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第二十七話 お目目きらりーんされちゃった
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それから、ぶどうみたいなのに房になるんじゃなくて木の幹に直接なるというションバーの実や、目玉みたいな模様がついていてぎょっとしてしまうミタマの実を食べさせてもらった。
どれもこれも美味しかった。ションバーの実は見た目通りぶどうそっくりの味だったし、ミタマの実はとびきり甘いお芋みたいな食感と味だった。
「さて、お気に召した果物はございましたか?」
にこにことしたカミーユにたずねられる。
美味しい果物ばかりで、迷ってしまう。スイーツに流用するだけでなく、普通に日常の中で食べたいフルーツばかりだ。
だが、まずは聞きたいことを聞いておこう。
せっかくなら聞いておきたい質問があったのだ。
「ねえねえ、カミーユはフルーツにくわしいんだよね?」
「生業でございますから、人よりは詳しい自負がございます。なにかご質問でも?」
「おさけってフルーツからできるんだよね? じゃあおさけにもくわしい?」
「おや、リュカ殿下は物知りでございますね。果物以外からできる酒もありますが、概ねその認識で問題ございません。果実酒についても、一定の知識を持ち合わせております」
カミーユは、保父さんのような穏やかな笑みで応対してくれる。
「ナミニの実からできるおさけってあるの?」
ぼくがこのような質問をしているのには、意味がある。
前世ではサトウキビからできるお酒があった。ラム酒のことだ。ラム酒はいろいろとスイーツ作りに使える。
大人の食事を見ていると、お酒に関しては普通に発展しているようだ。
ならば、砂糖はなくとも、ナミニの実から作られる酒ならば存在しているのではないかと思ったのだ。
「ええ、ございますよ。その名をナム酒といいます」
ナム酒! ハレルヤ、神様!
ラム酒のようなものなら、いろいろと作れるようになるぞ! ぼくは心の中で小躍りした。
「じゃあ、つぎはナム酒ももってきて!」
「またお呼びいただけるのは嬉しい限りですが、殿下が飲まれるのですか? 申し訳ございませんが、殿下には飲酒は早いかと」
「のむんじゃなくて、もっといいりよーほーがあるの!」
「ほう――――いい利用法、ですか」
瞬間、にこやかだったカミーユの視線が鋭くなった。
彼の商人としての嗅覚に嗅ぎつけられたのを、ヒシヒシと感じ取った。
しまった、口が滑った。
「え、えっと、ぼくションバーの実をたくさんかいたいな。ね、おにいちゃま、いい?」
ぼくは慌てて話題を逸らした。
「もちろん、いいに決まっているだろうリュカ」
「ションバーの実をご購入でございますね、ありがとうございます! 量はいかほどにいたしましょうか?」
カミーユはすぐに笑顔に戻った。
なんとか誤魔化せただろうか。
「リュカ、どれくらいほしい?」
「え? えっと……一週間毎日食べられるくらい」
「十シノブリコ、頼む」
ぼくの返答を聞いて、シルヴェストルお兄様はカミーユに向き直って、ションバーの実を十シノブリコ注文した。
一シノブリコってどのくらいの重さなのかな? この世界の単位を、勉強しなければいけないかもしれない。
「かしこまりました」
カミーユは商人たちに指示を出し、ションバーの実が用意されていく。
「一週間に渡って食されたいとのことで、新鮮なものを食せるよう、納品を数回にお分けいたしましょうか?」
「そうしてくれ」
などとやり取りされる。
「それでは最後に、こちらのガヒェンの実をプレゼントいたしますね。こちらは私どものほんの気持ちでございます、どうか受け取ってくださいませ」
最高級のものだと言っていたガヒェンの実を詰めた木箱が、シルヴェストルお兄様に差し出される。
「……ほう?」
