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第四十九話 クライヴから差し入れされました
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冒険者ギルドの運営がスタートすると、冒険者たちは昼間から酒場にたむろするのをやめた。
情報交換のための場という機能がギルドに移った以上、冒険者たちはギルドに集まるようになった。
冒険者が酒場を利用するのは探索が無事成功してダンジョンから地上に帰還した時の景気づけの時ぐらいなものになった。
冒険者がたむろするのをやめた影響で、他の村民たちが酒場を利用できるようになった。
それに冒険者たちがアルコール依存症になるのを防げる。一石二鳥だ。
運営開始してから数日後に様子を見に行くと、ギルド員たちはよくやっていた。
早速依頼も集まっているようでいくつか依頼が張り出されている。
冒険者たちが依頼が張り出されている掲示板の前に集まって顔を寄せ合っている。
「これ、なんて書いてあるんだ」
戦士風の男が、パーティメンバーらしき魔術師に尋ねている。戦士の男は文字が読めないのだろう。
魔術師は読み上げる。
「ホーンラビットの毛皮求む。あればあるだけ報酬を弾む。……毛皮商の依頼のようです」
このように外部からの依頼がいくらでも来る。
何せダンジョンは金を弾めばなんでも手に入る魔法の泉のようなものだ。
魔物はいくら狩ってもひとりでにダンジョンから湧いて出るし、宝箱の中身も時間が経てばひとりでに復活している。
冒険者はいわばその魔法の泉から宝を汲み上げる下働きである……それも命を引き換えにした。
安全に確実に儲けられるのは結局のところ金を持つ者たちである。
グロスマン商会はこの村にすぐに支店を建てられるくらいの財力を持っているが、本当の金持ちはわざわざダンジョン村に住んだりしない。
安全なところから金を使って人を動かし、その結果さらなる財産を得るのだ。
まあそれはともかくとして、こうした依頼のおかげで冒険者は潤うし冒険者ギルドは手数料で儲かるし、それはつまりこの村が繁栄するということなので大歓迎である。
「おや、領主様。今日は一人なのか」
声をかけてきたのはクライヴだった。
いつものように赤毛の髪をツンツンに尖らせている。
久しぶりに見かけた彼は見慣れないイヤリングを身に付けていた。僕も着けている通信用のイヤリングに見える。一体誰とペアになったのだろう。
「ちょうど良かった。領主様にプレゼントがあるんだ」
クライヴの言葉に僕は顔を顰める。
「僕はロベール一筋だからプレゼント攻撃なんかで絆されたりしないぞ」
「ははは、違うさ。そのフィアンセ殿と一緒に使ってもらえればと思ってな」
そう笑ってクライヴが差し出したのは小瓶だった。
小瓶の中には薄桃色の液体が入っているようでちゃぷんと揺れて音を立てた。
「不用意に開けるなよ。それは魔蟲喰草の蜜だ」
「カニ……? え?」
「魔蟲喰草は獲物を恍惚とした気分にさせる蜜を分泌することで獲物を集めて喰う。その獲物には人間も含まれる。ダンジョンに潜る上で用心しなければならない魔物の一つだ」
要は魔物の素材を僕にくれるらしい。
僕、魔物の素材なんかいらないんだけどな。
「まだ分からないか? フィアンセ殿との夜の生活で活用してくれってことさ」
「へ……? え……!?」
ええーとこの蜜は人間をも恍惚とした気分にさせるもので、つまりこれを使うと……!?
「夜寝る前の紅茶に一滴混ぜるだけでいい。自分で飲んだっていいしフィアンセ殿に盛ったっていい。二人で一緒に飲んでもいい。それだけでその晩は忘れられない夜になること間違いなしだ」
僕が硬直している内にクライヴはウィンクして去ってしまった。この蜜を突き返すタイミングを失ってしまった。
「え、ええ……!?」
媚薬を手に入れてしまった!
情報交換のための場という機能がギルドに移った以上、冒険者たちはギルドに集まるようになった。
冒険者が酒場を利用するのは探索が無事成功してダンジョンから地上に帰還した時の景気づけの時ぐらいなものになった。
冒険者がたむろするのをやめた影響で、他の村民たちが酒場を利用できるようになった。
それに冒険者たちがアルコール依存症になるのを防げる。一石二鳥だ。
運営開始してから数日後に様子を見に行くと、ギルド員たちはよくやっていた。
早速依頼も集まっているようでいくつか依頼が張り出されている。
冒険者たちが依頼が張り出されている掲示板の前に集まって顔を寄せ合っている。
「これ、なんて書いてあるんだ」
戦士風の男が、パーティメンバーらしき魔術師に尋ねている。戦士の男は文字が読めないのだろう。
魔術師は読み上げる。
「ホーンラビットの毛皮求む。あればあるだけ報酬を弾む。……毛皮商の依頼のようです」
このように外部からの依頼がいくらでも来る。
何せダンジョンは金を弾めばなんでも手に入る魔法の泉のようなものだ。
魔物はいくら狩ってもひとりでにダンジョンから湧いて出るし、宝箱の中身も時間が経てばひとりでに復活している。
冒険者はいわばその魔法の泉から宝を汲み上げる下働きである……それも命を引き換えにした。
安全に確実に儲けられるのは結局のところ金を持つ者たちである。
グロスマン商会はこの村にすぐに支店を建てられるくらいの財力を持っているが、本当の金持ちはわざわざダンジョン村に住んだりしない。
安全なところから金を使って人を動かし、その結果さらなる財産を得るのだ。
まあそれはともかくとして、こうした依頼のおかげで冒険者は潤うし冒険者ギルドは手数料で儲かるし、それはつまりこの村が繁栄するということなので大歓迎である。
「おや、領主様。今日は一人なのか」
声をかけてきたのはクライヴだった。
いつものように赤毛の髪をツンツンに尖らせている。
久しぶりに見かけた彼は見慣れないイヤリングを身に付けていた。僕も着けている通信用のイヤリングに見える。一体誰とペアになったのだろう。
「ちょうど良かった。領主様にプレゼントがあるんだ」
クライヴの言葉に僕は顔を顰める。
「僕はロベール一筋だからプレゼント攻撃なんかで絆されたりしないぞ」
「ははは、違うさ。そのフィアンセ殿と一緒に使ってもらえればと思ってな」
そう笑ってクライヴが差し出したのは小瓶だった。
小瓶の中には薄桃色の液体が入っているようでちゃぷんと揺れて音を立てた。
「不用意に開けるなよ。それは魔蟲喰草の蜜だ」
「カニ……? え?」
「魔蟲喰草は獲物を恍惚とした気分にさせる蜜を分泌することで獲物を集めて喰う。その獲物には人間も含まれる。ダンジョンに潜る上で用心しなければならない魔物の一つだ」
要は魔物の素材を僕にくれるらしい。
僕、魔物の素材なんかいらないんだけどな。
「まだ分からないか? フィアンセ殿との夜の生活で活用してくれってことさ」
「へ……? え……!?」
ええーとこの蜜は人間をも恍惚とした気分にさせるもので、つまりこれを使うと……!?
「夜寝る前の紅茶に一滴混ぜるだけでいい。自分で飲んだっていいしフィアンセ殿に盛ったっていい。二人で一緒に飲んでもいい。それだけでその晩は忘れられない夜になること間違いなしだ」
僕が硬直している内にクライヴはウィンクして去ってしまった。この蜜を突き返すタイミングを失ってしまった。
「え、ええ……!?」
媚薬を手に入れてしまった!
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