49 / 84
第四十八話 冒険者ギルド発足です
しおりを挟む
あれからというもの、ロベールと目が合う度に胸がドキンとなるようになってしまった。
彼の顔を見る度に大人のキスをされたことを思い出して身体が熱くなってしまう。
従者たちは僕たちのそんな様子を見て、ロベールと僕の関係が一つ深まったのだと思っているらしかった。そんな、まだえっちなんかしてないから!
それにしてもロベールが案外大胆だったことには驚いた。
それも『兎のようにしおらしい君の様子が愛らし過ぎて、つい』だって!
もしかしてロベールは大人しい子の方が好みなんだろうか。
だとすれば彼と目が合う度に赤面してしまう今の僕の状態は彼のストライクゾーンど真ん中なんじゃないだろうか。
どうしよう、僕またいつロベールにキスされてもおかしくないかも!
一人で部屋にいても彼のことを常に考えてしまう。
彼が急にこんな風に男性的な一面を見せるなんて、困ったな。
彼の顔立ちは整っているけれど目元のキツいキツネ顔はどちらかというと女顔だとすら思っていたのに。
ロベールのことがバリタチのイケメンに見えるだなんて、僕頭がおかしくなっちゃったのかな。
そうか。
これが恋っていうのか。
僕は初恋を自覚した。
一年と六ヶ月目。
夏が過ぎ去り、秋になった。
ロベールと僕の結婚式の準備が進められ始めている。
彼と僕の結婚式は来年の春だ。
半年後には……僕は彼の腕の中に抱かれることになる。
そのことを考えるだけで顔が熱くなって頭で湯が沸かせそうだ。
ゾンビフェニックスの素材は約束通りグロスマン商会と取引した。
かなりの高額で買い取った。
冒険者たちへの褒賞は前回の二倍で一人につき金貨二枚を渡したのだが、それでもお釣りが来るほどだった。エーミール様様である。
イザイアには個人的に礼を言いに行って上乗せした褒賞を渡そうとしたが、断られてしまった。自分は特別な立場ではなく冒険者の一人として討伐戦に参加したに過ぎないと。
だから彼には他の冒険者と同じ額の報奨金を渡した。
そんな中、遂に冒険者ギルドが完成した。
これでありとあらゆる冒険者に関する事務作業をギルドに任せることができるのだ。講習の告知などもギルドに張り出すことが出来る。
ギルドの完成に合わせて文字の読める者を数人ギルド員として雇ってある。彼らの内の何人かは元商人である。
営業開始前の社員教育のため、僕はロベールを伴って冒険者ギルドに向かった。
僕はキリッとした表情を作る。
「冒険者ギルドの役割とは何か、理解しているか」
緊張した面持ちで居並ぶ新米ギルド員たちに僕は話しかける。
「大きく分けて三つある。一つ目は冒険者の数の把握と管理。二つ目は冒険者をサポートすること。三つ目は儲けを出すこと」
早速木札とペンを取り出してメモを取っている者もいる。文字が読める者は違うな。
「一つ目、冒険者の管理。これは冒険者の探索が順調に行っているかどうか知るためだ。もしも死傷者が続出しているようなら早急に手を打たねばならない。なのに冒険者の全体の数も分からずぼうっとしていたら間抜けもいいところだろう」
うんうんとギルド員たちは相槌を打っている。
「二つ目。冒険者のサポート。冒険者の探索が上手く行けば行くほどこの村は潤う。そのために積極的に冒険者のサポートをしてもらいたい。例えばこのギルドの本棚にはフロアボス一覧表の写しを置くつもりだし、冒険者が言えばビデオに撮られた討伐戦の様子がいつでも見られるようにしたりなどの施策を考えている」
もちろんフロアボス一覧表の写しに載っている挿絵はロベールが描いたものである。僕の絵の壊滅的な下手さ加減を村民に知られるわけにはいかない。
「三つ目、儲けを出すこと。このギルドが継続していくためにはこれが一番大切だ。冒険者から素材や宝物を買い取り、買い取り商に売る。依頼人から依頼料を受け取り、冒険者に斡旋して成功させる。この過程で儲けを出せなければこのギルドのサービスは続けれられない。ギルドが続かないということは、冒険者たちとこの村が困るということだ。これを肝に銘じるように」
「はいっ!」
ギルド員たちは一斉に返事をした。
よし、頼りになりそうだ。
彼の顔を見る度に大人のキスをされたことを思い出して身体が熱くなってしまう。
従者たちは僕たちのそんな様子を見て、ロベールと僕の関係が一つ深まったのだと思っているらしかった。そんな、まだえっちなんかしてないから!
それにしてもロベールが案外大胆だったことには驚いた。
それも『兎のようにしおらしい君の様子が愛らし過ぎて、つい』だって!
もしかしてロベールは大人しい子の方が好みなんだろうか。
だとすれば彼と目が合う度に赤面してしまう今の僕の状態は彼のストライクゾーンど真ん中なんじゃないだろうか。
どうしよう、僕またいつロベールにキスされてもおかしくないかも!