木箱を受け取ったお兄様は、意味ありげに片眉を上げた。だが何を言うでもなく、護衛のアランに木箱を手渡した。それを目にしたカミーユがにっこりと笑みを深める。
何か意味のあるやり取りのように見えるけれど、どういうことだろう。
どれもこれも美味しかった。ションバーの実は見た目通りぶどうそっくりの味だったし、ミタマの実はとびきり甘いお芋みたいな食感と味だった。
「さて、お気に召した果物はございましたか?」
にこにことしたカミーユにたずねられる。
美味しい果物ばかりで、迷ってしまう。スイーツに流用するだけでなく、普通に日常の中で食べたいフルーツばかりだ。
だが、まずは聞きたいことを聞いておこう。
せっかくなら聞いておきたい質問があったのだ。
「ねえねえ、カミーユはフルーツにくわしいんだよね?」
「生業でございますから、人よりは詳しい自負がございます。なにかご質問でも?」
「おさけってフルーツからできるんだよね? じゃあおさけにもくわしい?」
「おや、リュカ殿下は物知りでございますね。果物以外からできる酒もありますが、概ねその認識で問題ございません。果実酒についても、一定の知識を持ち合わせております」
カミーユは、保父さんのような穏やかな笑みで応対してくれる。
「ナミニの実からできるおさけってあるの?」
ぼくがこのような質問をしているのには、意味がある。
前世ではサトウキビからできるお酒があった。ラム酒のことだ。ラム酒はいろいろとスイーツ作りに使える。
大人の食事を見ていると、お酒に関しては普通に発展しているようだ。
ならば、砂糖はなくとも、ナミニの実から作られる酒ならば存在しているのではないかと思ったのだ。
「ええ、ございますよ。その名をナム酒といいます」
ナム酒! ハレルヤ、神様!
ラム酒のようなものなら、いろいろと作れるようになるぞ! ぼくは心の中で小躍りした。
「じゃあ、つぎはナム酒ももってきて!」
「またお呼びいただけるのは嬉しい限りですが、殿下が飲まれるのですか? 申し訳ございませんが、殿下には飲酒は早いかと」
「のむんじゃなくて、もっといいりよーほーがあるの!」
「ほう――――いい利用法、ですか」
瞬間、にこやかだったカミーユの視線が鋭くなった。
彼の商人としての嗅覚に嗅ぎつけられたのを、ヒシヒシと感じ取った。
しまった、口が滑った。
「え、えっと、ぼくションバーの実をたくさんかいたいな。ね、おにいちゃま、いい?」
ぼくは慌てて話題を逸らした。
「もちろん、いいに決まっているだろうリュカ」
「ションバーの実をご購入でございますね、ありがとうございます! 量はいかほどにいたしましょうか?」
カミーユはすぐに笑顔に戻った。
なんとか誤魔化せただろうか。
「リュカ、どれくらいほしい?」
「え? えっと……一週間毎日食べられるくらい」
「十シノブリコ、頼む」
ぼくの返答を聞いて、シルヴェストルお兄様はカミーユに向き直って、ションバーの実を十シノブリコ注文した。
一シノブリコってどのくらいの重さなのかな? この世界の単位を、勉強しなければいけないかもしれない。
「かしこまりました」
カミーユは商人たちに指示を出し、ションバーの実が用意されていく。
「一週間に渡って食されたいとのことで、新鮮なものを食せるよう、納品を数回にお分けいたしましょうか?」
「そうしてくれ」
などとやり取りされる。
「それでは最後に、こちらのガヒェンの実をプレゼントいたしますね。こちらは私どものほんの気持ちでございます、どうか受け取ってくださいませ」
最高級のものだと言っていたガヒェンの実を詰めた木箱が、シルヴェストルお兄様に差し出される。
「……ほう?」
木箱を受け取ったお兄様は、意味ありげに片眉を上げた。だが何を言うでもなく、護衛のアランに木箱を手渡した。それを目にしたカミーユがにっこりと笑みを深める。
何か意味のあるやり取りのように見えるけれど、どういうことだろう。
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