。
 いつの間にかこの村の冒険者たちは全体的に逞しくなっている気がする。この村を守るという気概に溢れているようだった。

 それから数日。
 誰それが魔物に襲われたという報告が舞い込んでくるのではないかと気を張っていたが、平穏無事だった。
 どうやら冒険者たちが随分と頑張ってくれているようである。

 ……それよりも気になるのが、いつの間にかロベールの護衛であるアンドレと従者のザックの仲がどうやら親密になっているらしいことである。
 いつの間にそんなことになったの!? 僕何も知らないよ!?
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