一人で部屋にいても彼のことを常に考えてしまう。
彼が急にこんな風に男性的な一面を見せるなんて、困ったな。
彼の顔立ちは整っているけれど目元のキツいキツネ顔はどちらかというと女顔だとすら思っていたのに。
ロベールのことがバリタチのイケメンに見えるだなんて、僕頭がおかしくなっちゃったのかな。
そうか。
これが恋っていうのか。
僕は初恋を自覚した。
一年と六ヶ月目。
夏が過ぎ去り、秋になった。
ロベールと僕の結婚式の準備が進められ始めている。
彼と僕の結婚式は来年の春だ。
半年後には……僕は彼の腕の中に抱かれることになる。
そのことを考えるだけで顔が熱くなって頭で湯が沸かせそうだ。
ゾンビフェニックスの素材は約束通りグロスマン商会と取引した。
かなりの高額で買い取った。
冒険者たちへの褒賞は前回の二倍で一人につき金貨二枚を渡したのだが、それでもお釣りが来るほどだった。エーミール様様である。
イザイアには個人的に礼を言いに行って上乗せした褒賞を渡そうとしたが、断られてしまった。自分は特別な立場ではなく冒険者の一人として討伐戦に参加したに過ぎないと。
だから彼には他の冒険者と同じ額の報奨金を渡した。
そんな中、遂に冒険者ギルドが完成した。
これでありとあらゆる冒険者に関する事務作業をギルドに任せることができるのだ。講習の告知などもギルドに張り出すことが出来る。
ギルドの完成に合わせて文字の読める者を数人ギルド員として雇ってある。彼らの内の何人かは元商人である。
営業開始前の社員教育のため、僕はロベールを伴って冒険者ギルドに向かった。
僕はキリッとした表情を作る。
「冒険者ギルドの役割とは何か、理解しているか」
緊張した面持ちで居並ぶ新米ギルド員たちに僕は話しかける。
「大きく分けて三つある。一つ目は冒険者の数の把握と管理。二つ目は冒険者をサポートすること。三つ目は儲けを出すこと」
早速木札とペンを取り出してメモを取っている者もいる。文字が読める者は違うな。
「一つ目、冒険者の管理。これは冒険者の探索が順調に行っているかどうか知るためだ。もしも死傷者が続出しているようなら早急に手を打たねばならない。なのに冒険者の全体の数も分からずぼうっとしていたら間抜けもいいところだろう」
うんうんとギルド員たちは相槌を打っている。
「二つ目。冒険者のサポート。冒険者の探索が上手く行けば行くほどこの村は潤う。そのために積極的に冒険者のサポートをしてもらいたい。例えばこのギルドの本棚にはフロアボス一覧表の写しを置くつもりだし、冒険者が言えばビデオに撮られた討伐戦の様子がいつでも見られるようにしたりなどの施策を考えている」
もちろんフロアボス一覧表の写しに載っている挿絵はロベールが描いたものである。僕の絵の壊滅的な下手さ加減を村民に知られるわけにはいかない。
「三つ目、儲けを出すこと。このギルドが継続していくためにはこれが一番大切だ。冒険者から素材や宝物を買い取り、買い取り商に売る。依頼人から依頼料を受け取り、冒険者に斡旋して成功させる。この過程で儲けを出せなければこのギルドのサービスは続けれられない。ギルドが続かないということは、冒険者たちとこの村が困るということだ。これを肝に銘じるように」
「はいっ!」
ギルド員たちは一斉に返事をした。
よし、頼りになりそうだ。
52
お気に入りに追加
2,637
あなたにおすすめの小説
【完結】もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。
本編完結しました!
おまけをちょこちょこ更新しています。
第12回BL大賞、奨励賞をいただきました、読んでくださった方、応援してくださった方、投票してくださった方のおかげです、ほんとうにありがとうございました!
【第1章完結】悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼第2章2025年1月18日より投稿予定
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
トップアイドルα様は平凡βを運命にする
新羽梅衣
BL
ありきたりなベータらしい人生を送ってきた平凡な大学生・春崎陽は深夜のコンビニでアルバイトをしている。
ある夜、コンビニに訪れた男と目が合った瞬間、まるで炭酸が弾けるような胸の高鳴りを感じてしまう。どこかで見たことのある彼はトップアイドル・sui(深山翠)だった。
翠と陽の距離は急接近するが、ふたりはアルファとベータ。翠が運命の番に憧れて相手を探すために芸能界に入ったと知った陽は、どう足掻いても番にはなれない関係に思い悩む。そんなとき、翠のマネージャーに声をかけられた陽はある決心をする。
運命の番を探すトップアイドルα×自分に自信がない平凡βの切ない恋のお話。
異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる
ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。
アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。
異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。
【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。
αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。
負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。
「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。
庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。
※Rシーンには♡マークをつけます。
兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜
紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。
ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。
そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る
黒木 鳴
BL
妖精のように愛らしく、深窓の姫君のように美しいセレナードのあだ名は「眠り姫」。学園祭で主役を演じたことが由来だが……皮肉にもそのあだ名はぴったりだった。公爵家の出と学年一位の学力、そしてなによりその美貌に周囲はいいように勘違いしているが、セレナードの中身はアホの子……もとい睡眠欲求高めの不思議ちゃん系(自由人なお子さま)。惰眠とおかしを貪りたいセレナードと、そんなセレナードが可愛くて仕方がない義兄のギルバート、なんやかんやで振り回される従兄のエリオットたちのお話し。完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる